鍛錬開始
こうして夕方のひと時橘くんと剣の修行をする日々が始まった
最初は2人きりなのかとドキドキしたけれど
一緒に小栗兄弟も参加してくれると知ってほっとした
ゆうた、参加してくれてありがとう。
ゆうたのお兄ちゃん
小栗優馬くん
黒田くんほどではないけれど
そこそこの家柄で
平民の学友を差別しないとても優しい良い人
優しくてのんびりしてるって感じ
でも、そののんびりが剣術とか運動系に出ちゃって
気にしてるみたい
だから一緒に修行したいって参加してくれることになった
黒田くんとのことも気にしてるんだろうな
初めての練習
私は体の立ち方を教わって
ひたすら素振り
これが相当疲れる
息が乱れてくる
腕が痛い
休みたい
「まだ立ってるだけだろう、こんなこともできないのか
お前はこの程度でもう休むのか」
キツい言葉
そりゃ橘くん達の練習よりずっとずっと簡単だけど
だけど だけど 初めてなんだもん 疲れるよ
「大丈夫?ときお姉ちゃん?」
ゆうたくんが心配してくれてる
うんと年下のゆうたくんが私と同じ練習頑張ってる
私がへこたれるなんてカッコ悪い。意地で頑張る!
「大丈夫です、ご心配なく」
「なら、もう一度姿勢を正すところからやり直し
乱れている」
あ、疲れて腕が下がって体が傾いてきてて余計疲れてしまったのか
言われた通りに姿勢を正して続行
黙々と振り続ける
あああ、駄目、もう、倒れる
というところで休憩
橘くんと小栗兄との模範演技を見学
見てる分には美しいけど
自分がやるとなると無理しか出てこない
時代劇ではなんとも思わなかったけど
今の私って本当に切られちゃう可能性あるってことだよね
これは本気で対策せねば ううむ
とりあえず真面目に教えられたことは頑張ろう。と心に誓う。
それにしても疲れたなぁ
ゆうたくんすごいよ
小さいのにこんなキツいの頑張って
「ゆうたくんすごいね、疲れたでしょ」
「うん。疲れた。でも、僕頑張りたいんだ」
「すごいね」
「すごくない、、。僕弱いから強くならなきゃいけないんだ」
「そっか、偉いなぁ。私も負けてられないなぁ。頑張らなきゃ」
「偉いですよ、小鳥遊さんも」
小栗兄が声をかけてくれた
「初めてだと、とっても疲れるでしょ」
「はい、慣れなくて、でも、だんだんコツが掴めた気がします」
「ありがとう小鳥遊さん」
「え?」
「鍛錬に誘ってくれて」
「僕は、、運動が苦手で、どうも瞬発力が必要なものは駄目で
いつも負けてばかりなんだ。だから、もう、どうでもいいと諦めていた。
でも、諦めたままじゃ何も変わらない。
苦手こそ何度もやらなきゃって思えたんだ」
「小鳥遊さんはいつも頑張ってるよね
料理とか掃除とか
最初は虫が怖くて叫んでたのに最近は虫に強いんだよって
ゆうたから聞いたよ。」
ゆうた、、、そんな恥ずかしい話を兄さまにぃ、、まぁ許そう
「これからもゆうたの良い友達でいて欲しい。
そしてよかったら僕とも」
そう言われて 夕日を浴びている以上に顔が赤くなった
き、気がつかれていないといいなぁ
その日はこれで練習が終わりとなってみんなで寮に帰った。