第七話
完結しました。第八十九話までの物語です。主人公レオーナの物語をお楽しみください。
「何ですって?」
翌日父王から呼び出されたレオは叫んだ。
「わ、私がウェンデルに嫁げと?」
父王のとんでもない発言に、あっけにとられたレオは父王に詰め寄った。
「―意味が分かりません。ウェンデルにはジーン姉さまが行くのではなかったのですか?」
「向こうのたっての申し出だ。もう昨夜には決まった事だ」
「私は行きたくありませんが」
レオはそう父王に訴えた。
「まあそう言うな。ウェンデルはお前の希望する三食昼寝付きで、貴重な本読み放題だぞ」
「・・・・・・」
レオはその言葉に心が傾き始めたが、やはり行きたくない。
「嫌ですね」
レオは父王に強くそう主張した。
「どうしてだ?」
父王はレオの頑な態度を不思議そうに見つめた。
「ウェンデルなんて興味ありません。私は将来旅人になって、世界を回る予定ですから」
とレオはきっぱりと言い放った。クインシーすまない、父王様に言ってしまったぞ。言わざるを得なかった。どうしても言わなくてはいけなかった、すまない。レオは心の中で彼女に謝った。
「レオーナ、それは出来ない、遠くの国に行ったら死んでしまう」
父王は悲しそうな顔でレオにそう話した。
「どうしてですか?なぜ私は旅人になれないのです?」
「罪深き血族である我らは周辺の国などの範囲以外の外に出る事はない。これは単なる言い伝えではない。外に出れば奴らに確実に殺される。これはれっきとした事実なのだよ、レオーナ」
「―そんな・・・・・・」
レオは夢みていたことが、突然閉ざされ愕然とした。
「命令だ、レオーナ。お前にかかるジ・タ・ハークの事をウェンデルの王に解決してもらう為にお前は嫁ぐのだ」
「―えっ!」
意外な父王の言葉にレオは絶句した。
「ジ・タ・ハークの事を考えると言っただろう?その答えがこれだ。ジ・タ・ハークの事を詳しく知っている人物は、ウェンデルにしかいないのだ」
「―父王様」
「ここにいてもワシには、お前に何もしてやれぬ。ジ・タ・ハークを制御できぬ。お前を苦しめる事となろう」
「しかし、父王様!」
レオは抗議の声を上げた。
「旅人になろうとも、ジ・タ・ハークは、お前から離れる事は無い。この道が最善なのだ」
「・・・・・・」
旅人になれば、ジ・タ・ハークから離れられると思っていたレオは、まさかの事実に言葉が出ない。
「―ウェンデルに嫁いでくれるな?レオーナ」
「―・・・・・・。姉さまが何と言いましょうか?」
レオは最後の抵抗をしてみせた。
「ジーン達には上手いこと言っておく。心配するな」
「―・・・・・・」
レオは考えた。ジ・タ・ハークの事、ジーン達の事、ウェンデルの事、使者の事・・・・・・。
「―わかりました。父王様」
長い沈黙の後レオは、ようやく決心を伝えた。
「そんな顔をするな、ウェンデルでは三食昼寝付き、本読み放題だぞ?レオーナ」
「そうですね。三食昼寝付き、本読み放題ですね」
ふふふ、レオと父王は大いに笑い合った。
こうしてレオはウェンデルに嫁ぐ事になったのである。




