第七十二話
完結しました。第八十九話までの物語です。主人公レオーナの物語をお楽しみください。
『木の下で眠るなんて、久しぶりだな』
眠るレオの耳にイノスが囁きかける。
(旦那様!)
レオは思いがけない声に心躍った。
ゆらゆらとしながらイノスの姿がはっきりと形どられていく。
(旦那様!)
レオはイノスに抱きついた。
『全く、会った途端に、この愛情表現か』
イノスは困り顔だ。
(だって、なかなか姿を見せて下さらなかったのですから。どうして、今まで姿を見せて下さらなかったのです?クルヌーの遺跡以来ですよ)
レオは顔を上げイノスを見た。彼の表情は複雑で苦笑しているようにも、泣きそうにも見えた。
(旦那様)
『何だ?』
(旦那様はただの私の夢なのですか?本当に存在していらっしゃるのですか?)
『お前に伝えたいことがある』
イノスはレオの質問には答えず、彼女の目を覗き込んだ。
(?何でしょう?)
『―ジ・タ・ハークに気を付けろ。もうじき目覚める。後、紫の瞳の者に気を付けろ』
(どういうことです?紫の瞳とは誰です?)
『紫の瞳の者は私の中の印象でしか分からない。はっきりとしたことはまだ言えない。・・・・・・ジ・タ・ハークに限らず、お前もいずれか目覚める。その時長かった旅も終わる』
(旅が終わるという事は、旦那様に会えるということですか?)
『・・・・・・』
イノスはレオの問いに沈黙し答えなかった。彼は彼女を黙らせるように唇を重ねた。
(旦那・・・・・・様?)
レオはイノスの意図が分からず、困惑しながら彼の抱きしめる強さに耐えた。
(―!旦那様?)
イノスの手がレオの服を取り外していく。レオは首筋にキスをするイノスに戸惑った。どういう意図でこんな行為をするのだろう?・・・・・・もしかして、これが子作りのやり方?レオの顔が一気に赤くなった。
(旦那・・・・・・様)
外気に触れる肌にイノスの熱い手が触れる。
(・・・・・・)
レオはイノスのすべてを受け入れ、彼の首に両手を回して身を委ねた。
「リオ、朝ですよ」
アーシェの声がする。
「旦那様!」
レオは慌てて飛び起きた。そして、あんなに乱れたはずの服が、きちんと整えられている事に一安心した。
「この服は元々このような状態でした?」
レオの質問にアーシェは不思議そうに、ええ、そうですよと答えた。
「そうか、・・・・・・あれは夢なのだな」
―幸せな夢だ。イノスが触れたはずの身体をレオは抱きしめた。
「何かあったのですか?」
アーシェが心配そうに声をかけた。
「いや、何でもないですよ」
とレオは首を振った。




