第五十四話
完結しました。第八十九話までの物語です。主人公レオーナの物語をお楽しみください。
「・・・・・・」
レオは皆が眠っている洞窟の中から外へと上がって行った。自身に課す鍛錬の為だ。自分の腕はまだ、青の剣シェルシードのマスターとは言い切れない・・・・・・。青の剣シェルシードを手にすると身体が追い付いていないのがよくわかる。特に魔類と戦うときは自分の能力に限界を感じる。人と戦う時は、よほどの事が無い限り青の剣シェルシードは助けてはくれない。窮地に陥った時だけ青の剣シェルシードは力を発揮する。青の剣シェルシードの力が動いている時はイノスの気配を感じる。レオの身体をイノスが動かしているように思うのだ。
「さて・・・・・・」
剣を振りかざすのに十分な場所を見つけると、レオは一心不乱に剣の基本を一から始めた。相手を想定して剣をふるう。レオの身体から汗が飛び散る。その動きは舞を舞うかのよう。センドリーに教えてもらった剣の基本の型は十一ほどある。振りかざす、横払い、斜め切り、右薙ぎ、左薙ぎ、右切り上げ、左切り上げ、突き、回す、足払い、頭割りなど、レオはその全てをやり切った。剣の鍛錬をするたびに、センドリーの笑顔だけが彼女の頭をよぎる。あんな死に方をさせてしまった自分を呪った。旦那様を見つけたら、人を殺すことはしない。それでいいか?センドリー?・・・・・・彼から答えはない。ただあの愉快な笑い声がレオの頭の中を優しく響かせていた。
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「それから、どうなるの?」
と娘はそう言うと私に近づいてきた。
「今のところ、このお話はここまで。あなたには、もっとこの話をしておきたかったのだけど、もう行かなくてはいけないの」
私はベッドに広げた荷物をまとめて鞄に詰め込み始めた。
「どこに向かうの?」
不安そうに私の右腕にしがみついた娘は震えていた。
「ここよりも、過ごしやすい南へと行くのよ」
「南へ?」
「そう、あなたの故郷から遠い東南の島へ」
「どうしても行かないといけないの?」
「ええ、その必要があるから。故郷から離れても心は覚えているわ。忘れないで、とてもリンゴを愛する故郷を」
「故郷・・・・・・」
娘はそう呟くと外が見える窓辺へと視線を送った。
「いつ発つの?」
「明日朝早くにね。さあ、用意しなさい」
と言う私の指示に娘は物言わずに頷いた。その時の娘の表情は一生忘れないだろうと私は思った。ごめんなさいね、この物語を守る為なの・・・・・・そう心で娘に謝ると私は鞄に持ち込める物を探りながら荷造りを続けた。
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