17、東の地への切望(絵付き)
誤字報告とかなにかあれば、よろしくお願いします
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「えっなにこれ」
部屋に入ってすぐに変化に気づいた。というか気付かない方がおかしい。なんでこうなったのか検討もつかない。なぜって当人は寝てるっぽい。
(えっどういうこと??なんでこんなことに)
「寝ると無意識になる……とか?えっとぉ、それなら起こして…みる?」
ちょっとばかり恐怖を覚えたので買ってきた荷物は入り口のドアの近くに置くことにした。本当は設置してある机に乗せたかったけどデルさんらしきものの近くなので、やめておいた。
遠巻きに、
「デルさーん起きてくださーい」
と言ってみるが起きない
「こ、こまったな…」
(でも、前に見たオーラと同じだしデルさんに違いないんだから、だからそう、揺さぶれば起きるはず、揺さぶる…ごくり……)
ゆっくり手を伸ばし肩の辺りだろう場所を掴んだ。揺さぶろうとしてみるが軽く動かそうとしても動かない。しょうがないと諦めて強く揺さぶってみる
「でっデルさぁん起きてくださーい」
若干泣きそうな声になっている
(だってまさか)
そのまさかだ。
(デルさんがブラックユニコーンに変身しちゃうなんて!!)
「んん……」
デル、もとい、ブラックユニコーンは少し声をあげ起きそうだ。ユニコーンは馬だ、デカイ。ベッドからはみ出していた。馬に蹴られて死ぬという言葉もあるくらい危ないが、起こさないと。動いて蹴られたら、本当に危険だが、その前にデル自身が魔力枯渇で死にかけたら、たまったもんじゃない。
「デルさん起きて!お願い!気付いてぇ10分ぐらいで魔力が無くなっちゃうって言ってましたよね!?何分前からこうなってたんですか!起きてぇ!!」
馬の肩の辺りと思う所を頑張って掴み揺さぶるがまだ起きない
「どーちたんでしゅか」
デルではなく、シエラが起きた
「シエラちゃあんんんデルさんが馬になっちゃったぁ」
「えーでるちゅたいんしゃま!!!元のおしゅがたに、もどってましゅ!!」
「……うるさい、なんだ……」
「起きてくだちゃい!デルしゃま!!」
「シエラも何を騒いで…えっ」
「良かったぁ起きたぁ……」
蹴られそうにならなかったので、気が抜けてその場に座り込んだ。
「なんでへんちんしてるでしゅか!?」
「こっこれはどう言う事だ」
デルも慌てている。ブラックユニコーンの姿で。動くとベッドがギシリと嫌な音を立てる。壊れそうな音だ。
「マーチ、そこをどけ、立ちたい」
「うぇっ!はいっ!」
すぐさま壁の方に避けた。ブラックユニコーンが四つ足で立つと、その背中に人が乗れば天井に簡単に手が届く、そんな大きさだった。良い宿じゃなかったら、ベッドはとっくに壊れていたし、天井にもついてしまうどころか狭くて立てなかっただろう。特に一角の角が危ない。
「なんでこんなことに?」
「わからん。なんせこんなことは呪いを受けてから始めてだ。自分の意思で変身して戻れるが、寝てる時になったことは1度もない。昨晩も寝た時はなんともならなかった」
「あたちも、そんなのはじめてみまちた」
「お前が帰ってきてからどのくらい経ってる?」
「まだ2分もいってないと思いますけど、でも帰ってきた時にはもうその姿だったので、寝た時間もわからず……その、体調というか、魔力は大丈夫ですか」
「まだ大丈夫そうだ。あ、具合か。そういえば寝る前にすごくダルかったんだ、関係あるかもしれない」
その締めにブルルルとブラックユニコーンは鳴いた。
「え、そうなんですか。ムリしないで言ってくださいよ。今はもう大丈夫なんですか?」
「いや、まさかこうなると知っていたらさすがに言っていた。今は大丈夫。ダルさはない。そうだ、オーラとか気とかお前達感じれるだろう、変化とか感じなかったのか?」
