表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/10

第3話 ベート

男は焦っていた。


しきりに窓を見てはカウンターの椅子に座る。


チラリと見ると老人は一人タバコをふかしていた。


呑気なものだと男は思った。


男の名前はベート、イツキの家から魔剣を盗み出した張本人である。

今はレストランで馬車の主人が返ってくるのを待っている。


そしてタバコをふかしている老人はこのレストランの店主である。


半日前ほどベートは馬車を依頼した。

しかし馬車の主人曰く、雪崩が起きて今は移動できないと話していた。


その代わり道が開くまでは、馬車の主人の友達であるレストランで好きにしていいとのことだった。

気前よく食事もおごると言ったので、男は満足してレストランへ足を運んだ。


レストランでの食事に舌鼓を打ちそれからしばらくたった。


しかし、一向に開通したとの連絡が来ない。


すると玄関の大きな扉が開いた。


「配達です。すみません遅れて」

「なんだ、配達かよ」


ベートは立ち上がって近づくも、目的の人物ではないと分かり椅子に座る。


配達人は新聞を渡しその場から去った。


それからさらに数刻ほどたったが誰も来ない。


ベートは我慢の限界だった。


「おい!まだか!?」


男は大声を上げて老人に詰め寄る。


「ええ、どうやら通行規制が入ったようで…」


老人は持っている新聞を指さした。


「さっきと話が違うぞ!雪道で塞がってた道はもう開通したんだろ!!」

「はい…ですから通行規制が…」


男は老人の胸倉をつかんだ。


「いいから!今すぐ馬車を出すように伝えろ!」

「無理です…」

「だったら…!」


そう言って男はナイフを取り出した。


ダン!!


大きな音共に店の扉が開いた。


そして二人の男、片方は老人の知る人物のアルバートだ。


「よかった…」

老人は安堵した。


だが老人とは対称に男の顔はみるみる青ざめた。



「よう、ベート久しぶりだな」

俺は黒いコートに着いた雪を払いベートの元へ向かう。


「く、来るんじゃね!!」

ベートは老人を離し、ナイフを俺に向けた。


(スキル<鑑定>)

ベートの言葉を無視して、俺は即座にスキルを発動させた。


ベートが持っているナイフ

鉄製のナイフ

<鑑定結果>手入れされていない為刃こぼれあり。

茶色のコート

<鑑定結果>ポケットに何かを発見。


「な、なんだ?」

ベートがうろたえているが構わず俺は鑑定スキルを使い調べる。


<鑑定結果>ポケットの中身、金貨53枚入った袋


内ポケットにも何かを発見。

(<鑑定>開始)


<鑑定結果>葉巻と着火器具そして一枚の紙。


他にはないか再度<鑑定>

<鑑定結果>何もなし。


「おい、魔剣はどこにある?」

「魔剣?何のことだか?」


とぼけた口調のベート少し痛い目を見てもらうか。


「スキル<ガンナー>」


左手が淡く光りそして拳銃が握りしめられた。


「ほぉ」

ベートから距離を取った老人が息を吐いた。


始めて見ればその光景に、みな同じような反応をする。

そして、ためらいなく俺はベートのナイフを握った腕にためらいなく銃口を向ける。


パァン


乾いた発砲音と共にベートの腕から血しぶきが上がった。


「ぐあ!」


ナイフを落としベートは腕を押さえた。


「いきなり撃ってくる奴があるかよ!」

「撃ってくる?」


アルバートが怪訝な顔をした。


「どうしてイツキの武器が撃つものだと知ってるんだ?」

「うっ!教えるかよ!!」


するとベートは近くにあった椅子を俺達に蹴飛ばし裏口へ逃げた。


「追いかけないと!」


アルバートがあわてて裏口へ向かう。


「いや、このままでいい」

「な!?」

「あいつ魔剣を持っていなかった」


俺は座り込んでいた老人のもとへ向かった。


「大丈夫でしたか?怪我は?」

「ああ…なんとか」


老人はゆっくりと立ち上がった。


「すみませんこんなことに関わらせてしまって」

「いや、いいんだ馬車の主人から聞いている。早く魔剣を取り返しに行きなさい」


俺はポケットから金貨を老人に渡した。


「壊れた椅子の代金です」

「これはご丁寧にありがとう」


老人に軽くお辞儀をして俺は裏口へ向かう。


「それと壊した扉代でもあります」


そう言って俺はアルバートと共に走り出した。


老人は後ろを振り返り、大きな穴が開いた扉をみて驚愕の表情を浮かべた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