2月14日
もうすぐバレンタインですね。思い出したかのように、書きなぐりました。ちなみに、私はチョコを一万個もらいました。まぁ、嘘ですけどね。
今日は2月14日バレンタインデー。男子なら、誰もが少しは期待するスペシャルなデイ。
気温は10度を下回る冬真っ只中、この日だけは、どんな苦難があろうとも、学校に行かなければならない。俺は高校2年生”山野誠”。只今、爆走中であります。
玄関に着いたら、まずは、下駄箱を隅々までチェック。今日だけは異常であれ。もちろん、異常なし!
すばやくスリッパに履き替えて、教室に向かい、自分の机をチェック。異物混入は認められません!ばかー
この日ばかりは、男子も女子も、少し浮ついているような気がするのは、俺だけだろうか。あと残されたタイミングは、業間と昼休憩。
1限が終わり、2限も順調。3限が終わるころには、少し記憶が曖昧になってくる。そして、昼休憩。母の作った弁当はカバンに入っているが、わざとゆっくりと、弁当を取り出し、周りの女子の反応を伺う。
「あ、あの。。。」
女子の声来たー!!!俺は勢いよく振り返り、
「な、なにか用かなぁ?」
声が裏返る。
「あっ、山野君じゃなくて、伊崎くんに、、、」
チクショー!俺のバカ!そして、伊崎は爆発しろ!
「伊崎君、一緒にお昼食べませんか?」
口から、朝ごはんが出そうです。もうこれ以上は耐えられそうにありません。
「あ、あのぉ、山野君はぁと。」
親友の田中が、俺をからかいに来た。
「うるさい。今日の俺は、忙しいんだ。邪魔すんなよ。」
「お母さまのお弁当が泣いておりますよ。もう諦めて、飯行こうぜ。」
俺の青春は、田中とのランチタイムで終わるのか。もう弁当を食べる気力もございません。
「まぁ、俺らみたいなモブ男グループに、バレンタインは、時代遅れだ。俺たちは、もっと未来で輝くようにできているんだよ。諦めろ。」
母上、今日のお弁当は、少ししょっぱいかもしれません。
そして、放課後も下駄箱に異常はなく、肩を落としたまま、帰宅した。
「ただいま。不戦敗の息子がご帰宅です。」
元気なく、自室への階段を上っていると、母親が顔を出した。
「誠、今日の弁当はどうだった?」
母親がニヤついている。
「おいしかったよ。」
涙の隠し味で、しょっぺーよ。
「良かったなぁ。紗季ちゃんにお礼言っときなさいよ。朝の6時にお弁当届けに来てくれたんだから。」
「!!!?」
えっ、どういうこと?
「は、母上どの、それはどういう事でござるか?」
俺はパニックだ。
「ふざけてんじゃないわよ。今日はバレンタインデーだからって、お弁当作ってくれたんでしょ。学校で一緒に食べなかったの?」
「それは初耳でござる。」
「だから、ふざけんじゃないっての。なら、お礼行ってきなさい。」
俺は、カバンを放り出し、急いで家を出た。弁当の味を思い出そうと、必死になって、走った。
「紗季!」
ちょうど、紗季の家の門前で、自転車を押す彼女と出会う。
「よっ!」
紗季は、いつも通りだけど、いつもとちょっと違う表情で、挨拶をする。
「お、おう。」
なんだかとても照れ臭かった。
「べ、弁当。ありがとな。おいしかった。母さんから聞いた。」
「うん。」
言葉が出なかった。
「誠は、あの子とうまくいったの?」
えっ?えっ?
「あの子?」
「お昼に誘われてたじゃない。」
見られてたのか。
「あれは、俺じゃなくて、伊崎だよ。ほら、あいつモテるじゃん。俺と違ってさ。」
「そうなんだ。」
「そうなんだよです。」
「何それ。」
紗季は笑った。その表情が夕日に照らされて、やけに可愛く思える。
「じゃぁ、俺、帰るわ。」
俺のバカ!まだ間に合う。戻れ、俺!
「誠!」
背中を向けた俺を紗季は呼び止めた。俺は、足を止めた。何も言わないまま、二人は立ち尽くす。
「ホ、ホワイトデーのお返し、期待してるからね!」
「あぁ、期待しとけ!でっかいおにぎり作ってやるよ!」
「そんなにでっかいのは、食べれないよ。」
紗季は、精一杯笑っていたように思う。別れ際に、紗季は消えるように何かを言ったが、聞こえなかった。
「ばーか。」
青春まっさかりの男子諸君は、チョコもいいけど、もっと周りに気を配ろう。君に好意を寄せている子を見逃しているかもよ。




