ミッション20:「アメリカンTSガールズ」
多数の他部隊の来隊から一時所在、展開するに伴い。現在の浜松基地ではいくつもの大小の仮設ハンガーが設置されていた。
その一つ、アメリカ空軍の爆撃部隊用のFTGSの収容を想定した大型仮設ハンガー。
その正面大扉付近に、隼と飛燕の姿が見えた。
今にあっては自分等もFTGSの調整の合間時間であるため。二人もまたそれぞれの美少女の体に、フライト用ボディスーツ姿。
「――うっひょ、絶景っ。眼福ですなーっ」
何か妖しい台詞を零しながら、その幼馴染系美少女顔に、しかしエロオヤジみたいな緩んだ表情を作り。
仮設ハンガーの向こう内部を覗き見ているのは飛燕。
その向こう、ハンガー内に見えるのは何名もの女――美少女や美女の姿だ。
眩い白い肌に茶髪が映える美少女から、艶やかな褐色肌に黒髪が麗しい美女まで。その姿形態は様々。
そしてしかし、その彼女等に共通するはその服装装備。
主に纏うは、オリーブドラブ色の競泳水着状の艶やかなボディスーツ。それが美少女や美女たちのナイスバディを飾り主張している。
腕脚には物々しいグローブにブーツプロテクタ。
頭に首回り、胸や腰尻の各所には、黒やカーキの大小の翼パーツやプロテクタ類がまた飾る。
そして今は脱しているが、ハンガーの奥向こうには巨大な翼――B-75Eインヴィンシブルフォートレス戦略爆撃機の主翼にエンジン類が。ギア・デバイスが鎮座して並び控えている。
そう、美少女たちは皆、B-75EベースのFTGS装備のアメリカ空軍軍人たち。
そして明かせば、FTGSを装備する者の御多分に漏れず。美少女や美女軍人たちの正体は皆、男性。
その本来の姿は、白人に黒人にヒスパニックなど多様な人種の、そして筋肉マッチョな男性なのであった。
そんな本来はマッチョなアメリカ軍人たちは、しかし総じて見目麗しい美少女や美女へと変貌し。
今に在ってはFTGS装備の調整の傍ら、会話に興じ。時折、抱き合いふざけあうなど、姦しく大胆なスキンシップを見せている。
「おぉぉ……アメリカンな大胆なスキンシップ……目の保養ですなぁ……っ」
そんな姿を覗き盗み見ながら、また妖しく下品な台詞を漏らしている飛燕。
「やれやれ」
その横で、隼にあっては覗きに興じることはせず。ハンガーの外壁に背を預けて、少し呆れ交じりの声を零している。
誘われるがままにここまで付いてきたはいいが。隼に、その品の無い覗き趣味にまで付き合う気は無かった。
「――ヘイ!ジェイボーイズ、いやガールズか。おいたは関心しないなっ?」
「!」
「ふぉっ!?」
そんな所へ背後より、唐突に何か透る声での咎める言葉が掛けられ。
隼は気を留めて視線を向け。絶賛覗きの最中であった飛燕にあっては、若干驚き飛び上がった。
「獲物を狙うハンターズ、自分等も麗しいハント対象であることを忘れないようにな?」
そこへ続けてその声で寄越される、咎めるそれだが冗談交じりの言葉。
気づけば二人の前に立っていたのは、異なるタイプの二人の女。美少女と美女だ。
一人は、16~17程の美少女。
まず目を引くのは眩い金髪のロング髪。そしてその元には、真白い肌に飾られる端麗な、そして少し凹凸の主張する顔がある。その内に宿るは鮮やかな青色の瞳。
その彼女が年齢平均より少し高めの身長のその身に纏うは、今に覗き見ていたハンガー内の少女たちと同じく。オリーブドラブ色の競泳水着型スーツをベースに、翼パーツやプロテクタ類が付随する、B-75EのFTGS衣装装備だ。
そしてそのベースのボディスーツが、年相応以上に発育の良いボディを主張している。
見るからにと言った、快活そうなアメリカンガールの爆撃機美少女だ。
そのB-75E少女に同伴するもう一名は、24歳前後程の美女。
真っ白に近い眩い銀髪を、長めのショートカットで飾り。その元に映えるは美白肌の、端麗かつ艶やかな顔立ち。
