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飛輝  作者: 留衣
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出会い

学校の帰り

ちょっと人間関係でイライラして

真っ直ぐ帰る気分じゃなかった

「遠回りしよう」

神社に向かう

階段を登る

ほんのちょっとの高さの違いなのに

なんだかとても清々しい

木々に囲まれると

なんか落ち着く

「はぁ 落ち着いたし帰るか」

「わぁぁぁぁ 」

「え?」

急に小さな子供の叫び声がした

なに?喧嘩?怪我?

助けなきゃ

普段は入らない木々の中に

飛び込んだ


小さな男の子が泣いていた

その周りにはその子より少し年上の子が

木刀を持ってその男の子を殴ろうとしていた

「やめなさい」

「なんだよ俺に逆らうのか」

「危ないじゃないのそんなもの振り回して」

「うるさい!お前から切ってやる」

うわっと思って身構える

バシッ

「痛い」

殴られたのはその子の方だった

青年が立っていた

「お前のようなものが木刀を持つな」

「この下郎!俺様に触るな馬鹿野郎」

そう叫んで逃げていった

青年はそれを見るとスタスタ歩いて行ってしまった

泣いていた子が近づいて来てくれた

「お姉ちゃんありがとう」

「ううん 私はなにもできなくてごめんね」

「お姉ちゃん変わった格好だね 天女様?」

「え?」

そういえばこの子もさっきの子もみんな着物だった

お祭りの練習かなぁ

そう考えていたら後ろから声がした

「助けてくださってありがとうございます」

振り向くと着物の大人の男の人だった

やっぱり着物だ

「あの、皆さんお着物ですねお祭りの稽古ですか?」

「え?、、いや、、、えっと、、、

あなたはずいぶん珍しい格好をされていますね

南蛮の方ですか?」

「なん、、ばん?」

「それは洋服というものではないでしょうか 

お持ちになっているのは鞄ですか」

「ええ、洋服に鞄です。時枝高校から帰りに神社にお参りに寄ったんです」

「時枝高校、、それはなんですか?」

「え?高校です。羽衣交番の横のコンビニ曲がった先の奥にある」

「羽衣?交番?コンビニ?」

すごくキョトンとされた

嫌な汗が背中に流れる

まさか、、まさかね

タイムスリップとかって言わないでよね

私家に帰れるよね?

ぐぅぅ

大きな音がした

「お腹空いた」

男の子がお腹を押さえた

「あ、じゃぁこれあげる。パン。今日お多めに買って食べ切れなかったから」

カバンからパンを取り出す

「それは何ですか?」

「ピーナッツクリームです。あ、ピーナッツアレルギーとかお持ちですか?

そうかうっかりあげちゃいけないですよね、大丈夫ですか」

「珍しいことばりで何と言ったらいいのか」

「先生!食べたいよぉ〜」

「手も洗わないといけないし、教室に行こうか

そちらの方、どうか私どもの教室にぜひお越しいただけないでしょうか」

「はい、、」

何がなんだかわからなくなった私

とにかく情報を集めなくてはと

一緒についていく


神社の裏に大きな空き地があった 剣術の稽古をするための場所らしい

そこをすぎると階段があって降ると 大きな建物があった

校舎と寮のようだった


どう見渡してもビルはないマンションもない電柱もない

知ってるはずの場所じゃない

これはいよいよ、、私、、異界体験中!?なのか!?

