表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
銀の針姫と青の剣  作者: 瑞木晶
第二章 不毛の大地レーン大陸
62/91

第六十話

完結しました。第八十九話までの物語です。主人公レオーナの物語をお楽しみください。

 ―この街を旅立つ夜がきた。カレエとクロウドはお互い別れと再会を誓っている。

「奥様、絶対に迎えに来ますからね。無事でいて下さい」

と言うとクロウドは大泣きした。

「もう、私を信用しなさいよ。老婆を演じきって見せるわよ」

とカレエは夫の肩を叩き、笑って見せた。カレエの身体は立ち上がるくらいの体力が戻ったようだ。

「カレエ様、お元気で。必ず又会いましょうね」レオが声をかけると、「そうね、いじめがいのあるあなたと、再び会えるのは楽しみだわね」と不敵に笑った。

「相変わらず怖いですねカレエ様は」

レオは自分がつらい時でも、こういう人だなとカレエの気丈さを頼もしく思った。

「あら、私はいつでも優しいわよ」

「そうですね。カレエ様は本当の心根は優しい方ですね」

「あらまた、口説きにかかっているの?本当に人たらしね」

「そういうつもりじゃないのですが」レオが焦ると、「しっかりと自分のすべきことをやり遂げなさい。その時に、また会いましょう」とカレエはレオに手を差し伸べた。

「ええ、また会いましょうね」

レオはカレエと固い握手を交わした。

「次に会う時に、例の絵を渡してあげるわ。今は荷物になるから渡せないけど」

「ああ、例の絵ですね。支払いが終わってませんが」

「そうね、構わないわ。特別よ」

「そうですか、ありがとうございます」

「私の最高傑作よ。楽しみにしておいて」

「はい」

レオ達はお互いを見て満面の笑顔を浮かべた。レオを見るカレエのその目は少し潤んでいるようにも見えた。

「じゃ、行こうか。カルームの者に気を付けて」

ソードの声に皆が頷き店の裏の戸から出発した。ただ一人カレエを残して。店の裏から続いている細い道は、ごみが散乱したり、物置になって通りにくいところもあり、早く進むのが少し困難だった。

―それでも、表の道を行くより、こちらの方がまだ人目につかないはず・・・・・仕方ないことだ。レオは口元を覆う布を鼻の頭まで被り直した。

「皆さん、今から街を出ます。ここが一番襲われる可能性が高いと思います。気を付けて下さい」

とクロウドが小さな声でそう注意を促した。




 先を行くクロウドが足を進めたのは、下水道のトンネルだった。輝く月夜の晩の為、トンネルの中に流れる水が、ゆらゆらと光って見える。

「―!人影があります!」

皆がトンネルに入りかかった時クロウドが叫んだ。

「―」

レオが目を凝らして確認すると五人の人影が見えた。この街に着いた時に追って来たカルームの者のようだ。

「やはり、待ち伏せていたか。行くぞ」

ソードは剣を持ってトンネルへと進んだ。

「・・・・・・」

レオは心の中でシデルートの剣士達を呼んだ。ソシアを守る為だ。そして、青の剣シェルシードを背から取り出し構えた。

「この場では剣は短い方がいいです」

レオがそう言うと青の剣シェルシードは青く点滅し、トンネルでの戦闘に適した長さに縮んだ。

「―」

トンネルでの戦闘が始まった。相対する彼らは今までのどの敵より手強いとレオは感じた。急所を一突きなんて甘い事を言っていられないくらい強い。レオは集中力を高め、敵に挑んだ。

―まず一人、レオは敵の一人と一騎打ちをし始めた。敵の攻撃は俊敏でレオは自身を守る事しか出来ないでいる。青の剣はレオを助けたが、敵の方が今までより攻撃力が高かった。

「私もお力になります!」

セノムがレオの助けに入った。

しかし、二人がかりでも敵の戦闘力は高く、苦戦していた。

―どうしたものか・・・・・レオは考えあぐねながら次の一手を打つ機会を待った。

「・・・・・・!」レオは(つい)に敵に隙を見つけた。―足払い、今だ!

「ハッ!」

レオは一気に敵の足を払った。敵は後ろに転がり彼女は、敵の喉元に剣を突き立てた。そして、首を刺し敵の命を奪った。

「・・・・・・」

レオは敵の血で濡れた腕を払うと再び戦闘に入った。

―何も思うな、何も感じるな。

レオは自分に言い聞かせて、セノムと共にゲルダムが戦う相手に向かった。

「・・・・・・」

ゲルダムの方は戦闘能力が高かったせいか、敵はもう命を落とそうとしている。

「命をいたぶらないで。せめて早く楽にしてあげて下さい」

レオの命令に二人はとどめを刺した。

「後は?」

レオがそう他の敵を探すと、ソード達が既に倒した後だった。

「皆無事か?」

ソードが声をかける。

「・・・・・・くっ!この匂いは!アッセンバーの匂いだ!この敵の血には毒があります!後からじわりと効いて行くやつです!皆さんすぐに水で洗ってください」

クロウドが切迫した表情で叫んだ。

「それは、いけない」

皆、彼の声に慌てて従った。下水の水なので汚かったが、そんなことは構っていられない、レオはよく敵の血を洗った。

・・・・・血まで毒にするなんて、アッセンバーは確か、慣れさせるのに苦痛を伴うとセンドリーに聞いたことがある、身体にもよくないのに、彼らは大変な思いだったろうに。レオは倒した敵に同情した。

「これで、一山超えましたね。行きましょう、クルヌーの遺跡に」

クロウドの声に皆頷いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