ミッション21:「全機出撃、TS戦闘機少女結集」
相当間が空きました、本当に申し訳ない。
そんな、基地が色々と賑やかになってから数日後。
計画されていた作戦の、その発動の日はいよいよ訪れた。
――〝一撃作戦〟――〝オペレーション・イチゲキ〟と名付けられた当作戦。
これより自衛隊、及びアメリカ軍の各隊各員が。それの開始を。
その大作戦に臨もうとしていた――
すでに本日当日の、作戦前のブリーフィングに調整の類は全て終了し。
隼を始め、作戦に挑む各々は。これよりまさに出撃の時を迎えようとしていた。
「――ッー」
滑走路に並行して並ぶ、各ハンガーを繰り出し、その姿を晴天の下に現したのは。
完全なFTGS装備姿――戦闘機形態の航空自衛官少女たち。
無論その正体は皆、性転換した男性だ。
今に姿を現したのは、計10名。
内訳は、F-27JAをベースとする隊員が6名、6機。
F-3Aをベースとする隊員が4名、4機。
無論、F-27JA側には隼に鍾馗が。
F-3A側には飛燕に屠龍の姿も見られた。
それぞれは順に、滑走路に隣接して設けられた発着スポットに。各々に指定された各スポットに別れ、その脚に備わるランディングギアで、まるでローラースケートの様相で向かい。
間もなくしてそれぞれが、各スポットに位置して待機状態へと着いた。
《――全機、離陸位置に着いた》
無線上に、各機各員の配置を管制塔に伝える音声が上がる。
声の主は、最前の1番スポットに立ち構え待機する、F-27JA装備の隊員。
見えるその容姿姿は、服装装備こそグレーのボディスーツを主体とする。隼や鍾馗等と同じF-27JAモデルのFTGS装備。
しかし反するは、やはり少女に転換しているその姿の、外見年齢。
1番スポットのその彼女は、外見年齢10歳前程にも見える幼女であった。
ふわっとしたロングの少しボリューミーな黒髪。その元に飾られるは、凛々しく愛らしくも気の強そうな顔立ち。
そしてグレーのボディスーツに飾られるは、未発達で胸に尻腰の凹凸が控えめで。反して幼体のイカ腹が主張するまさに幼児体形。
しかしその幼女隊員の正体こそ明かせば。先日の作戦ミーティングの際に司会を務めた、老練の磨きの気配が漂いつつあった中年男性の二等空佐。
名を吹来 橘花と言う。
そのナイスミドルであった彼の、しかしFTGSの効果特性によって性転換の上に若返り。いわゆるロリコンな人が見ればたまらぬであろう、美幼女になってしまった姿体であった。
しかしその当人は、今はそんなことは細事だと。その美幼女顔にはキレのある真剣な色を浮かべていた。
《――了解、ライデン0-1。全ユニット、離陸を許可する》
そしてその橘花の報告の通信に答え、返されたのは管制塔よりの離陸許可の声。
橘花を筆頭に、隼を含む〝参加機〟の全員がそれを聞き。
次には橘花は振り向き、静かにしかし確かな、合図のための片腕を翳し上げる動きを見せる。
そしてそれが合図。
参加各機、各員は順に。次々にその身に備えるエンジンユニットのバーナーを吹かし、唸りを上げる。
発着スポットエリアを中心に、周辺広くに轟き響き伝わる、多数の唸り。
そしてその筆頭を務める姿で。
1番スポットの橘花が、FTGS装備を纏うその幼女姿を。発生させた揚力をもって、ふわりと浮かべて地上より脚を放した。
それを目視確認し。そこからは静かに、しかし綺麗に流れるような光景が始まった。
橘花のバディ機の隊員が続き、身をふわりと浮かべ離陸。
次には隼の斜め前隣のスポットに待機していた、鍾馗が離陸。
そして、隼も自身の手番を迎え。次には「空へと飛び立つ意思」を念じ。
その身をバーナーの生み出す揚力で、ふわりと浮かべ。地上より脚を放して中空へ、大空へと昇るべく飛び立った――
流れるような、華麗なまでの様相で。
6名6機のF-27JA機等が、続いて4名4機のF-3A機等が。
順に飛び立ち、スポットを、基地を離れていく。
麗しい美少女に美幼女、美女の姿の――しかしその内に雄々しい男児の意志を宿す、空の防人等の。
人類の敵を討つための、決死の作戦へと挑み向かう姿だ。
順次離陸を完了し。
基地より次第に離れ、そのシルエットを小さくし。高く遠くに飛び去りながら、編隊隊形を組む様子を向こうの空で見せる、10機10名の空の防人等。
「……頼むよ、諸君」
「健闘を――」
基地の庁舎建物の屋上では。
クルェスと医官の百司が、願い託す色の言葉を静かに零し。それを見送った――
「――」
浜松基地を飛び立ち、編隊を形成。
作戦予定地点へと針路を取り、同時に特定高度へと到達し、飛行行程を開始した隼等の飛行編隊。
F-27JAの6機ごとと、F-3Aの4機ごと。各機種ごとに、斜め、楔隊形の編隊を組み。大空を背景に飛行する姿は優美なまでのものだ。
先日より浜松基地に間借りしていたアメリカ空軍の爆撃機少女等――B-75Eの編隊は、すでに先行して飛び立ち作戦地点に向かっており。
