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恋を始める物語

2月14日

作者: とぐさ
掲載日:2026/02/06

もうすぐバレンタインですね。思い出したかのように、書きなぐりました。ちなみに、私はチョコを一万個もらいました。まぁ、嘘ですけどね。

 今日は2月14日バレンタインデー。男子なら、誰もが少しは期待するスペシャルなデイ。

 気温は10度を下回る冬真っ只中、この日だけは、どんな苦難があろうとも、学校に行かなければならない。俺は高校2年生”山野誠”。只今、爆走中であります。

 玄関に着いたら、まずは、下駄箱を隅々までチェック。今日だけは異常であれ。もちろん、異常なし!

 すばやくスリッパに履き替えて、教室に向かい、自分の机をチェック。異物混入は認められません!ばかー


 この日ばかりは、男子も女子も、少し浮ついているような気がするのは、俺だけだろうか。あと残されたタイミングは、業間と昼休憩。

 1限が終わり、2限も順調。3限が終わるころには、少し記憶が曖昧になってくる。そして、昼休憩。母の作った弁当はカバンに入っているが、わざとゆっくりと、弁当を取り出し、周りの女子の反応を伺う。


「あ、あの。。。」


 女子の声来たー!!!俺は勢いよく振り返り、


「な、なにか用かなぁ?」


 声が裏返る。


「あっ、山野君じゃなくて、伊崎くんに、、、」


 チクショー!俺のバカ!そして、伊崎は爆発しろ!


「伊崎君、一緒にお昼食べませんか?」


 口から、朝ごはんが出そうです。もうこれ以上は耐えられそうにありません。


「あ、あのぉ、山野君はぁと。」


 親友の田中が、俺をからかいに来た。


「うるさい。今日の俺は、忙しいんだ。邪魔すんなよ。」


「お母さまのお弁当が泣いておりますよ。もう諦めて、飯行こうぜ。」


 俺の青春は、田中とのランチタイムで終わるのか。もう弁当を食べる気力もございません。


「まぁ、俺らみたいなモブ男グループに、バレンタインは、時代遅れだ。俺たちは、もっと未来で輝くようにできているんだよ。諦めろ。」


 母上、今日のお弁当は、少ししょっぱいかもしれません。


 そして、放課後も下駄箱に異常はなく、肩を落としたまま、帰宅した。


「ただいま。不戦敗の息子がご帰宅です。」


 元気なく、自室への階段を上っていると、母親が顔を出した。


「誠、今日の弁当はどうだった?」


 母親がニヤついている。


「おいしかったよ。」


 涙の隠し味で、しょっぺーよ。


「良かったなぁ。紗季ちゃんにお礼言っときなさいよ。朝の6時にお弁当届けに来てくれたんだから。」


「!!!?」


 えっ、どういうこと?


「は、母上どの、それはどういう事でござるか?」


 俺はパニックだ。


「ふざけてんじゃないわよ。今日はバレンタインデーだからって、お弁当作ってくれたんでしょ。学校で一緒に食べなかったの?」


「それは初耳でござる。」


「だから、ふざけんじゃないっての。なら、お礼行ってきなさい。」


 俺は、カバンを放り出し、急いで家を出た。弁当の味を思い出そうと、必死になって、走った。


「紗季!」


 ちょうど、紗季の家の門前で、自転車を押す彼女と出会う。


「よっ!」


 紗季は、いつも通りだけど、いつもとちょっと違う表情で、挨拶をする。


「お、おう。」


 なんだかとても照れ臭かった。


「べ、弁当。ありがとな。おいしかった。母さんから聞いた。」


「うん。」


 言葉が出なかった。


「誠は、あの子とうまくいったの?」


 えっ?えっ?


「あの子?」


「お昼に誘われてたじゃない。」


 見られてたのか。


「あれは、俺じゃなくて、伊崎だよ。ほら、あいつモテるじゃん。俺と違ってさ。」


「そうなんだ。」


「そうなんだよです。」


「何それ。」


 紗季は笑った。その表情が夕日に照らされて、やけに可愛く思える。


「じゃぁ、俺、帰るわ。」


 俺のバカ!まだ間に合う。戻れ、俺!


「誠!」


 背中を向けた俺を紗季は呼び止めた。俺は、足を止めた。何も言わないまま、二人は立ち尽くす。


「ホ、ホワイトデーのお返し、期待してるからね!」


「あぁ、期待しとけ!でっかいおにぎり作ってやるよ!」


「そんなにでっかいのは、食べれないよ。」


 紗季は、精一杯笑っていたように思う。別れ際に、紗季は消えるように何かを言ったが、聞こえなかった。


「ばーか。」

青春まっさかりの男子諸君は、チョコもいいけど、もっと周りに気を配ろう。君に好意を寄せている子を見逃しているかもよ。

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