第八十一話
完結しました。第八十九話までの物語です。主人公レオーナの物語をお楽しみください。
「・・・・・・」
あれは父王だったのか、第一私は何故、彼の事を父王と呼んだのだろう?私はその答えが分からないでいた。
「私は何故父王様と呼んだのでしょう?私の父は別にいるのに」
私は疑問を傍に居るディ・フォンに問いかけた。
「お前がレオーナであることを思い出しかけている証拠じゃ」
「私はレオーナ姫ではありません。星野玲緒奈です。どうして私が物語の主人公レオーナ姫なのです?」
「今の人類の始めは、その前の人類の時代のお前達の先祖が、思い出しながら紡いだ物語の終わりが起点となった。そして再び物語が終える今、今の人類の時代の終わりと次の人類の新しき始まりの起点となる。物語が終わる時、人類は終わりと始まりを何度も繰り返してきたのだ。物語を紡ぐお前達一族はレオーナの始祖と物語を始めた少女が交わった事から始まったのだ。代々受け継いだ物語の完成の時、最後の者が自分自身の物語として思い出すのだ。我こそが主人公でレオーナその者だと」
「多分私は子を生さなかったから、私の代で物語は終わるのは確かでしょう。しかし、自分が物語の主人公レオーナ姫とは思えません」
「今、過去と未来が交差しているのだ。始まりの時と終わりの時が交わっている。混沌の世界だ。この青の景色に覚えがあるはずだ。それなのにまだ、そのような事を?レオーナ。あの原爆の破壊力を悲惨さを知りながら、思い出せないとはな」
「何を言っているのです?私は原爆に遭った事はないですよ。曾祖母は被爆者ですが」
「そう、お前の曾祖母は、あの惨事を経験しながら思い出さなかった」
「・・・・・・」
「だから、お前は核兵器の雨を降らしてしまうのだ。世界を滅ぼす鍵、時が許しても神々は許さない」
「?!何を言っているのです?そんな事はしませんよ」
ディ・フォンの言葉を聞いて私は段々と腹が立って来た。
「第一何ですか?突然このような場所に私を連れてきて、思い出せって迫られても困ります。私の元の世界に帰して」
「それはもう出来ない。お前の代で、レオーナだと思い出さなくてはいけない。人類の歴史が変わる時なのだ。今がその時なのだ」
「そんな事を言われても・・・・・・」
わからない。ディ・フォンの言う事が理解できない。
「人類の発明は全て閃きではなく、遥か昔に無くした記憶を思い出しているだけだ。閃きではなく思い出す感覚だ。お前もしばらくしたら、閃くように思い出すだろう」
「発明家が聞いたら怒りそうなことを仰いますね」
「事実だからな。人類は何度も文明の記憶を無くして生きてきた。文明の記憶を持ったままのもの、記憶を消して生きたものに分かれたのだ」
「何故人類は文明の記憶を消すのです?」
「人類が好奇心で生きるものだからだ。全ての知識を知る事は人類にとって終わりとなる。好奇心を満たす為、再び人類は文明の記憶を無くして、一から始める事を望むのだ。記憶を無くした者達にとっては文明の終わりであり、文明の記憶を取り戻していく新たなる始まりでもある。前世の人々(ウェラムド)、記憶を持つ者達は我ら、文明の記憶を無くした者の子孫がお前達だ」
「では過去にもこのような事が行われたのですか?」
「そう、今も起ころうとしている惨事は遥か昔にも起こった事だ。何度もな。今、又人類は大きな分岐点にきているのだ。核による暗黒な滅びか、宇宙へと旅立つ輝かしい未来か。・・・・・・話は変わるが、進化はどのように生物に特殊な機能を与えてきたか分かるか?」
「―?わかりません」
「進化は生き物の声が思いが反映されている。あるものは、この手を長くすれば餌にありつける、伸びろ伸びろと。そうやって餌を取りやすいように願うのだ。神がその声を汲み取って願いを叶えるのだ。そうやって生き物は進化してきた」
私はディ・フォンの言動に、なるほど、進化の過程の話など感心する事もあったが、発明が記憶を思い出しているに過ぎないなど理解に苦しむ部分もあった。だが、次第に彼の話に聞き入っている自分を自覚していた。
「人類は進化の途中で何を望んでいるか分かるか?」
「いえ、わかりません」
「滅亡を望んでいるのだ。人類はもう滅びたいのだ」




