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吟遊詩人の流離い歌

ラード神話

作者: 綾織 吟

遥か昔、一人の少女が旅をしていた。

少女は初めに銀の旅人とめぐり合い、命を授かり、恋心を託した。

少女は次に金の王とめぐり合い、名を授かり、喜びを託した。

少女は次に黒の騎士とめぐり合い、力を授かり、悲しみを託した。

少女は次に白の軍師にめぐり合い、知恵を授かり、笑顔を託した。

少女は後に女神となる。

世界の全ての力を得た全知全能の女神、だが、彼女には情が存在しなかった。

才に溢れ、全てを見通した女神、だが、感情はなく、全てのことに関心を持つことはなかった。

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