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銀の針姫と青の剣  作者: 瑞木晶
第二章 不毛の大地レーン大陸
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第六十二話

完結しました。第八十九話までの物語です。主人公レオーナの物語をお楽しみください。

 ワナクワは巨石群の中を歩いて行く。

―・・・・・・本当に一体どこから運ばれたのだろう?その後をレオは石の大きさに驚きながらついて行った。巨石の近くには石造りの家の跡があり、かなり前に放棄されていたように見える。ここでの人々の営みは遠い昔に終わっていたのだ。

『彼方から舞い散る夜風の華』

ワナクワがとある巨石の前で立ち止まり、そう一行詩を一節唱えた。

ブゥンという音と共にその巨石が横にずれていく。巨石の奥から光が溢れ、目を閉じても、まだ光を感じるほどだった。

「・・・・・・」

しばらくすると光を感じなくなったので、レオはゆっくりと目を開けた。

「―これは!」

ウェンデルの地下の青の剣が置かれていた部屋がそのものが、そこには存在していた。高く積まれた本達や中心に光の柱があるところなど、ウェンデルに戻って来たようだ。しかし、ここはそれだけではなかった。全体が硝子張りになっていた。本棚や光の柱も硝子に覆われていた。

「ここは、青の剣シェルシードが休めるところ。青の剣シェルシードのマスターの姫、名は何と申す?」

ワナクワはレオにそう質問した。

「レオーナ・ランド・イシリスと申します」レオがそう答えると「ランドか!セオドアの呪われた血か!」ワナクワはそう叫ぶとレオを睨んだ。

「またしても青の剣シェルシードのマスターが呪われた血なのだな・・・・・・ふむ、まあいい、そなたの一行詩を唱えよ」

ワナクワはそうレオに命令した。

「え?」レオが戸惑うと「ウェンデルで選ばれたお前の一行詩のことだ。これから、この様な遺跡には必要な暗号のようなものだ」とソシアが教えた。

『春を待つ君の肩にひとひらの雪』

レオの唇は震えながらも、一行詩を唱えた。

すると、ブウン!という音と共に、光の柱の周りにある硝子が下へと下がり、光の柱が(あらわ)になった。

『硝子が砕け永遠の音を消してゆく』

とソシアがイノスの一行詩を唱えた。その後、光の柱の光が活性化していった。

「青の剣を光の柱に差し入れなさい」

ワナクワがレオに指示を出した。

「はい」

レオは光の柱に青の剣シェルシードを差し入れた。青の剣シェルシードは光の柱の中へと入り、柱の中央で浮かんで見せた。

―ブウン!と光の柱はもう一度音を立てた。青の剣シェルシードから青い光が生まれ、光の柱に滲んでゆく。

「あれで、青の剣シェルシードに力を与えているのだよ」

とソシアがレオだけにそっと教えた。

「あれ、あれが欲しい・・・・・・欲しい」

ワナクワは光の柱の青の剣シェルシードに手を伸ばそうとした。

「カルウ!やめなさい!死ぬぞ!」

ソシアはワナクワの首を両手で抑え込み床に叩きつけた。

「あれが欲しい!あれがあれば私に力が!」

ワナクワはソシアの腕の中で暴れた。

「カルウ!あれは毒だ!人を狂わせる毒だ!」

ソシアの声が届いたのかワナクワの目が正気に戻ったように見えた。

「レキニー様」

ワナクワはそうソシアを呼ぶとぐったりと身体を横たえた。

「・・・・・・ソシア様」

レオは心配そうに声をかけた。

「青の剣シェルシードは力がありすぎて人を狂わせる。誰でもな。毒のようなものだ。カルウは狂ったのだ、その毒に。お前も気を付けなさい。その存在は危険を伴うことを」

「はい」

そう返事をした後レオは、誰でもなりうるという、ワナクワの行動に怖さを感じた。

[道しるべを出してください]

聞き覚えのある声が響いた。声と同時にソリエラが現れた。

「ソリエラ様?!」

レオは突然の出現に驚いた。彼女の姿は、レオは実際に見た事はないが、幽霊のように透けていた。

「どうなさったのです?まるで物語に出て来そうな幽霊のようじゃないですか」

[私はクエイラ国から遺跡に繋がっているだけで、この場にいるわけではありません。本体はクエイラ国にあります。透けているのは映像を送っているからです]

「映像?」

[わからなければいいのです。これから、私はレオーナ姫の助けを遺跡でさせてもらいます。よろしくお願いしますね]

「そうですか・・・・・・。こちらこそよろしくお願いします」

レオは映像というものを知りたかったが、詳しく聞く気力が湧かなかった。彼女の前だと調子が狂う。どうしてだろうか?やはり、旦那様の想い人であったことが自分を委縮させているのかもしれない。そうレオは自分を分析した。

[さあ、旦那様。道しるべを示してくださいな]

[はい、了解しました]

ソリエラの肩にリィの手が乗った。手はカタカタと音を立てて何か作業をしている。

[さ、完了したよ]

リィの声が嬉しそうに弾んだ。

「ソシア様、光が・・・・・・」

レオはソシアの額に青い光が当たっていることに気が付いた。

「ああ、これが道しるべだ」

ソシアは身体を動かすと光の柱の方を見た。

「光が・・・・・・」

レオは青の剣シェルシードから、一筋の青い光が、本棚の上の方へと伸びているのに気が付いた。

「次はあの方向へ行きなさいという青の剣シェルシードのメッセージだ。これから、このような遺跡を巡る事になる。いくつ回ればどこにイノスの身体があるのかはわからないが」

ソシアはそう言うと東南の方に向いているという事は、もしかしたら、ハスハの方か、と口の中で呟いた。

[青の剣シェルシードを取って下さい。もう、大丈夫です]

そうソリエラに言われ、レオは青の剣シェルシードを光の柱から取り出した。


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