表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
飛輝  作者: 留衣
2/10

それぞれの気持ち

数日が過ぎだんだんこっちの暮らしに慣れてきて

余裕が出て来たので、寮の掃除もお手伝いすることにした


ここの時枝館には色々な大名の御子息が学びに来ているらしい

そして本当は大名の子息のための藩校だけれども

平民でも優秀であれば寮に入って学べるという

「素敵ですね」

「でもね」

梅子さんの表情がちょっと曇った

「劣等感というのかしら、、喧嘩も絶えなくて。私が上手く心を繋げられたら良いのですけれど」

「そうですね、私たちで頑張っていきましょう」

「ええ」

そんな話をしてる最中

けたたましい叫び声が聞こえてきた。

慌てて駆け寄る

ゆうたがびしょ濡れになっていた


「ゆうた!どうしたの」

タオルで拭いてやる

「僕より、僕より、お兄ちゃんが」

「お兄ちゃん?どうしたの?」

「お兄ちゃんが怒って黒田様と剣で勝負って」

「どこで?ひょっとして神社の?」

「そう」

「梅子さん、ゆうたくんお願いします。私、神社に行ってきます」

私は飛び出した

私が必死で階段を登っていくとき

悠々と降る黒田くんとすれ違った

ということはやっぱり

ゆうたくんのお兄さんは、、、

階段を登り切るとうずくまっている影が見えた

怪我してないだろうか

心配で走り寄ろうとした時

大きな力で止められた

「行くな」

「でも、怪我、、」

「俺たちのことは俺たちでやる

女が踏み込むな」

抵抗したけれど敵わず

結局そのまま時枝館に戻ることになった


心にぶつぶつ不満を抱えながら朝の用事

食器を洗って掃除

掃除をしていたら朝、私を止めた奴とすれ違った。

くぅぅ名前覚えてやる!

「すみません梅子さん、先ほどすれ違った方はどなたですか」

「え?ああ、彼は橘くんよ とっても頭がいいの教えがいがあるわ」

へぇ、心は意地悪みたいだけど

「ありがとうございます。梅子さん」

橘ね。よし、覚えたぞ


昼休み 鍵原先生のところに報告に行った

鍵原先生は腕組みをしながら目をつむって聞いていた

「あの態度はなんなのですか!黒田さんってとっても乱暴です 退学にできないんですか」

「確かに乱暴なんだけどね」

「身分が高いからですか」

「う〜んそのことなんだけど、、

秘密に出来るかい」

「なっ、何でしょう」

「黒田家は確かにすごい大名なんだけど

黒田くんには腹違いの兄弟がたくさんいてね

彼のお母さんは平民なんだ

それで、腹違いの兄弟とは違う

ここ時枝館に入学しているんだよ。

他の兄弟に負けたくないとか

色々な悩みを持っていてね

だからって乱暴が許される訳じゃない

だけど、私が丁寧に指導をして

自分に自信が持てるようになれば

変われるんじゃないかと思ってね」

「あ、、あぁ そうでしたか」

彼なりにプレッシャー感じてるんだなぁ

そうか、揉め事ってそう簡単に解決できたりしないよなぁ

私だって学校辛くて神社にお参りに来て

それで今、ここにいるんだもん、、、

あ、思い出した!

そういえば神社で最初出会った青年って

橘くんでは!?

あの時助けてくれたよね

あれ?良い人なの?

ちょっと分からなくなってきた


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