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転入生は美少年  作者: monassin1212


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プロローグ 出会い

「マサト、今度来る子をね、学校まで案内してやってくれない」

 母さんから言われたのはそう言われたのは週末の土曜。

 せっかくの休みで僕は携帯ゲームにハマりこんでた最中だった。


「え~」

 生返事しながら気が乗らない。

「今度来る子って……?」

「双葉第二に転入してくる男の子がいるのよ。その子のお母さんとお仕事で知り合いで……ほら最初は一人で通うとなると分かんないでしょ。そこの東都マンションだから」

 画面からは敵の城が開けてて音楽が鳴ってる。もう少しでお宝ゲットできそうなのに……

「学校ぐらいそんな遠くないじゃん」

「いいでしょそのぐらい。こっちは初めてらしいから」

「う~ん」

「それにね、あんたと同じ五年二組になるそうよ」

 その言葉に少し気が変わる。

「ほんと?」

 思わず顔を上げる。だとすると関係も近くなる。ずっと付き合うかもしれない。

 同じクラスに入ってくる新入りの顔を見たい気もあった。


「仕方ないなあ」

 僕はゲームを終了させて立ち上がった。



 母さんに連れられて行った東都マンション。一階の応接ロビーで待つ。

 近所で「お金持ちマンション」と言われてるだけあって、エントランスも大理石がピカピカ。足がすべりそうだった。

「ほら、きたわよ」

 母さんと同じぐらいの年のおばさん。色白で目元がやさしい感じで結構美人だった。 

「マサト君ね、今日はごめんね~」

「はい」

 ちょこんと僕は頭を下げた。おばさんは後ろを振り返る。

「ほら、シュウ、こっち」

「…………」


 入ってきた子を見て僕は息が止まった。


 背は僕と大して変わらない。でも……

 黒髪が綺麗に整えられてほっぺた辺りまである。黒い瞳ががぱっちりと大きくて睫毛が長い。

 おばさんに似て色が白くて顔立ちが凜々しいっていうんだろうか、左右対称で整ってる。その上身体もすらっとして手足が長くて……

「…………」

 一瞬見惚れてしまいそうになるのを視線をそらした。

 僕は慌てて母さんの袖を引いて囁く。

「なんで女の子……」

「えっ」

「女の子なら女の子に案内してもらえばいいじゃん」

 正直胸がドキドキしてた。

 もう小さい頃とは違ってる。なんだか最近は急に女の子が苦手になってきてる。

 幼稚園からの幼馴染み女の子も居るし、昔はクラスの女子とも平気で遊んだりふざけあってた。お互いにケンカもよくした。


 それなのに、最近は女の子がそばに居るとなぜか落ち着かない。

 幼馴染みのさやかでも同じで、なんだかそわそわしてきて変な気持ちになっちゃう。

 

 クラスの女の子も……特に少し気になってる子と喋ると上手く言葉が出てこない。

 何か気になってしまって。可愛い子が近くにいるとなんだかドギマギする。そんな自分がおかしい。


 目の端っこで相手を見やる。

 こんな美少女ならクラスで評判になるかもしれない。正直嬉しい気持ちもちょっとある。でも二人っきりで案内するってなると……心が落ち着かない。

 恥ずかしい気持ちが先に立ってしまって……


「僕、男だけど」


 後ろで響いた声。とっさに返事できなくて振り返る。

「え……」

 目の前に迫る顔。つぶらな黒い瞳がまっすぐ僕を見てる。さらさらの髪が揺れた。あごの形もなだらか。

(キレイ……)

 本気で思った。

 確かに声は女の子にしては低め。

(マジで男……?)

 こんな美しい男の子なんて会ったことない。

「ふふ……また。シュウはよく初対面の人に勘違いされちゃうのよね」

 おばさんが朗らかに笑った。

「可愛い顔してるものね」

 母さんもシュウ君を見ながら言った。シュウ君は女の子扱いされて少し不機嫌になっていた。

「あっ……そうごめん」

 間近でその整った顔立ちを見ながら僕は言った。なぜか胸の動悸が収まらない。

「まあ……いいけど」

 シュウ君はやれやれといった感じだった。そのまま急に僕に近寄る。

 腕を僕の背に回して抱くようにして言った。

「よろしく……これから同じクラスだし」

「う……うん」

 差し出された手を僕は挨拶のように握って振る。



 なぜか胸の動悸がひどくなった気がした。

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