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星撃ちの魔術師  作者: 星宮 しずく
2章 風薫る街
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1、インドア脱却?

「失礼しました」

頭を下げ職員室の扉を閉める。

ふぅと一息をついて歩き始める。今日は当直で、日誌を置きに来たのだ。

(明日から連休か。何しよう。とりあえず、書類を片付けたいな。あ、あとユリに新しい花が欲しいって言われてた。…外出たくないな。)

ゆっくりと昇降口まで歩いた。夕暮れの光が校舎には差し込んでいる。

自身の靴箱を開けて、ローファーに履き替える。

少し遅いため、校舎内に生徒の姿は無い。

セレナは欠伸をしながら校門に向かう。校庭の方からは生徒の声がする。放課後活動だろうか。

(…眠い。流石に四時まで論文を読み耽っていたのは不味かったかな)

本来はオールする予定だったのだが、いつの間にか寝落ちをし、ユリに今朝は叩き起された。

今日こそ、論文を最後まで読もう。

そんな決意を固めたセレナ。

「セレナ!」

声がかけられたので顔を上げる。

そこには、大きな馬車と大きく手を振っているルナが居た。

小走りでルナの元に向かう。

「…どうしたの。こんな遅くまで」

ルナの前に着く頃には少しの息切れを起こしていた。

日々の運動不足がここにも影響している。

「明日から連休でしょ。だから、一緒に遊びに行かない?」

「あ、遊びに?」

「そう!」

ルナは目を輝かせている。

対して、セレナはタジタジだ。

「えっと、その…、あの」

「もしかして予定があるの、かな?それなら大丈夫だよ」

こういう気遣いが出来る所がルナのいい所だと最近思う。

ただ、どこか悲しそうな、寂しそうな顔をされると断りにくい。

「…うん。大丈夫だよ。行こうか」

セレナがそう言えば、ルナは、満面の笑みを浮かべる。

「ほんと⁉︎じゃあ、明日の九時にクロース街の門集合で!」

ルナはそう言うと馬車に乗った。

扉が閉まる前にルナは振り向き、手を振っていた。

反射的に振り返す。

馬車は、ゆっくり動き出した。

あの馬車は確か凄くいい品物だったな、と思いながらセレナは自分の家に帰る。

「遊ぶ…か…」

(最後に遊んだのいつだっけ)

そんなつぶやきは、オレンジ色の空に消えた。


✿✿✿


木製の扉に鍵をさし開ける。

紙の匂いと甘い花の匂いが家から流れてくる。

「ただいま」

「おかえり主。遅かったな」

「そうかな」

ユリが、奥から出てくる。

きっとまた、食器棚の隙間に居たのだろう。

最近のお気に入りポイントらしい。

セレナは、鞄を机に置き、ノートと教科書を取り出す。

その後、ロフトに鞄を投げ入れる。

「ユリ、今日は誰か来た?」

「来てないぞ」

この間はユリのお陰で酷い目にあった。

そこから毎日、お客さんが来ていないか確認するのが帰宅後のやることになった。

「そう」

セレナはノートを、ペラペラと捲る。

ほとんど書いてない真っ白なページと、呪文のように書いているページがある。

ユリが覗き込んでくる。

「…主はこれに何を書いているんだ?」

「…色々」

「色々ってなんだよ!」

ユリの突っ込みをスルーして、セレナはページを捲り続ける。

「…あった」

セレナが、手を止めたページは国内の地図が貼られているページだ。

万年筆をとり街の名前を探していく。

「主、何しているんだ」

「街を探しているの」

「街?」

セレナはどんどん北から街の名前を探していく。

(クロース、クロース。確か東の方。王都に近かったよね)

「主は、なんで街を探しているんだ。仕事か」

「遊びに行くの」

「へぇ、遊びに…。遊びに⁉︎主が⁉︎」

天八座にインドアの塊って言われているあの主が⁉︎

そんな声はセレナに届かない。

ユリは一人で騒いでいる。大慌てだ。

セレナは、そんな中地図に万年筆を走らせる。

しばらく学園と自分の住む街しか外に出ていない。

たまに王都に出向く事もあるが、ほとんど行かない。

王命でない限り行かない。流石に逆らう事は出来ない。

「あった」

王都から馬車で一時間ほど掛かる街。セレナの住む街からは五時間掛かる。

「主はここに行くのか」

「そう」

「ユリも行っていいか⁉︎」

今までなら快くいいよ、と言っていた可能性が半分程あった

ただ、ユリには前科がある。

使い魔はどうしても目立つ。そして、ユリの性格的にいつ迷子になるのか分からない。

「…ダメ」

今回は諦めて貰おう。

そう思い言うとユリはガーンというような状態。

「…花買ってくるから…ね、」

「仕方ない、このユリ様が留守番をしよう!」

良くも悪くもユリは単純だ。

単純で真っ直ぐ。セレナはユリのそんな所は評価している。

「よろしくね」

「まっかせろ!」

そんな会話が、繰り広げられた。



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