「…さっき確認したのと昨日確認したのと、あまり変わりありませんけど」
「デルしゃまの気はふういんまえよりも、ちいしゃくなってて、きのうはわかりましぇんけど、あったときも、へびのところいたときも、今もおなじにみえましゅ。」
「そうか」
「でもこのままだと呪いのせいで魔力が減り続けるんですよね?」
「のろいがとけたのでは、ないのでちか?」
「背中が熱いからまだ呪われたままだな」
「しょんなぁ…デルしゃまがバタンキューちてしまいましゅ」
「呪文がくっついてるんでしたっけ」
「あぁ、強力で剥がれない」
「デルしゃま、じつはあたちのろいをとれるかもちれない、おはなちをきいたことがありまちゅ」
「本当か?どんなのだ」
「まじょのくにとかエルフのくにとかを、いどうしてくらしてる、みんじょくが昔からのろいをかけたり、といたりする、おしごとをしているから、きょうかいさんでとれなかったら、さがしてのろいをとってもらうといい。って。アッチのチイキにすんでるひとたちは、とちからパワーをもらってるかりゃ、つよいまほうもかんたんだって。いってまちた。」
「移動民族…そういえばそういう話、少しだけ聞いたことがありますね」
「東の方だな、そっちの方が魔法の力が強いとは聞いたことがあるが、そんな民族いたのか?」
「私、冒険者ギルドの方の情報しかわからないんですよねぇ。民族は冒険者ではないので、情報は冒険者から買ってる分とギルド職員が個人的に仕入れたりしてる分しかないんですよ。後はその国とかの上の人たちがやる部分になるので、聞いたことがあったかもしれない、程度ですね。ギルドの通信でそちらの国のギルドに話して確認がとれなかったら、ソコに行かないと真偽は不明です。」
「…不明、か」
「それより今これ、どうします?」
「どこかに行くにちても、おへやでれまちぇんね」
「……」
「人間の姿になれーって考えたら、なれないんですか?」
「呪いを受ける前はそうやってたな…え、と、………」
「「ごくり」」
デルのやることに、マーチとシエラは固唾をのんで見守った。するとシュオオオオという音と共に黒い星のような光がデルを包み込んだ
「なれた!デルさん、なれてますよ!」
「デルしゃまこれで、バタンキューしまちぇん?」
「あぁ、たぶんな。あんなに戻りたかった姿なのに理由も解らずになるのは、少し怖いものだな」
「背中の張り付けられてる呪文見せてもらってもいいですか?」
「ああ」
変身の仕組みはよく知らないけれど、デルさんは変身すると同時に服も生成していた。
(どうなってるんだろう。すごいな)
デルさんはベッドに腰を下ろして上を脱いだ。髪が邪魔なので首から右側に横に流す感じにしてくれた。
(そういえば髪をまだまとめてなかった。確認したらすぐやろう)
「ちえらも、みたいでち」
てけてけ、しゅたっ。デルのベッドに移って、シエラはデルの背中の呪文をじっと見る。
「こんなの初めて見ました」
呪いの呪文ではなく、刺青のアートのような模様にしかみえなかった
⦅勝手に質問コーナー⦆
Q好きな食べ物は?
シエラ「おにく!」
マーチ「お菓子とくだもの!特にレモン系がすき」
デル「香草とか匂いのいい葉物野菜が好きだな」
シエラ「デルしゃまはキャベチュとニンジンもしゅきですよね!」
マーチ「やっぱり、う、馬…」
デル「…………」
マーチ「いたたた、頭つかまないでデルさん!」
★注意★ちなみに本物の馬はアブラナ科系統の野菜などがお腹にあわないらしいので、キャベツは食べさせてはいけないそうです。チーズやパンも。デルはモンスターなので、馬系統ですが胃が大丈夫っていうだけですので、現実の馬に触れあうときは詳しい人に聞いてからあげてくださいね
世界地図…ドクサ国に印ついてるバージョン