より速度の速い隼たち戦闘機隊は。他の各基地より飛び立った別の戦闘機隊と道中で同流しながら、爆撃隊に合流することを目指す。
「――ッ」
少しの間、飛行して太平洋の洋上に出た隼等の飛行編隊。
その頃合いで隼は、自分等より後ろ側方の遠く向こうの空に、別の小さなシルエットの出現に気づいた。
「1-2より各機、方位300、右後ろ側方よりフレンド」
《あぁ、こちらも見えた。小松からのだな》
その旨を通信で列機の各機に伝え。相棒の鍾馗からも同じくそれを視認した旨が返る。
そして二人の言葉を肯定証明するように、向こうに見えたシルエット群は徐々に近づいて来て、その正体を明確にする。
今の二人の言葉にあった通り、やはりそれはまた。戦闘機型のFTGS装備に身を包む、男性より転じた航空自衛隊の少女隊員等。
内訳は、F-27JAモデル機が4機4名。
F-35Aモデルの機がまた4機4名。
こちらと同じく美麗な編隊を組むその8機は。小松基地より発ち飛来した第6航空団、第306飛行隊のもの。
同じく人類の敵を討つべく出撃した彼女(彼)等は、間もなく隼等の編隊へと追い付く。
《小松のレップウユニット、そちらへ合流する――ライデンユニット、先日ぶりだな》
小松基地よりの編隊から、通信でそんな挨拶が寄越され。
向こうの編隊はこちらの編隊に続き並ぶように、合流して編隊を組む。
その向こうの編隊に見た顔が見える。
可憐な大人びた顔立ち容姿に、しかし長い黒髪ツインテールが反して可愛らしい、F-27JAの美少女隊員に。
そしてショートカットの黒髪が映える、まるで王子様のようなF-27JAの美女隊員。
先日にスクランブルからの戦闘を共にした、小松の第306飛行隊のレップウ4-1に4-2であった。
ツインテールの4-1は少し悪戯っぽい笑みで、王子様のような4-2はクールな笑みとともに。今の言葉に合わせて、こちらへハンドサインで挨拶を寄越す姿を見せ。
それに隼や鍾馗を同じく手を翳して返す。
《見ろ、070からさらにお友達だ》
《百里に、三沢だな。続々だ》
味方の合流到着は、その一つに留まらない
通信に飛燕に屠龍の零す声が上がり、それを証明するよう示された方位より。
百里の第7航空団、第3飛行隊からのF-3Aモデルの装備隊員が、8機8名に。
さらに三沢、第3航空団の第301及び302飛行隊の、F-27JAモデルの隊員が4名に、F-35Aモデルの隊員がまた4名の8機編隊が。
それぞれまた続々、飛来接近。
小松の編隊と同様に、隼等の浜松基地からの編隊に追い付き。それぞれ挨拶の仕草を見せながら、こちらの側方前方や後方に付き。
編隊をより大きなものへと変え、進路行程を共にして飛び進む。
さらにこの空自主力編隊に先行する形で。
百里の偵察航空隊、第501飛行隊より発したRF-15DJをモデルとする少女隊員等の小さい編隊も。
旧式ながらもFTGS化によって向上補填された性能を生かし、偵察観測行動のためにすでに向かっている。
《!――見ろ、アメリカさんのジャイアントガールズだ》
それからさほど経たず、また誰かの知らせの声が通信に上がる。
そしてそれが示すものは、隼等の目にも見えた。
前方側方の向こう、空に掛かる大きくしかし薄っすらとした雲の。その向こうに見えるいくつのものシルエット。
それは次にはその雲を抜け、明確な姿を現す。
それこそ、巨大な機影の織り成す大編隊。鋭利で巨大な翼を備える少女たち。
アメリカ空軍のB-75E爆撃機の大編隊であった。
さらに、アメリカ空軍の最新鋭戦闘機。
‶F-39A マスタングⅡ〟をモデルとするアメリカン戦闘機少女等の各小隊編隊が、護衛に付く姿も見える。
《――ハイ!トランスジェイボーイズ。デートの待ち合わせ時間にはぴったりだネっ》
その大編隊を目視した直後。通信にそんな快活な声での言葉が響き届く。
聞いたその声から、その主は明らか。
アメリカ空軍爆撃隊の大編隊の内の、細かく分かれたいくつかの小編隊の内。
一番端の突端で、最前でその大編隊を導くように飛行するB-75Eモデルの少女軍人が見える。
今の通信の音声が自分だと主張し知らせるように、こちらにチャーミングに手を振る彼女。
マッチョな軍人からアメリカン美少女に変じた、他ならぬダニエル・B・ローマック大佐であった。
他何名のかのアメリカ軍人の性転換少女等が、こちらを囃し立てつつ歓迎する仕草を見せている。
《それはどうも》
ダニエルからのそれに返すは、こちらの長たる橘花の。今は愛らしいロリータボイスでの、しかし反した渋い台詞使い。
他、隼等こちらの何名かも「はいはい」というように向こうに挨拶を手振りで返す。
そんなやり取りを伴いながらも、両者は同時進行で合流。日米合同の、巨大な戦爆連合が形作られ。
彼女(彼)等は。一路、作戦地点を目指す――




