第七十六話
完結しました。第八十九話までの物語です。主人公レオーナの物語をお楽しみください。
「・・・・・・」
宿の近くまで辿り着いたレオは、騒然とした争いの音を聞いた。
「何が起こっているんだ?」
レオは口の中で困惑しながら、そう言うと、窓から中を覗いた。宿の中では客が二つに分かれて争いごとをしているのが見えた。やはりカルームの者が混じっていたらしい、彼らの戦闘服の黒装束が見える。
「!」
ソシアが一人の男に、締め上げられているのを見たレオは、宿の中へ入ろうと動いた。
「お待ちください」
いつの間にか、玉の中から出ていたゲルダムに、レオは肩を押さえてけられ動けない。
「ゲルダムさん、何故です?」
レオはソシアの苦しみが、レオの身体の中で脈を打つ事で、助けようとする衝動が止められないでいる。青の剣シェルシードのマスターだという上なのだが、この苦しみは彼女にとって苦痛だった。
「これは、罠です」
セノムがきっぱりと言い切った。
「青の剣シェルシードのマスターである、あなたをおびき寄せる罠です。それと、客の半分はダーラの者、味方です」
テニムスが落ち着いて下さいとレオを宥めた。
「おらあっ!これでもくらえ!」
宿の戸を突き破り屈強な男が、カルームの者と思われる男を殴り倒した。
「ざまあみろ」
口内にある血を吐きつけると男は、レオ達を見て驚いたように目を見開いた。
「これは?レオーナ姫か?」
小声で男が声をかけてきた。
「あなたは何者です?」
レオ達は男の前で身構えた。男は初老ながら若者と変わらぬ筋力の持ち主で、歴戦の強者に見えた。頬の傷があり白髪が混じった長い髪を、風になびかせていた。
「これは失礼を。私はダーラの長、アイファラント・シム・モーゼスと申します」
深々とアイファラントはレオ達に礼を取った。
「なぜ私とわかるのです?」
「孫娘から、容姿の特徴を聞いておりますので」
「孫娘ですか?」
「クレア・アレア・バードは私の孫です」
「クレア様のおじい様?」
レオは驚いた。よくアイファラントを見ると、金の瞳がクレアによく似て輝いていた。
「敵に見つかるといけない。ここから離れましょう」
アイファラントはレオ達に宿の裏手に導いた。




