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18、あまからは、おいしいでち

10月もよろしくお願いします。今月は何話更新できるかな


2話同時投稿の一本目です。


誤字報告、評価などなにかございましたらよろしくお願いします



▼▼▼▼▼

「んででふね、へっひょふ、よくわかりゃないんでふよ」


「口にもの入れて喋るな」


「ふみまへん、ごくん」


「まぁちは、おぎょうぎがわるいでち」


「シエラちゃんにまで!?」


お昼過ぎなこともあって、マーチが買ってきた串肉、パンで食事休憩しているところだ。何が好みなのか聞いてから買いに行かなかったので、色々と取り揃えた。


串肉は定番の塩、辛めのコショウ、レモン風味、ハーブ塩、タレ、を一本ずつがそれなりに大きさがあるが、よく食べるときいたので一応多めにと、4~6本ずつ買った。パンは固めの黒パン、球技ボールの4等分したぐらいのサイズのものを食べやすいようにスライスしてもらったものと、大人の拳サイズぐらいの丸い白パンが数個と、白パンだけど黒パンと同じサイズの少し固めに作ってあるパンで中にオレンジ色に近いサイコロ状のチーズが練り込まれゴロゴロ入っているパン、こちらも食べやすいようにスライスしてもらってある。を、みんなで好きなように食べていた。


取り揃えたといっても、串肉とパンである。さすがにスープは空間魔法を使っても取り出す時に大惨事しか起こさないので、買ってない。飲み物は水オンリーだ。


(デルさんの髪はようやく纏めた。もちろん、エルフっぽく!耳側で細い三つ編みをつくりそれを後ろに流す感じに少しずつ編み込み入れて、締めの部分は小さなおだんごをつくり、下は流す感じにしてある。)


(おだんご+下を流すパターンか、ポニーテールパターンか、かなり悩んだ。でもやっぱり定番中の定番をまずはやっておかないと!次に髪触らせてもらえるかも怪しいので、出きるときに出きることを!)


「で、なんて言ったんだ」


「デルさんの背中の呪文ですが、結局よくわからないんですよ、って喋りました!」


「ま、期待はしてない。すぐわかるようなら、とっくに解呪してるさ」


「シエラちゃん、お口に合う?」


「あい!にんげんのたべものは、おいしいでち。とくにこのおにく、べったりしたのがあまーくて、だいすきでち!」


(べったり…言い方(笑))


シエラの口こそソースだらけでベッタリだ。舌で口周りをなめ取ってはいるが、全部取りきれてない。


(後でハンカチ濡らして口拭いてあげなきゃ)


「ソースのことだね!そう、そのソース甘辛でお肉進んじゃうよねー!」


「あまから!あまからは、おいしいでち!」


「む、そうなのか?ニオイはいいが見た目がいまいちだったから、食べてないがまだあるか?」


「なんですと!?食べてくださいよ!あっでも」


(エルフぽい顔の人がソースベッタリ口に付いてるとか)


「いや、やっぱり食べないでください」


「おい、今…」


「あいっデルしゃまーあげましゅ」


「あぁっシエラちゃぁぁんん」


「また、くだらんこと考えてただろ。」


シエラちゃんが器用に木皿を前足2つで挟み込み、デルに渡した


「……もしかしてシエラちゃんも人間バージョンなれたりします?」


「なれまちゅ!」


「まだ無理だろ」


「どっちですか」


(シエラちゃんは自信満々に答えているが、デルさんの反応を見る限り出来ない理由がありそうな雰囲気)


「なれるでち!」


「じゃあやってみろ、見ててやる」


(こっこれは、売り言葉に買い言葉では?)



「むむむむむむむむむむむむむむむ」


「ごくりっ」


(がんばれシエラちゃん)


「…」


デルは静かにシエラを見ている。


(デルさんてば、シエラちゃんから受け取ったお肉を食べずに真剣にシエラちゃんのことをみてる…)



「むむむむむむむむむむむむむむむ」


「…」


「…」


「むむむむむ」


「…」


「…」


「…で、できない、でち………」


「人間でいう所の10歳ぐらいにみんな出来るようなスキルだ。まだ出来ないのは普通のことだよ」


「あー、なるほど」


「むぅ……ほんとーにできそーなきがしたんでちけど」


小さな真っ白いフェンリルは膨れている。デルはシエラから貰った肉を頬張り始めた


(デルさん顔がほころんでる。美味しかったみたいでよかっ……あぁ…口にソースが、エルフぽい顔にソースが……っと、そういえば)


「あ、そーだ、草原にいた子達ね、シエラちゃんに“ごめんね”って伝えてって言ってたよ」


「えっ?」


シエラはとてもキョトンとした顔をしている。


「なんで、あいちゅらがちえらに、あやまるでち?」


「悪いことしたなって思ってくれたから謝ってくれてるの。逃げちゃうくらい子供達に抱っこされるの本当は嫌だったんでしょ?私も、デルさんと子供達を結局止めなかったし、ごめんね」


