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ミッション28:「状況苛烈――しかし作戦決行」

 空域で活動するフィアー機たちが見せたのは――少女の姿への「変貌」だ。


 その変貌の果てに「彼女」たちが成ったのは。一様に青白く不健康そうな肌に、しかし美少女や美女と言える可憐な容姿を携える身姿。

 髪色は金、銀、黒など様々だが、いずれも見惚れる程に怪しく美麗なもの。

 そして人類、自衛隊やアメリカ軍のFTGS装備に類似するような、禍々しくも飛行機のそれに類似する翼に装備を携えていた。


《フィアーが……》


 フィアーたちが見せた驚愕の変貌に、隼の隣より鍾馗からまた驚きの声が零される。


《私も以前に見たのは一例きりだが……そうさ、あれがフィアーのさらなる姿だ……!》


 そして通信にまた、クルェスの明かし説明する言葉が。しかしその当人も少なからず驚き、そして畏怖しているらしき色が含まれての声色で寄越される。


「本気モード、ということか」

《そういうことさ》


 隼は眼下のそんなフィアーたちを観察しながら、少し険しい顔色で、やや皮肉気な色を混ぜてそんな表現を紡ぎ。

 クルェスからはそれに肯定する声がまた寄越される。


《ッ……しかしコアの破壊を成し遂げるには、あと一息ということなのかッ――予備進入ユニット、対応できるか!?》


 眼下にまたその驚愕の光景の数々を見つつ、しかしそう言葉を紡ぎ発したのは橘花。

 今程にあったクルェスの説明通り、フィアー母船のコアは不安定化からあと一撃でも攻撃を加えられれば、崩壊に誘えると見えた。

 橘花はそれを実行させるべく、再進入が必要な際に備えていたF-3Aの予備ユニットに呼び掛ける。


《セイランですッ、我々で進入を――ッぁっ!?》


 その予備ユニットたるF-3Aユニット、セイランチームからは。そちらも通信を聞いていたのだろう、すぐに肯定の応答が寄越され掛けたが。

 しかし次にはそれは、苦く険しい声色へと変わる。


《ッ!セイランユニットがッ、いや各隊が喰いつかれ始めた……ッ!》


 そしてまた通信に響くは鍾馗の声。

 眼下空域を見れば、周辺で行動していた各隊各機が。

 少女の身へと変貌したフィアーたちに、その目に見えて機敏になった機動動作によって喰いつかれ、妨害を受け始めていた。


《ッ、喰いつかれたッ!機動が……今までと段違いだぞ……ッ!?》


 眼下空域には、自身等も可能な限りの機動回避を行う様子を見せながらも。

 しかし目にあきらかに変わったその俊敏さを見せ、喰らいつき熱光線を撃ち込んで来るフィアーに追われるセイランユニットの姿もまた見え。

 それに激しく追われながらの、苦い声色でのセイランリーダーの通信が届き響く。


《ッ、セイラン!戦い身を守れ!対フィアーミサイルも捨てて構わない!》

《!、しかし……!》

《いいッ、どうせこれではミサイルを抱いての突入など自殺行為だ!空域全ユニットも同じくだ、自分の身をまずは守れッ!》


 眼下の切羽詰まった様子光景に、橘花は次にはすかさずそう指示を張り上げ向ける。

 言葉通り、今の「本気モード」のフィアーたちの妨害の最中で。重いミサイルを抱かせて進入させるのは自殺行為。

 橘花は、セイランに他全ユニットに身を守ることを最優先とする命令を下した。


《ライデン各機、我々も援護に向かうぞッ》

《了ッ》

《了解ッ》


 そして橘花は指揮下のライデン各機に向けてまた張り上げ。鍾馗に、橘花のバディ機も無論とそれに了解。

 各機は行っていた旋回飛行からバンクにて軌道を移行。激しい空中戦が始まったが眼下空域へと、順に降下にて向かい始める。


「……――ッ」

《え?》


 しかし。その最中で最初に「それ」に気付き、鍾馗が思わずの声を上げたのは直後。

 側方を見れば一機、同じくのバンク行動からの降下を始めたかと思えば。しかし他のライデン各機とは別の軌道を取り、一層鋭い確度で、そして速い速度で急降下を始めたF-27JAが。

 他でもない、隼のその身姿が見えたのだ。


《隼ッ!?》

《ライデン1-2、何をッ!?》


 目撃したそれに鍾馗が、そして続きそれに気づいた橘花が声を張り上げる。


「ライデン1-2より各機、自分がコアへの進入を試みますッ」


 それに隼が返したのは、端的ながらも真剣に染められた声での、そう伝える言葉。


「自分はAAM-5改造の小型対フィアー弾の装備機です。不安定化したコアに叩き込めば、破壊無力化を期待できるかもしれませんッ」


 そして続けて、説明の言葉を紡ぎ向ける隼。

 その言葉の通りF-27JAの一部ユニットには、AAM-5改造の小型対フィアー弾装備が不測の事態に備えて搭載されており。隼もそれに該当した。

 隼の思惑、算段は。自身がフィアー母船に突入、その小型対フィアー弾をコアに叩き込み、無力化を試みるものだ。


《無茶をッ、この苛烈な防空網だぞ!?》

「身軽なこのF-27JAの身なら、回避行動も可能ですッ」


 今の変貌したフィアーたちによる苛烈となった防空態勢の中でのその敢行に、橘花は危険を訴えるが。

 隼は自身のF-27JAの身ならば、実行は不可能ではないとまた訴え返す。


《隼!危険だ戻れッ!》

「このチャンスを無駄にはできない、やらせてくださいッ」


 立て続けに鍾馗が戻るよう訴えるが。隼の言葉通り今は絶好のチャンスでもあり、押し通すまでの願う言葉を通信に上げて伝える。


《――ッ……まったく!決して無茶はするな、危険と判断したら離脱をためらうな!》


 そして一瞬の間の後に、根負けしたように橘花は悪態を、その可愛らしい声でしかし吐き。

 隼の行動を認める旨を、警告の形で向け伝える。


「ありがとうございます――」


 寄越されたそれに、自分の身を案じる意図を混ぜた許可の言葉に。隼はまた端的な礼の言葉で返す。


《各隊各機!ライデン1-2がコア破壊のために進入する、これを全力で援護せよッ!》


 そして橘花は、作戦空域の各機に隼の援護を命じる声を張り上げて向け。


《隼……!》


 ここまで来たら願い託すというように、鍾馗は空戦行動に移行しながらも。

 向こうで眼下で急降下して行く、隼の身姿を見守り見届ける――

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