第五十五話
完結しました。第八十九話までの物語です。主人公レオーナの物語をお楽しみください。
「よし、今日はいよいよ街に入る。いつもより、より注意を払うことを心掛けるように」
ソードは皆にそう話しかけると、荷を背にして歩き始めた。
「はい」
レオはそう短く答えて、フードを深く被ると、彼の後に続いた。
歩いてしばらくすると遠目に建物が見え始めた。
「・・・・・・あれがシュゼンバーの街だ。戦禍で荒れた不毛の大地の唯一残った楽園と呼ばれている、商人の多い街と聞く」
ソードがそう説明してくれた。
「この街をご存じなのですか?」とレオが質問すると「カレエ達の情報だ」私もこの街の地図上の事しか知らないとソードはそう答えた。
ピイと鳥の声がしたと思ったらソードの肩に鳥が止まった。鳥は緑の羽を持つ美しい鳥だった。いつも、この鳥でカレエ達と連絡をやり取りしているのをレオはよく見かけていた。今からカレエ達とやり取りがあるのだろう、とレオはソードの様子を見守った。
「カレエ達に街の近くまで来たことを知らせる。彼女達からどう行動すべきか、指示があるだろう」
とソードは鳥の足に紙を括りつけ空へ放った。鳥は街の中へ飛んで行った。
―しばらくして、鳥はソードの元へ戻って来た。足には紙が括りつけられている。彼は紙を広げて見せた。
「・・・・・・ふむ、アシェントという店に来るようにとの事だ。街の中心より左手に外れた地下の店か。鳥が案内するそうだ」
行くぞ、とソードは歩き始めた。その肩には鳥が止まっている。鳥は首を傾げたり、ピイと鳴いて見せたりと忙しい。すると今度はレオの肩に止まった。
「可愛いな」
レオは鳥の仕草の愛らしさに微笑んだ。鳥に手を伸ばそうとすると、「触らないでくれる?」とどこかで聞いたような声が鳥から聞こえた。
「え?」レオがその声に困惑していると「わからないの?私よ、わ・た・し」と鳥が見つめている。
「その声・・・・・・もしかして、カレエ様?」
レオは驚きの声を上げた。
「そうよ、今までよく気づきもしなかったわね」
鳥は、ぱちくりと目を動かして見せた。
「カレエ様、鳥になられたのですか?」
彼女の身に一体何が起こったのだ?!とレオは慌てた。
「違うわよ、今だけ、この鳥と私の魂が繋がっているだけよ。実際の私はアシェントの店にいるわ」
全く相変わらず早とちりな人ねとカレエは、ぼやいた。
「つまり、この鳥の中にカレエ様が入っているという事ですか?」
「そうね、鳥が殺されたら、私自身も死ぬという危険があるから、あまりこの術は、やらないのだけど。今はそう言っていられないから・・・・・・仕方ないわね」
そう物騒な事を、さらりとカレエは言うと、―さあ、街が近づいてきたわ。気を付けなさい、と鳥は再び先頭を行くソードの肩に止まった。




