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ミッション1:「TS戦闘機少女、その序章」

「――ここまで目視無し、索敵レーダーにも探知無しか」


 良く晴れ、雲も無く澄み渡った大空。

 その高高度を飛ぶ、〝人の姿〟――〝少女〟の姿があった。


 その高度は数万フィート。本来、人が単身で存在できる場所では無いと言うのに。

 その少女は確かにその宙空に存在し、己が意志で飛んでいた。


 十代前半から半ば程の、まだ成長期を終えていない少女。

 美麗な長い黒髪の元には、あどけなさを残しつつも凛とし顔立ちが見え。合わせてその身体は、年相応から少し欲張った発育の良さを見せている。

 その容姿はまさに美少女のそれ。


 そしてその彼女が身体に纏うは、何か異様な衣装――装備だ。


 少し濃いめのグレー色を基調とする。頭部以外の全身を覆う、全身トッキングのようなスーツ装備。

 そのスーツの上からは、まるで紐水着のようなハーネスを装着。

 腕に脚にはメカメカしいブーツにグローブプロテクタ。

 他、身体の各所にはプロテクタ類がアクセントのように装備されている。


 そして反して目立つは、その彼女の身体をベースとして付随する機械類。


 まず目立つは――戦闘機の翼。

 主翼が背に。脚や側頭部には尾翼にカナード翼。。

 そして後ろ腰には。推進の要たるジェットエンジンのモジュールが並び見える。


 表現するなら――戦闘機少女。


 俗っぽい表現をするならメカ娘。

 そんな今の装備の姿と、何よりその力こそが。その少女が今、単身で空中を飛べる理由だ。


 そして、そのメカ装備の翼に記される日の丸の国籍識別が。

 その所属が日本国、航空自衛隊である事を示していた。


「やれやれだな」


 その美少女が。しかし溢した声と合わせてその顔に見せるは、何か少し倦怠感を混ぜた皮肉気な顔色。まるで苦労が滲む社会人の中年のようなそれ。

 そして実の所、それは正しかった。


 美少女のその正体。精神、〝中身〟は――三十路手前の〝男性〟なのだから。



 ――制斗(せいと) (じゅん)

 その身の上は、航空自衛隊に勤務する男性隊員。今年で27歳。

 しかしパイロットなどでは無く、事務職を指定されて基地地上にて事務職に従事していた、一介の空士でしか無かった。


 そんな。自衛隊に入隊しながらも、しかし武力・喧騒荒事とは無縁とも言える身の上であった隼。

 しかしそれは――ある日、〝あの日〟を境に一変してしまった。


 今の本来は男性である隼の、しかし今の美少女となった姿も。その一変してしまった多くのものの一つであった。



《――ライデン1-2。予定経路はクリア、時間もいい所だ。戻ろう》


 そんな所へ、隼の身に着ける「装備」の備える通信機器に音声が飛び込む。

 それを聞きつつ、自身の前方を見る隼。


 その先を、隼をリードするように飛ぶ、別の戦闘機少女の姿がある。


 その格好――「戦闘機少女」装備は隼と同じ造りのそれ。

 しかし纏うその彼女自身は、今の隼よりは年上に見える18~19歳程度。

 長い黒髪をポニーテールで結ってたなびかせ、その元に端麗な凛々しい顔を覗かせ。

 グレーのストッキング状のスーツで、ワガママな乳尻腰の凹凸を持つボディを主張している。美女になりかけの美少女といった風体。


「了解、ライデン1-1」


 隼は、自身の上官であり指揮官であるその彼女に。

 美麗な容姿だが――実はその身は自分と同じく男性から転じたものであり。その正体は四十路の男性三等空佐である事を知っている――その彼女に、いや彼に。

 その呼びかけ促しに、了解の返事を返す。


《行こう》


 その「中身は四十路のおっさんポニテ美少女上官」から、再び促す言葉が寄越されると。

 直後には彼女は、美麗なまでの動きで飛行中であった自身の身体を傾け。流れる機動で進路を変更。

 隼も同じ動き機動でそれに続き、帰還の進路へと自身の身を乗せながら。


 ――彼女等、いや彼等が。

 今に〝このような状態状況〟になっている原因元凶を。その過去を思い返した――

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