ミッション23:「鋭利に舞う」
上方より襲来したフィアーの小編隊は複数。その一つの対応に上がったのは、橘花とそのバディ、そして鍾馗に隼からなる四名一組。
迎撃のための上昇行動を取りながらも、フィアーのヘッドオンからの照準を完了した四人が。
それぞれその身に備え、そして突き出し展開させていた25mmガトリング砲 GAU-22/Aを。
それを「扱う」、「攻撃の意志」を強く念じた瞬間――
レティクルに捉え収めていたフィアーたちに向けて、各ガトリング砲が一斉に唸り。そして無数の機関砲弾が、容赦なくフィアーたちの鼻面に叩き込まれた。
直後の瞬間、向こう正面に数体のフィアーの撃破が視認される。
同時にフィアーからは僅かながらのお返しの熱光線が寄越されたが、それらが隼等に影響を与えることは無く。
そして辛うじてガトリング砲斉射の被害を間逃れた数体のフィアーが、次には隼等と高速ですれ違った。
「ッ」
わずか一瞬。隼等はその数体のフィアーを取り逃し零したと認識し、すかざず急く動きで振り向いたが。
だがすれ違い飛び抜けた先で、その残るフィアーたちは。
撃墜にこそ至らなかったものの、その体にダメージを負っていたのか。そうでなくても進入の継続は不可能と判断したか。
編隊主力への攻撃を取りやめ、進入経路からの離脱旋回から散会する様子を見せていた。
《臆したようだな》
それを目撃し、微かに安堵するようにそう零されたのは。橘花のロリボイスでの、反したダンディな様相の一声。
しかしそれも束の間。
次には各員は当然の流れというように、それぞれの判断で次々に旋回反転を伴い散会。
今の自分等の一撃を逃れ、散ったフィアーたちをしかし仕留めるべく追撃を開始。
隼も同じく。散ったフィアーを追いかけながらも、自由戦闘行動へと移行した。
「――ッ」
単騎にて反転旋回行動を始め、隼が標的として追いかけるは二体の戦闘機型フィアー。
こちらの編隊主力への攻撃を断念し、まずは護衛機を減らす事を企んでそれに移行したか。
向こうもまた見せる旋回反転行動には、その気配が見える。
しかし、そうはさせない。
態勢を崩させた側の利で、一手行動が早かった隼は。間もなくその二体のフィアーたちの「尻」に食らいつき、追いかける飛行を見せる。
次にはその距離を詰め。そして再び攻撃の意志を念じ、備えるガトリング砲を唸らせて向こうへ撃ち込み始めた。
隼に追われるフィアーたちは、回避のブレイク行動を見せるが。しかし隼はそれに惑わされはせず、しつこく機関砲火を叩き込み。
そしてついにそれに喰われ、フィアーの内の一体が撃墜。
その悍ましい姿体を、しかしボロ切れのように千切られ砕かれ。中空で四散しながら儚く落ちて行った。
「ッ!」
一体の撃墜を成すが、しかし隼に喜ぶ暇は無い。
撃墜を成した直後瞬間。隼の背後に急加速の様相で、別の新たな戦闘機型フィアーが飛来出現。
仲間を救うべく駆け付けたか。次には背後後方より隼に向けて、携えるその火力である強力なエネルギー光線を撃ちばら撒いてきた。
「っ――」
しかし、隼はそれに臆しはしない。
自分を狙うフィアーを惑わすために、身を、機体を揺らすブレイク行動を少しだけ見せた後。
隼は――その身を、「機首」を思いっきり引き起こし。それによってストール現象を起こした隼の身は、高度はそのままに急減速。
それを受け、隼を追っていたフィアー個体はしかし、隼を追い抜いてしまうオーバーシュートを起こす。
そして隼は起こした身を、そのままの流れでくるりと宙返りのそれで一回転。
その果てに向こう正面に、今まで自分を追っていたフィアーの背後を取る。
今のはコブラ機動の一種であり、クルビットと呼ばれる飛行機動。
それにより、自分を追っていたフィアーの姿を。しかしその立場を入れ替えてレティクルに捉えた隼は。
また攻撃の意志を念じ、ガトリング砲を唸らせ。
正面向こうにオーバーシュートした。そして、さらにその向こう居る元より追っていたフィアーの、その二体に。
まとめてガトリング砲砲火の雨を浴びせ、なんと瞬間的に立て続けに。その二体をまとめて撃墜する御業をなして見せた。
「撃墜、二機撃墜ッ」
散り落ちていく二体のフィアーに、確かな撃墜を確認し。隼は通信にその報を発し上げる。
《各隊各機、別のフィアー編隊が320上方より出現接近》
しかし、息つく暇もなく。通信にはさらなるフィアー出現の報が上がり伝えられる。
「ッ、ライデン1-2、対応する」
それに小さく苦く口を鳴らしながらも、自身が急行対応可能である知らせを上げ。
次には隼は、その身をバンクから旋回させる鋭い機動を見せ。
さらなる迎撃行動へと向かった。
作戦編隊の主力を護るべく。護衛の各隊各員は全力を尽くして動き戦っているが。
フィアーの迎撃の出現は、神出鬼没でかつ数多く。
その特質にて広大な空域全周から襲来するそれを、完全に防ぐ事は不可能に近く。どうあっても作戦編隊主力は、少なからずのフィアーの迎撃攻撃に晒され始めていた。
「まだポイントまでは少しあるッ。この程度で揺らぐな、維持しろッ!」
その作戦編隊の中核を成す、アメリカ空軍爆撃機隊のその全てを率いるダニエルは。
マッチョマンな軍人から、可憐なアメリカン美少女へと変貌したその顔から。しかしこれまでの軽くチャーミングな色を消して、真剣そのものの色に染め。
率いる各機に、各爆撃機美少女に美女たちに、鼓舞する言葉を張り上げ向けている。
「っ!――ワォっ!?」
だが刹那、近場を戦闘機型フィアーが掠めて飛び抜け。
そしてほぼ同時に直後には、ダニエルの傍を一機のF-27JAの少女――他ならぬ隼が。滑って反り跳ねるかのような、スピンの如き旋回機動でまた掠めと飛び抜け。
そのすぐ先で、備えるAAM-5を撃ち放ち。
向こうに飛び、逃げ去ったフィアーをしかし追わせそして直撃。
爆散にて散らし落とし、撃墜を成す様子を見せた。
「ヒュゥっ――エクセレントだネっ、ハヤブサっ!」
そんな隼は、しかしまだ次の仕事があると言うように。また鋭利なまでの機動で次の目標へと旋回飛行していく姿を見せたが。
ダニエルはそんな頼もしい隼の姿に。緊張で染まっていたその顔に、少しの笑みを戻してそんな評し囃し立てる言葉を発して向けた。




