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この素晴らしい世界  作者: 珂柏 涼瞬
塹壕戦編
9/14

9.閑話休題~Mad engineer~

 真っ当な社会人は子供じみたことはしない。

 とは言えない。人間は誰しも、子供じみたところを持っている。しかし、この男に関しては大人になって欲しいと誰もが望むだろう。

三菱重工の企画9課の熱海に関しては。その当の本人はわら半紙(稲藁や麦藁で作った黄色い粗雑な紙)で熱心に紙飛行機を折っている。黒縁メガネの七三頭のおっさんである。ちなみに机の上は戦車と戦闘機の模型、それと溜まった書類で埋め尽くされている。机の僅かに残った平地の上で飛行機を作っている。

どうやら、紙飛行機は完成したらしく、肩より上の左手に真新しいそれがあった。

「ファイア!!」

 意味不明なかけ声と共に飛行機は発射された。このまま進めば七メートル先の扉にぶつかるだろう。

「課長!うぎゃああ!?」

 しかし、飛行機は目に突き刺さった。刺された方はいい社会人なので床に転がり回らずに立って静かに肩や足をプルプルさせながら痛がっている。ちなみに熱海は、

「ぶははははははははははははははははははははははははははははははは、ひでええ、なにそれ、ドリフ?うわ古い(笑)、あははははははははははwwwwwww」

 笑いこけていた。

 痛がっている人間は、残った目で床に落ちた紙飛行機を見る。そしてジロリと熱海を睨んだ。

「あんたって人は。」

 抑揚のない声で繁崎は言った。

「いやあ、悪かったね(^ω^)」

 胸を張って笑顔の熱海。ため息をついて痛みと精神を落ち着ける繁崎。

「課長、このアンテナの修復代と整備代と電気代はなんなんですか?」

 熱海の目の前に領収書の束が積まれる。

「ん~~。浪曼だよ。」

 繁崎の片眉がぴくりと上がる。

「なるほど、電算室の使用理由が分かりました。」

「分かってもらえて嬉しいよ。」

「『宇宙人との交信用電文作成の為』なんて理由で経費は落ちませんよ?」

 冷ややかに繁崎は言った。ただ、その目は怒っていた。片目は未だに充血中。

「いいじゃん(・∀・)。ボクは面白いもん!!」

 繁崎は思った。何度となく思った。どうしてこいつが上司なんだ。しかも評判の上司なんだ。そして俺はいつまで立ったままでいるつもりなんだ。

 繁崎は自分の椅子に座るなり、タバコに火をつけた。深く紫煙を吸い込み気持ちを落ち着ける。取り敢えず、アンテナの有効利用方法と電算室の使用理由をどうでっち上げようか、繁崎は考え始めた。そして、やめた。

「そういえば課長。なんて送ったんですか?宇宙人に。」

 熱海課長が送った電信の内容が気になったからだ。

「『拝啓、宇宙人様へ。技術を頂戴。僕と仲良くすると面白いよ。』以上。」

 熱海課長は二号機製造の手を止めてニヤリとした。

 繁崎は何も言わずに、肩を落とした。そして、タバコの灰を灰皿に落とし、それを咥えると書類の山に向かっていった。

「ええ~。感想は?無視なの、無視なの(´-_ゝ-`)。ヒドくない。ひどいよねえ~。妖怪だっているんだから宇宙人だっているよねえ、ねえ~」

 熱海課長のごねる声をBGMに仕事を進めた。もうすぐ中休みも終わり部下達も帰って来るだろうと繁崎は考えた。


 幸か不幸か、熱海課長のお手紙を真面目に受け取った連中がいた。

一人は懐古趣味の変態仮面。

「ん~。これはモールスですか。いいですね。」

「痛元帥。他作品で変態呼ばわりされてますよ?まあ、合っているんですけどね。」

「君は相変わらず、愛情表現過多だねえ。」

 副司令官兼メイドは変態仮面のカップにお茶を足した。


 もう一人は、実直な鉄道員。ただし関節が機械なので人間ではない。彼ら流に言うと、TCAIと言う人工知能らしい。

「単純な電子文なんて久しぶりに見ました。」

 そのTCAIのいる場所が揺れた。途端に彼女の雰囲気は大魔神になった。今なら霊感も魔力がなくても彼女の黒いオーラが見えるだろう。彼女は本当に人工知能?

「ひい、ごめんなさい。」

 黒く煤けた妙齢の女性が彼女に謝りにきた。後ろにはお化けにしか見えない幼女が二人いた。

「今度は何をしましたか?神奈さん?」

 実は彼女、何が起こっているかは分かっている。だが、あえて聞く。

「客車の天井を吹っ飛ばしたのだ~。」

「私たち悪くないのです!」

「全員、そこに座りなさい。」

 三人はすぐに正座した。本当に人工知能なのか?


 こうして、熱海課長は目的を果した。まだ本人はその事を分かっていない。

 前回で塹壕戦編は終わりになり次章になります。今度は主人公たちにゲリラをやってもらいます。街道上の怪物と戦ってもらいます。

 それと今回、小説家になろう様で活躍中の双子の邪神様さんのシリーズ作品からキャラクターを数人お借りしました。なお、双子の邪神様からの了解をとってありますので著作権侵害はしていません。以下に作品詳細を載せます。


『暗黒武装鉄道結社 シュバルツァークロイツ』~著 双子の邪神様~

リンク:http://ncode.syosetu.com/s1712a/

 

作者「それではまた…、ん?!なんだ?!(何かが擦る音)チュイーン!」

ラズロット(以下、ラ)「一回死ぬのだ」

作者「壁に穴?」

リズロット(以下、リ)「一回死ぬのです」

作者「うわ、ラズさんにリズさん!こんにちは。((((;゜Д゜)))))」

ラ「おい!何で名前が出てないのだ!」

リ「出しやがれなのです!」

作者「殺される理由は、それ?!」

ラ&リ「「え?違うもん」」

作者「?」

ラ「幼女は禁句なのだ」

リ「よく文章を読みやがれなのです!」

ラ&リ「「覚悟!!」」

作者「うぎゃああああああああああああ。やめてえええええええええええええ!!!」


 十分後。


リタ「遊んだ後は、ちゃんと片付けましょうね。」

神奈「うわあ。ひどい……。ミンチよりも。」


 終わり

 

*今回のお借りした登場人物。

痛元帥

(ダーク=キッド元帥)


副司令官兼メイド

(ローザ=マリエンヌ)


TCAI

(リタ=オプテラ)


幼女じゃなくて双子の少女

(ラズロット=ファル)

(リズロット=ファル)


妙齢の女性:災害剣士

(崎守 神奈)

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