第七十八話
完結しました。第八十九話までの物語です。主人公レオーナの物語をお楽しみください。
青い空間がレオの前でキラキラと輝かしく煌めく。天と地がどちらにあるのか分からない。何処までも、その空間は無限に広がっていた。その中心にいる者を見てレオは叫んだ。
「旦那様!」
レオが恋焦がれたイノス・シリル・エリアード、その人だ。彼女が辿り着きたかった場所がようやくここにある。
「やっと、巡り合えた。旅も終わる」
レオはイノスの元へと身体を動かした。しかし、足元がジーンの触手が絡みついて身動きが取れない。
「・・・・・・!」
その触手が人の手に変わる。そして、人の姿となった。レオのよく知る姉の姿だ。
「・・・・・・フレイ姉さま」
セオドア第二の姫、フレイの姿がジーンの裾野から現れた。彼女のドレスの裾野にも触手が蠢いている。
「・・・・・・」
母親を同じくする姉だが、一つも姉らしいことをしてもらった事など無い。又レオよりも、ジーンの味方となるのだろう。
「フレイよくやったわね」
ジーンは満足そうにフレイに微笑みかけた。
「・・・・・・」
フレイはジーンに微笑み返すと彼女の傍に立った。
「さあ、世界を手に入れるわよ」
ジーンはフレイと共に、イノスの方へとレオを絡めたまま、動いた。
「これで、仕上げよ」
ジーンはイノスの身体に青の剣シェルシードを貫いた。
「なんてことを!」
レオは非難の声を上げた。
「青の剣シェルシードは鍵、そして彼の身体は錠なのよ。これで私は世界を手に入れるのよ!」
嘲りと共にジーンは青の剣シェルシードを九十度捻った。
―すると、イノスの身体から濃い青の光が放たれた。
「旦那様!」
視界が濃い青の光しか見えない。静かな世界にレオの心音にイノスの心音が重なる。旦那様はどうなったのだろう?レオは彼の心音だけが響く空間に全身をかけて、あらゆることを感じ取ろうとした。
「お前の旅はシェルシード、つまりイノス様を探すのではなく、遺跡に眠る第二の太陽を再び使えるように青の剣シェルシードで開放してきた旅なのよ」
濃い青の光の何処からか、ジーンの声が響く。そして、急に彼女はレオの前に現れた。
「あの儀式は旦那様の居場所を探すためではなかったのですか?」
そんな馬鹿な、レオは事実を知り困惑した。
「ソシア、つまりはディ・フォンもわかってなかった事だけどね」
彼が思い出す前に全てが終わって良かったわ、と嬉しそうに笑う声がする。
「全てが終わったとは、何のことです?」
レオは訝しげに姿の見えないジーンに問いかけた。
「第二の太陽が私の世界を作り上げるの。全てを焼き払い新しい世界を始めるのよ」
「世界を焼き払うのですか?」
「そう、全てがあの光に破壊され焼き尽くすの」
レオは歌うように話すジーンに心底から寒気を覚えた。そこから再び胸の奥から怒りが湧いてきた。何故このような者に世界が奪われる。一握りの者によって、世界が変わるなんて許されるものか!旦那様を返せ!
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「―第二の太陽って、核兵器の事よね?光が全てを焼き尽くすって言ってるくらいだから」
娘が物語の途中で、私に突然訪ねてきた。
「そうだね、この物語の世界は核が信仰の対象でもあるんだよ」
「そんな世界最悪だね」
娘はかなりその事に憤慨しているようだ。
「・・・・・・何?」
娘は私の視線に気付いて私の目を見た。その目は怒りに満ちて黒い目に光を宿している。
「まだ、思い出してはいないのだな」
私は咳ばらいをしながらそう言った。
「何を言っているの?聞こえない」
「いや、気にする事はない」
頭を振り再び私は物語を続けた。
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