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銀の針姫と青の剣  作者: 瑞木晶
第二章 不毛の大地レーン大陸
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第六十九話

完結しました。第八十九話までの物語です。主人公レオーナの物語をお楽しみください。

 鉱山の中は暗く、時折水の音が聞こえた。広い空間では蝙蝠も飛び回ったりし、蝙蝠を初めて見るレオ達を怯えさせた。照らす松明の明かりが、影と光の陰影をはっきりと映し出し、時に揺らぐので、レオは心許(こころもと)なかった。

―主は魔物がいると言ってたな、どんな魔物だろう?魔類とは違うのだろうか。

レオは考えあぐねた。想像もつかない。皆も同じ気持ちだろうか・・・・・・。彼女は松明を手に先を行くレッシーの後姿を見た。

彼女は暗闇でも颯爽と歩く。闇が怖くないように見える。どんなことが待ち受けているのか、わからない状態で先頭切って進むのは勇気のいる事だ。彼女には勇気があるのだ。

レオはそう思う。いつでも、冷静沈着なのは強い勇気があるからなのだと。

「今どれくらいの位置にいる?」

最後尾のソードがレッシーに問いかけた。ソードが最後尾なのは怯えての事ではない。後ろからの敵を防ぐための布陣だ。真ん中にソシア、両隣にレオとクレアが彼女を守っている。彼女達のすぐ後にアーシェが怖い怖いとついて行った。

「今、そうですね。真ん中に差し掛かっています」

レッシーは壁に手書きで書かれた番号を、地図と照らし合わせて答えた。鉱山の中は迷わぬよう、壁に番号が書かれているのだ。

鉱夫が削った壁に赤い字で書かれている番号は、水に濡れ松明の明かりで、ゆらゆらと光る。

『十のあ』・・・・・・レオは番号を見て、ここが真ん中に差し掛かっているという事は、倍の『二十のあ』が鉱山の奥地なのだろうか?と考えた。数字の後の『あ』はこの坑道の道しるべ、この『あ』がある道を進む事によって迷わないのだという。他にもあいうえお順に坑道が記されているらしい。

レオがそうこう考えている内に『十五のあ』に到達した。その時。

―キキキ。フフフ!

坑道の奥から不気味な声が微かに聞こえた。

これはアイバートが言っていた魔物か?

その声にも、臆せずレッシーは足を進めた。レオ達も後れを取ることなくついて行った。

「アハハ!」

今度は鮮明に聞こえた。やはり魔物がいるのか。レオは青の剣シェルシードに手をかけた。

「グフフフ!」

魔物の声が響き渡る。

「もうじき、目的地に着きます。皆さまお覚悟を!」

レッシーが叫んだ。

よしと、レオは青の剣シェルシードを構えて魔物を迎えた。

奥地の近くに来ると、声は収まり、レオ達がやって来た坑道の行き止まりに、小さな毛玉のようなものだけが存在していた。毛玉の大きさは子供が丸まっているくらいだろうか。

「・・・・・・」

レオ達は毛玉に警戒しながら近づいて行った。

「キキャー!」

毛玉が突然叫んだ。毛玉が振り向くとその顔は幼げで、どこかで見たような顔だった。

「ワナクワ?」「カルウか?」

レオ達の声に毛玉は驚き顔を伏せた。

「レキニー様とはつゆ知らず、ご無礼致しました」

頭をこすりつけ、ワナクワ・・・・・・いや、カルウは平伏をした。

「ここの魔物はお前かカルウ?」

ソシアは顔を上げよと彼女に告げた。

「はい、ここを守る為です。今までずっとここ、永かったです。レキニー様」

カルウは子供のように泣きじゃくった。

「今までご苦労だった。感謝する」

ソシアがそう彼女を労うと、とんでもない事でございますと、深々と頭を下げた。

「それでは、ここを開けてくれ」

「はい、かしこまりました」

ソシアの命にカルウは応え、『彼方から舞い散る夜風の華』と行き止まりに囁いた。

ブウンと音を立て、行き止まりの壁が動き始めた。大きな扉が現れ、その扉は開かれた。

「今回はお前達も入れ。ここいると、危険だ」

ソシアが皆に声をかけた。

「はい、かしこまりました」

皆がその指示に従った。

「・・・・・・凄いな」

中はクルヌーの遺跡と同じく本棚が並ぶ。本棚を囲う硝子が彼らを映す。レオはもう驚く事はなかったが、ソード達の目には驚異に映ったようだ。

・・・・・・ここも、クルヌーと変わらないのなら、他の遺跡も変わらないのだろうか?

レオは傍に居るカルウを見て、彼女も遺跡に常にいるのかな、前の事もある・・・・・・用心しないと。前みたいに、青の剣を奪おうとするかもしれない。そして、ジ・タ・ハークに身体を奪われることは避けたい。レオは緊張し、ごくりと喉を鳴らした。

「儀式が終わるまで、お前達はこの中に入りなさい」

ソシアが硝子の一部を開けてソード達を入るよう促した。

「かしこまりました」

彼らはソシアの指示に従った。

「カルウ、お前もだ」

ソシアにそう言われた彼女はどうしてと顔を見上げた。

「お前は危険だという事はわかっている。儀式に参加するな」

そんな、と抗うカルウにソシアは首根っこを掴んで、ソード達と共に硝子の中に閉じ込めた。ソシアが硝子の一部を操作すると彼らの姿が消えた。

「!」

驚くレオにソシアは見えなくなっているだけで、彼らはそこに居る。硝子の中は本棚に見えて実は違うのだよと説明した。

「さあ、儀式を始めようか」

ソシアはレオにそう呼びかけた。


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