その彼女の、長身目で大変にグラマラスなボディを飾るは。頭部以外の全身を包む、シルバーみのあるグレーの全身ボディスーツ。
水風船型のダイナミックな乳房と、同じく豊満な乳尻がこれみよがしにスーツに飾られ主張。
そして先鋭的な翼パーツやプロテクタ類が、その彼女の身体の各所に付随し、またシャープかつ美麗に飾っている。
明かせばその装備は、アメリカ海軍の最新鋭艦上戦闘攻撃機。
〝F/A-24C ヴェスピエナ〟をベースとしたFTGS装備。
それを纏う、ナイスバディな大人のお姉さん系戦闘機美女だ。
そんな美少女と美女の二人が。
B-75E美少女は少し悪戯っぽい笑みで。
F/A-24C美女は「あらあら」と優しく微笑みながら。
同時にいけない子のおいたを咎める様相で、そこにあった。
「ふぉぉ……すっごいロケットおっぱい……っ」
そんな、今の隼と飛燕。というか主に飛燕の、覗き行為を咎める言葉を掛けられたというのに。
しかし飛燕が返したのは、F/A-24C美女の水風船型乳房に真っ先に目を奪われての、半分無意識で発されたそんな言葉。
「ふふ。そんなに素直に魅力されてくれると、悪い気はしないかな」
その隠しもしない下心に視線を向けられた美女といえば。しかし咎め気を悪くするどころか、艶やかにそんなまんざらでもない言葉を返してくる。
そんな美女を前に、しかし飛燕は「ほぇー」といっそ清々しいまでに堂々と、その容姿に乳房に目を注ぎ続けていたが。
「――ひょっとして、ローマック大佐にハンク大尉ですか?」
そんな飛燕を横目に一度呆れ見るだけで、後は放って置き。隼はその二人に向き直り、察し気づいた所を発し尋ねる。
「Exactly――鋭い洞察だ、流石はエース」
それに爆撃機少女が端的に返したのは、肯定の一言と合わせての評する言葉。
そう、二人のそれぞれの正体こそ明かせば。先に紹介され邂逅した、アメリカ空軍大佐のローマックに、海軍大尉のハンク。
その、ローマックはアメリカンな金髪に美少女に。
ハンクは銀髪ナイスバディ美女に。
それぞれ見目麗しい姿へと、変貌した姿であったのだ。
合わせて、先の相対時にも含め示していたが。ローマック等はすでに隼等の性転換時の姿も掌握しているようだ。
「マジで?ほぇー……化けますねぇ……っ」
それに、女の姿への転換自体にはすでに日常となり、驚く段階は過ぎたが。
しかし先に見た二人の、それぞれのマッチョおよび紳士風な男性時の姿からの大きな変貌っぷりには。関心交じりの驚きの言葉を零してしまう飛燕。
もっともその視線は、未だに美女となったハンクの豊満な乳房に向いているが。
「申し訳ありません、アメリカ軍の側の形態に少し興味があったもので」
それをすでに無視して。
隼は、今に咎められた自分等の覗き行為に。少しの言い訳と合わせての謝罪の言葉を向ける。
「ハハっ、なぁに冗談だよ。別に機密エリアでも無い、自慢のウチのボーイズinガールズを見せびらかしたいくらいさ」
しかしそれに、ローマックはその美少女顔でからからと笑って見せると。今先の咎める言葉が揶揄い混じりの、本気のものでは無い事を示す。
「これからデバイスのチェックをやる、よかったら見学して行くといい」
「一度、失礼するよ」
そしてローマックは次には促す言葉と合わせて、その美少女顔にチャーミングな笑顔を作って、小さな投げキッスを寄越し。
ハンクはまた言葉と合わせて、その美女顔に静かで艶やかなウィンクを見せると。
これよりのデバイスのチェックのために、仮設ハンガー内へと向かって行った。
「……やべぇな、アメリカン美少女に美女……キュンって来たわ……っ」
「中身はマッチョなおっさんだがな」
そんなローマック等を引き続き呆けた顔で見送る飛燕は、次にはそんな焦がれてしまった旨を暴露する言葉を零し。
しかし隼はそれに、白けた色で突っ込みの言葉を向けた。




