6、涙の答え合わせ
お読み頂きありがとうございます
拙い作品ですがよろしくお願い致します(ぺこり)
「ただ、種族とか細かいところは分かりませんけどねー。鑑定のスキルとか合ったら欲しい………はぁ…」
今まで何を言われていても笑顔だったのに、そう言いながらションボリしている。
「無いものねだっても出てこない。出てくるのは、“ストレージ”」
ブゥンと音がした所に空間の歪みが見える。マーチは、おもむろにそこに手を突っ込んでさっき言っていた、チャクラムを取り出した。
「武器とかお菓子とか、仕舞い込んだものだけ…」
(空間魔法も使えたのか。)
デルはマーチを見つつ若干呆れている
「どれ使います?ロック鳥のチャクラムと、ガーネリアンスネークのチャクラムと、リヴァイアサンのチャクラムがありますけど」
「ガーネリアンので……」
(ロック鳥とかリヴァイアサンとか触るくらいなら、まだマシ)
とか思ってソレを選んだが他のチャクラムの三倍はキラッキラしていた。武器として投げづらいことこの上ない。しかし他のはこの合間に仕舞われてしまった。今さら代えれない。
(後で返して、ちゃんと武器屋で地味なの買おう……)
イケメンは嘆いていた。
「モンスターとか、とくに今は狩らないからな、試し投げするだけだ」
「了解です」
「スゴーい!チャクラムが生きてるみたいにビュンビュン動いてデルさんの手元に綺麗に戻ってくるー。流石使い慣れてると言うだけありますね!!」
「少しだけ魔力を流して移動に力を貸している。目が肥えて頭の回転の早い者ならすぐに軌道くらい読める程度の動きだ。」
「でも、凄いです!言うだけ言ってド下手くそな冒険者もいるので、この動きをそのまま教本にしたいです」
「…やめてくれ」
チャクラムをマーチに返す
「えーーー。……まあ、冒険者やっていくのには全く問題ない戦闘スキル持ってるって分かったから、街案内に戻りますか」
「戻る前に1ついいか?」
「はい」
「本当はどこまで気づいてる?」
マーチは空間魔法に手を突っ込みながら喋っている
「そか、街中戻ったらこの手の事は喋りづらいですよね。今なら草原だから人居ないし。」
「で?」
「で、って言われても、多分そうなんだろうなぁって所を言ってただけで、心が読める訳でも過去を覗ける訳でもないので、正解はデルさんしか知り得ませんよ」
ブゥンと音がして空間魔法を閉じ終えた
「憶測を答え合わせしてやってもいい。」
「えっじゃあじゃあじゃあ!エルフ様ですか!?」
「違う」
「聞きたくなかったあァァァァァァァァァ!!!!」
マーチは崩れ落ち、まるで五体投地しているようなポーズになっていた
「エルフエルフ詐欺ですよぉぉぉ!!こんなにエルフ様っぽいのにぃぃぃうぁぁぁ……」
顔は草原にめり込むようにも見えなくもないまま叫んでいる。
「ぐすんぐすん……気づいてるって言ったってぇ、デルさん気づいてなかったかも知れませんがぁ、冒険者ギルドの位置って街で一番大きい中央門から結構離れてるんですよぉ。冒険者にしても、商人にしても、他の街から来たときは手続きがあるから中央門でやらなきゃですし、昨日あの時間であんな場所に居ておいて『さっき着いたけど、街案内はして欲しい』って言ってる時点で門から入って無いなってのは、分かりました。ガッツリの街名所とか通りますもん」
「なるほど、迂闊だった」
「そうなると、街所有の有料の転移陣を利用するか、個人の膨大な魔力スキルでの転移魔法発動するかの転移関連2つか、じゃなければ、街に時々ある結界の綻びから、入ってきちゃう魔物の類いかなって、でも」
「でも?」
「オーラが見えたので、あっ人外だなって」
「見えるのか」
「見えるんですよ、子供の頃は皆オーラ見えるんだと思ってたくらい、結構ハッキリと。」
「それも鑑定スキルの一種だ」
「えっホントですか!?」
マーチはようやく、ガバッと顔を上げた。姿勢も座る体勢に変わった。五体投地風の嘆きはもういいようである。
「これはもっと人を観察していかなくては……」
「……」
(教えないほうが良かったかもしれない……)
「あ、で、人外までは分かったんですけど、さっきお父さんに呼ばれた用事でデルさんが何処から来たのかわかった気がしたんです」
「フム、何処から来たと思う?」
「過去から。」
「……」
「デルさんはずーーっと冒険者ギルドの裏に居たんですね。まさか魔獣封印の岩に封印されてただなんて、テキトーにポケットに入ってて古いハズのコイン新品並みに綺麗にでしたものね」
じゃなければ五倍になどならない。よくて三倍だ。それでも儲けだけど。
「そこまでわかってて、種族がわからないとか、逆にスゴい」
「嫌味過ぎる!!」
ガーーーーン
「でもお金は助かった。感謝してる」
「デルさん……あの……その……結局デルさんはなんの種族なんですか」
「…………なんかもうここまで来たらお前には自力で気づいて欲しくなるな」
「エエエエエエエエ!?答え合わせしてくれるって話だったのにぃぃ!??」
「憶測ありきの話だったハズだぞ」
「ソーデシタネ、エルフ様ジャナイナラ、ナンデショウネ」
マーチはヤケクソになっていた。
お読み頂きありがとうございます。五体投地とスライディング土下座ってほとんど格好同じですよね、って画像検索しててなんとなく思いました。やってること違うハズなのになぁ……