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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

るう子の雑記帳

裏切りの黒い翼

作者: 工藤るう子
掲載日:2026/04/04

 裏切りの黒い翼


 なんつって。いえ、実際ずくずくしちゃうんですけどね。


 カァコの話です。

 4月にはいってから姿を見せなかったカァコですが、春先は育児で忙しいっぽいので今回もかなぁと考えていたんですよ。したらば昨日。4月3日のこと。

 仕事から戻って一度私が庭に出ると来たりするので半周。部屋に戻って毛糸と戯れていると母が、

「来たで。あれカァコやろーーー庭に降りとる」

 庭に降りるのは珍しいので見に行くとぼてっと落ちてる感じ。カラスだけど、体勢だけだとふくろうっぽい形で背中を向けている。見たことのない体勢だったので思わずスマホで撮影。カァコが緊張しているのか顔を動かしているので、それは見えた。頭の前の方の地肌がむき出しになっている。

 えええええ。

 まるで昔我が家に来ていた外猫がおそらく車のタイヤに接触したあとにお別れの挨拶に来たときのような、そんな感じ。

 車に当たった? と、そのときはそう考えたんだよね。

 だから地面にいるのかーーーと、パンを千切って置いたのだけど、逃げないけど気づかない。動けない? 悩んでそーっと近くに投げる。ひょこたんひょこたん近寄って咥えた。そのまま食べるかと思ったけど、コンテナと鉢の隙間に押し込んで落ち葉をのせて隠した。それ以上なんにもできないので部屋に戻ってお風呂の準備ーーーと、いつも一緒にいる子が来た。なんか声でやり取り。これなら大丈夫かなとお風呂に。


 ここで横道。

 大体五羽なんです。我が家に来るカラス。カァコ以外は特徴ないので残りが二羽か四羽か正直自信はないのだけれど。カァコといつも一緒に来る二羽をスケカクと呼んでいて、先に来るのが弥七、ワンテンポ遅れてくるのがはちべぇなんて呼んでたのですけどね。


 戻って。

 お風呂から出ると、

「あんたあの二羽、カァコつつくんで。ほんだけんカァコ倒れて動かんようになった」

 なんて母が言ってくる。慌てて見れば、死体のように倒れていた。

 夜は雨かも知れず、寒いかもしれない。

 段ボールをもって近づくと起きて逃げた。

 動けた。

 死んでいない。

 フェンスに飛び乗る。

 腰ほどの高さだけど一応飛べた。

 1メーターくらい近づくと逃げる。

 その繰り返し。

 よく見れば、お風呂前にはあった目の回りの羽がなくなってる。左目が潰れかけている。

 家族単位の群のはずーーーと思ってたのに。それでも代替わりかなにかで追い出されているのか。

 夜、せめて段ボールにはいって家にいれるか何かしないと第五のトイレタイムで大惨事が起きるかも。

 焦るも相手は野生。

 しばらく追いかけっこをつづけたけど、体力なくなる方がダメかなと諦めた。屋根の下に逃げたし。

 そうして今朝。

 いなかった。

 大丈夫だといいけどと仕事しながら考えるのはカァコのこと。

 帰ると、

「いるで」

 母のことばに庭を見ると、フェンスにとまってる。

 よかった。

 スケカクも来たらしいけど、母が追い払ったらしい。

 エサーーーとあげに行く。逃げない。

 五十センチくらいの距離にある植木鉢においてやる。

 これまでで一番近い距離。

 逃げない。

 見れば左目はあわれな状態に。

 部屋に戻ると、咥えて地面に。

 カモミールの株のところでついばんでいる。ふと思い出して確認すれば、昨日隠していたエサはない。食べていたと母が言うので、食欲があるなら大丈夫に違いない。

 よかった。

 野生だけど、我が家の庭まで逃げてきたと思えば、無下にもできない。

 禿げてるし目が潰れかけてるけど、それでもーーーだ。

 元気になることを祈ってる。

 物置の屋根まで飛べたからきっと。

 そう思う。




















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