これから生きていく場所を作らなくては

差し迫って今日の寝る場所

今すがれる人はこの先生と呼ばれた人だけ

縁が切れないようにしなくては


門をくぐる 横に時枝館という文字が刻まれていた

そういえば何か地域学習で習った気がする

「藩校?」つい声に出た

「ええ、私はこの時枝館を任されている鍵原と言います

そしてこの子は我が校の生徒」

「小栗ゆうた」ゆうたくんが元気よく教えてくれた

「ゆうたくん仲良くしてね」

「私は小鳥遊飛輝(たかなしとき)です」

「小鳥遊さん先程はありがとうございました

どうぞこちらへ」

案内されたのは来客用の素敵なお部屋だった

「お茶をどうぞ」

女の人がお茶を出してくださった

「私の妻の梅子です」

「初めてまして。小鳥遊飛輝です」

素敵な仕草。着物も素敵だなぁ

「ときお姉ちゃん!手を洗ったよ」

ゆうたくんが飛び込んできた

「ゆうた、行儀良くですよ」

「はい、ごめんなさい」

「小鳥遊さん先程のパンというものを見せていただけますか」

「あ、はい」

パンを取り出した

鍵原先生はパンを受け取ると珍しそうに色々ひっくり返して眺めていた

「これは、このパンを包むものは何でできているのですが」

「え?ビニールのことですか」

「ビニールというのですか。薄くて丈夫で透明ですごいですね」

「あ、、そうですね」

「あなたの暮らしていらした世界のことを詳しく教えていただけないでしょうか、

遠くからお越しなのですか?またここに来ていただくことはできますでしょうか」

「あっ、、あのっ」

ええい もう思い切って言ってしまえ

「住むところがないんです。ここでお世話になることはできますでしょうか」

「住むところがない?親御さんと喧嘩されたとか?」

「いえ、、あの、、こんな話信じてもらえるかどうか、、」

ええい 言っちゃえ

「私、未来から来たんです」

「未来」

「嘘じゃないんです」

「ええ、信じます。この製品はとても今の技術で作られるものじゃない。

では、貴方は、行く場所がないのですね。」

「はい」

「では、どうかこちらにお住みくださいませ。ここには寮もありますし」

「ありがとうございます」

「でも、未来の話はここだけにいたしましょう。貴方の身に危険が及ぶかもしれません」

「ゆうたもだよ、分かったかい」

「はい。約束します。話したらお姉ちゃん困るんでしょ。僕は困らせないよ」

「良い子だ」

「ありがとうゆうたくん」

「ねぇパン食べちゃダメなの?」

「そうだねぇ、、じゃぁみんなで少しづついただこうか」

「やったぁ!」

「なるほど、食べたことのない味ですねぇ。それに工夫もすごい。貴方にはこれからも色々うかがっていきたいものです」

「はい、私で分かることでしたらなんでも」

ということで、私はこれからこの時枝館に住むことになった

服とか色々身の回りのことは奥様の梅子さんがお世話してくださる。

私もお世話になりっぱなしじゃいけない

お料理、掃除出来ること手伝おう。

「あのう、、梅子さん、何かお手伝いできることは有りますか」

台所の梅子さんに声をかけた

「まぁ嬉しいわ、ありがとう。今日は煮魚なのよ」

「あ、良いですね、魚美味しいですよね」

「じゃぁお魚取ってくれる?」

「はい。」

と、探せども冷蔵庫がない

「あの、、お魚はどこに?」

そこにゆうたくんが現れた

「人参採ってきたよ!」

「あ、ゆうたくん冷蔵庫ってどこ?」

「冷蔵庫?」

「あ、えっと、お魚が入っているところ」

「お魚こっちだよ」

ついていく

「ここだよ」

外に大きなタライがあった

「はい」

「ぎゃっ」

ゆうたに生きた魚を渡された

「ちょっ 怖い 怖い これどうするの きゃぁぁ」

タライに投げ返す

騒ぎを聞いて梅子さんが駆け寄る

「大丈夫?」

「あ、ごめんなさい、私、魚は切り身しか知らなくて」

「まぁ、それじゃぁ怖かったわよね」

「ほっ他にお手伝いできることは」

「、、、そうねぇ、、 あっ!葱を採ってきてくださるかしら」

「はい、葱ですね」

よし、葱なら怖くないぞ!

「ゆうたくん、場所教えて」

「いいよ、一緒に行こ」

畑に到着

さぁ葱を抜こうと思ったら

葱の隣に植えてある

茄子の葉にうごめくものが、、

「ぎゃっ 虫!虫!もぞもぞしてるぅ」

「ハダニだよ、退治しとかなきゃ」

ゆうたがひょいひょい摘んで潰す

あああ、そうかそうだよね

農家さんありがとう

今までお気楽に食べるだけでごめんなさい

結局ゆうたに収穫してもらう

私、なんの役にも立ってないよぉ

結局お手伝いは食堂の机を拭くという

お仕事になった

意気消沈して机拭き

ああ、こんなことしかできなくて情けないなぁ

ってぎゃぁぁ

すっごいすっごい顔ぐらいの大きさがある蛾が

机にとまってるぅ

こっ怖い怖い怖い

だけどだけどこの仕事まで出来なかったら

私はなんの役に立つというの?

そうだ、ゴキブリと同じに何か棒で追い払わなくては

箒を取ってきて構える

決死の覚悟で蛾と対峙する

「そこ、退いて、退いて、退いてぇ!」

やっと蛾が退いてくれた

ぱちぱちぱち

振り向くとゆうたが拍手してくれていた

「お姉ちゃん頑張った!えらい」

「ありがとう」

なんとなく達成感。役に立った気分で机拭き終了


それにしても、異世界で野宿とかでなくてよかった

外で色んな虫さん達と一緒に寝るなんて怖すぎだよ

鍵原先生と出会えてよかったぁ

感謝しかない

これからも精一杯お手伝い頑張るぞ


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