「えっ、そりゃイヤでちたけど、でも………でも………」


意外だと顔に書いてるような顔をしている。この小さいフェンリルは表情豊かだ


「もしあんまり嫌じゃなかったなら、また次に草原で会ったときはシエラちゃんも、逃げてごめんねって言えば大丈夫だとおもうよ?」


「……にんげんて、すぐあやまるなんて、へんでち……」


「俺も済まなかったな」


「それはほんとにね」


「デルしゃまが、あやまりゅのはとーぜんでち!」


「そ、そうか……」


女子達は辛辣である。


「わたちも、つぎ、あいちゅらにあったら、ゴメンしましゅね」


「うん!」


「そうだな」






「ところでその呪いって誰に付けられたんですか?」


「…」


「…」


(デルさんが黙っているのは解るけどシエラちゃんまでいいそうにない?あれ?)


「あっ言いたくないならいいんです!解けない呪い付けるなんてスッゴい人なんだなぁって思っただけなので!」


「スゴい人?」


「すごいひと?」


デルもシエラも変な顔になる


(えっ地雷!?地雷踏んだの私!?)


「えーーーーーとぉ…」


話を変えようとするが慌てている時に限っていい話題が見つからない


「すごくなんかないでち!!あーんなやちゅ!デルしゃまのあしもとにもおよばにゃいのに!もうっ!ほろんでちまえー!」


(物騒だなぁ)


「シエラ、宿だから、あまり大声を張り上げると女将さんに怒られるぞ」


「おかみしゃん?ダレでちかソレ」


「シエラちゃん寝てたから知らないよね。ここの女将さん。宿をお仕事にしてる人だよ。部屋を貸してくれてるの」


「おへやを…そうでちたか」


(あっ今なら話を変えられそう)


「シエラちゃんパンならまだあるけど食べる?」


やはりと言うか長持ちする黒パンが残った。お肉はあんなにあったのに残っていない。


「もういいでち」


「デルさんは?」


「俺ももういい」


「じゃ残ったパンは収納しときますね。」


ちなみにさっきシエラが使っていた木皿もマーチがお菓子を食べる時用に入れておいた私物だ。出すときにデルが「さっき言っていた空間魔法と言うのはこれのことなんだ」とか説明してくれていた。ブゥンと空間魔法を使うと、聞きなれない音だからかシエラはビクッとする。そのうち慣れるだろう。紙袋に包み直して黒パンは収納された。お皿は洗ってから収納しよう。


「そういえば、この後どうします?シエラちゃんもデルさんも、本調子じゃないなら、このまま宿で休んで、町案内の続きは明日にでも」


「ままま、まちあんにゃい!?まちあんにゃいちてたんでちか!!わたち、まち、見たいでち!!」


まさかの食い付きだ。


「俺もダルいのは(おさ)まってるし、またおかしな感覚があれば伝える。シエラも毒が体を巡っていたんだから、疲れたり変だと思ったらすぐに言え。」


「あい!デルしゃま!」


「じゃあ、お二方共、外に行くってことでいいですね。それじゃ行く準備しましょう。」


と、マーチは言うなり部屋を急に出ていった。


「デルしゃま?あいちゅなんで出ていったんでちか?」


「準備?と言ってたが、わからん」


バタンと、そんなに時間経たずにマーチが戻ってきた。マーチの手元には小さな桶があり、そこから湯気がでている。桶に突っ込まれていたハンカチをぎゅっと絞りマーチはニコニコしながらシエラに近寄る


「シエラちゃーん、お外行く前にソース拭きましょうねぇーー」


「なめてありまちゅだいじょーぶでち…だいじょー………ぴぎゃーー!!!!」


「デルさんも!口周り綺麗にしてくださいね!」


「お、おう…」


まさかソースひとつでシエラの悲鳴を聞くことになるとは思わなかったデルは、若干引きぎみである。


「おいしーけど、あまからは、めんどーでち」


ソースとはそういうものだ。

■勝手に質問コーナー■


Qニガテだと思うのはなんですか?


マーチ「お父さんがやらかしたときに、隣にいるカルロスさんの今にもキレそうな顔…かな?」


デル「正式な名前で呼ばれることだな」


シエラ「まぁちがニガテでち!」


マーチ「なぁんでぇぇぇぇ!!!!!????」


デル「悪い奴じゃないのはわかってはいるんだが、仕方ないと思うぞ」


マーチ「ちょ!?え?!デルさんまで!?!」




★注意★前回もデルのことで書いたのですが、シエラはモンスターなので犬が基本的に食べれない物も食べれます。玉ねぎやユリ科の野菜、香辛料などの刺激物、は現実のワンちゃんに与えないようにお願い致します。


シエラ「ワンちゃんじゃないでち!ちえらは、フェンリルでち!」

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