疑惑
拐事件のあと、
買い物お手伝いすら外出禁止を言い渡された
「ときお姉ちゃん美人だから」
と、ゆうたくん
ありがとう、、そう思って心、慰めるよ。
昨夜は早くに寝たせいか目が覚めてしまって早朝の掃除へ
この塀の向こうにあんみつ屋さんがあるんだよな
など眺めていたら
「鳥でも飛んでた?」
声をかけられた
「え?」
「ちょっと俺と付き合って」
「え?」
「あんた京介と剣の練習してるんだろ、俺とも付き合ってよ」
「あ、でも、弱いです」
「ふぅん まぁ でも、自分で強いっていう奴に強い奴いないしなぁ」
「あのう、、あなたは?」
「ああ、俺はカズ。京介のお友達」
「京介?」
「橘京介。それで、俺は紀伊和成 」
「まぁ、とりあえず、打ち込みしようか」
木刀を投げられる
これも朝練だと思って、受け取って構える。
さぁ、綺麗な姿勢に整えるぞって時に
バシッ
弾かれた
「全然だな」
「まっまだなのに」
「へぇ、じゃぁ待ってやる」
もう一度構える
整える
よしって思ったら
バシッ
また弾かれた
「いいとこ何もないのにな」
「だから弱いって言ったじゃないですか」
「剣術の筋があるわけでもないし色気もないし
何がいいんだ?この女の」
グサッ
いっいっ色気ぇぇぇぇ 無いわ微塵も
「まぁあいつあれでなかなか子供好きだからなぁ
子守ごっこなのかぁ
あ〜期待はずれ」
「それはどうも」
なんなのコイツもうどっか行ってよ
木刀を置いて箒を取りに行く
「あ、蛇」
「ぎゃっ」
「あれ?見間違いかぁ いないや じゃね」
うううう 嫌い 嫌い 大嫌い!
紀伊和成。意地悪。覚えた。
夕方の鍛錬
この幸せ時間に今日から
あの、意地悪 紀伊が加わった
ううう、
しかもペアを組まされるという
ペアなら小栗くんが良いよぉ優しいのに。
でも、それじゃ小栗くんが上達しないよね、、
涙を飲んで紀伊と練習
でも、良いこともあった
憎らしい相手なので打ち込にめいっぱい力が入る
私、本気で叩きに行ってるので
いつもより熱意(?)があったからかうんと疲れてしまった
小栗兄弟と橘くんが先に歩いて帰る
私もついていかなきゃとよろよろと立ち上がる
すっ っと紀伊くんに体を支えられた
良い人かもって思った瞬間
手を後ろに思いっきりひねりあげられた
「痛い!」
「何企んでるんだ、お前」
「何って?」
「お前の手、綺麗だよな」
「は?」
「とても下女の手とは思えない。この手は何もしてこなかった手だ」
たっ、確かに、、今まで家事なんてしたことない
「髪も綺麗だし肌も綺麗だ。相当手入れされてきただろう。少なくとも、灼熱の畑で
働いてきた者の姿じゃない」
ごもっともです。私はひ弱な現代っ子
「何が狙いなんだ。なんでここで下女の真似してる?」
「何も企んでなんかいません。
あなたに答える義務なんてありません。放してください!」
手が放されたので慌てて体を戻した
「まぁいいや、とりあえずはな」
「でも」
今度は喉元に木刀を突きつけられた
「俺はこの時枝館も橘も大切にしている。お前がそれを壊すというなら容赦しない」
「こっ壊すわけないじゃないですか!鍵原先生は私の恩人です!役に立ちたいとは思っても壊したりしない。絶対」
「そうか」
「悪かったな」
木刀が降ろされた
身体中の力が抜けてその場にへたり込む
「そこにトカゲ」
「きゃぁぁぁぁ」
思わず目の前の紀伊くんに縋り付いてしまう
「農家じゃトカゲぐらい摘めないと勤まんないよ、お姫様」
「では、帰りましょうか」
お姫様抱っこをされる
「はっ恥ずかしい!降ろして!」
「歩けもしないくせに強がらないの」
私を抱えたまま軽々と階段を降りて
すたすた寮に戻って行く
やっぱり体力差がすごい
私も頑張って体力つける
いつかコイツを引っ叩いてやるんだから!