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16、デルの心境

デルの回です。

女将さんが、部屋を出ると、アイツは言った


「ここで食べれるもの見繕(みつくろ)ってきますね」


「そうだな、シエラが起きたとき少し食べさせたい」


「デルさんはここで休んでいてください。行ってきます」


アイツは部屋を出ていった


腕の中のシエラをベッドにのせる。言われてみればお腹が空いたかもしれない。しかし


(それよりも、ダルい……)


シエラをのせたベッドではなくもう1つのベッドに座る。ベッドが軋む。魔法を使いすぎただろうか?そんなハズはない。大したものは使ってない。昨日今日復活したあとに行動ををしすぎた?そうかもしれない


(だけどこのダルさは、キツイ)


座っているのもキツイのでドサリと仰向けになる。


「はぁ…」


アイツが今部屋を出ていて良かった。シエラが真っ青になっていたのを発見した時アイツまで顔を青くしていた。今の俺を見たら、困惑させるに違いない


昨日初めてアイツに会った時、封印したヤツと同じ場所に居たものだから、封印したヤツがまだ居たのだと錯覚して睨んだ。すぐに違うとわかったが。なにが「エルフ様」だ。



封印されて50年も経っていたとは驚きと共に、ガッカリした。封印したヤツはもう、生きていまい。生きていてもクソ老人な年齢だろう。


昔この街の隣の街に長いこと住んでいて、戦争だのと雲行きが怪しかったので、移動してきたばかりだった。街の門の通りに観光地があるなんてしらなかった。


アイツは察しが良すぎる。なんとなく…と、言っていたが大体当てた。あとあれはなんなんだ?

空間魔法は見たことあるが、なんでそんなに「伝説」のと言われるようなものが山ほど入ってるんだ。おかしいだろう。


50年の間に変わったのか?ギルドマスターの娘だから普通だと言っていた。そうだったのかと納得したが、そういえばシエラはこの50年街のことを見ていたかもしれない。聞いてみよう。それでその通りなら、もう疑問に思わなくなるだろう


シエラが降ってきた時、呪いをかけたヤツでも来たのかと思った。シエラで良かったと思う。相変わらず喋り方が変わらないままだった。変わらなすぎだと思う。成長しているはずなのだが?おかしい。


シエラには友達といえるような存在がいただろうか?50年前、俺と一緒にいた時には見たことがなかったと思う。シエラが1人でどこかに行くことも少なかったように思う。と言う事はだ、居なかったのかもしれない。


友人が居ないと言う事は発育に良くないのかもしれない。でも、あれは突然過ぎたんだろう。俺も反省している。まさかシエラが逃げるとは思わなかった。


シエラが俺の事をバカだと言ったのは初めてではないだろうか。実は呆気に取られていた。あの先にダンジョンがあると聞かなかったら、本当に追わなかったと思う。結構ショックだったのだ。


昔ダンジョンに入ったことはあった。この姿ではなく、ブラックユニコーンの姿で。楽勝だった。今とは違い魔力が桁違いだったのだから、楽勝も楽勝だろう。ある意味うぬぼれていたのだ。


今日も楽勝と言いきれそうだったが隣にはアイツ。シエラを探すオマケ付き。そんなダンジョンの入り方の正解とはなんなのか。あえて慎重になることを決めた。


いや、結局アイツに怒られたから、慎重になったと言うべきか。モンスターの血の匂いって臭かったのか!?とそれも実は衝撃的だった。じゃあ俺もシエラも臭い血が入っているのか…とな。


そう俺はモンスターの類いなんだ。

エルフやドワーフなどの人間に近しい妖精や精霊から派生した種族ではない。あいつらは基本的に人間に友好的である。昔は上位種族であるとして人間を見下していたが一部の奴らがイタズラ好きなのが増えた時期があったり、人間と婚姻を交わしたり、色々な事を経て現在は大体が友好的なものにかわっていった、とされている。


ブラックユニコーンなどほとんどの人間が知らないだろう。そもそも⦅ブラック⦆と付いているのはユニコーンが有名になったキッカケのそのユニコーン種が白かったから。


それだけだ。封印される前に別の街に住んでいたときに人間の文献を見る機会があったが、ユニコーンが姿を見られてしまっていた時の色の種類は白以外もキチンと目撃されていた。


むしろ文献に記載されていた目撃情報は、白より茶系統が実は多かった。なぜ白いユニコーンがそんなに認知されたかというと、絵画が原因ではないか?と、とある売り子が仕事をサボるために色々喋ってくれていた。


人間の描く⦅絵画⦆というものがユニコーンが白い方が良く売れるから白いイメージに固定されたのではないか?と商人がいっていたそうだ。なるほど。と聞いた当時とても納得した。


ただ売れると言うだけで、綺麗な存在だとは思わないでほしい。ロリコンだとは言ったが、やはりそれも白いユニコーンの一部のヤツだけで、色々いるヤツのほんの一握りにしか過ぎない。


ユニコーンは基本獰猛なモンスターであることをわかってほしい。中でも色素の薄い体の小さいほうが獰猛なことが多い。逆にいえば、体が大きくて色素が濃いのがいたら、大人しいのだ。大人しいといっても獰猛なことには変わりないが。


ブラックユニコーンは比較的大人しい方に入る。だからこそ、認識阻害が得意なのだ。ユニコーンが大量に狩られた時期があったから、とも言う。それを語ってくれていたのは今は居ない祖父のブラックユニコーンだ。


ユニコーン種の動物全ての角が狩り取られた時期があったのだ。人間どもの私利私欲は大きく海の底よりも深い、らしい。その時期に目にしていたら俺も人間に嫌悪感を抱いていたかもしれないが、とても遠い過去の話だ。


戦争に始まり疫病、飢饉、など様々なことが重なった時期に「なんにでも使える万能薬の材料」として狩られ尽くしたのだと言う。


ユニコーンのほとんどが抵抗し逆に人間を返り討ちにしたものもいたらしいが、悪知恵だけは敵わなかったらしい。これはヤバイと、最終的には身を隠すことにしたのだ。隠れたお陰でまだユニコーン種は絶滅していない。


ブラックユニコーンは大人しいがゆえにムダに多く狩られてしまったといえる。なので茶や白よりも早く身を隠すことにしたのだ。その時認識阻害を使えたものが生き残れたために、ブラックユニコーンだけは認識阻害を使うに特化している種といえる。


だから正直そんなに狩りとっておいて黒いユニコーンを忘れることはないと勝手に思っていた。認識阻害が特化したせいで、人間に種として忘れ去られているとは祖父も思わないだろう。


あと俺がその狩り取る側の冒険者になる。というのもおかしな話だ。今先祖がいたらそれこそその獰猛なモンスターの力を発揮させ俺を殺しにかかってくる、かもしれない。


生きるために仕事を探さなくては、と言わなければ良かったのだが、ついぞ口にしてしまったのだから、どうしようもない。あの時の俺はどうかしていた。でももう作ってしまったから、出来ることはやってみようと思う。ダンジョンのモンスターはダンジョンが産み出す特殊なモンスターらしいので、倒してもまたダンジョンの糧に戻るだけという。


今日行った「蛇の巣穴」は1と2しか回らなかったが33階層まであるなら、最下層まで少し見てみたかった。蛇は苦手だし昔もダンジョンに入ったことはあったが、最下層にいるボスモンスターというのがいるというのは知らなかった。


ただただああいうゾーンが続いているだけだと思っていたが、そういうのが最後に待ち構えているなら、これは一種の娯楽と同じではないのか?ボス…気になる。


アイツが帰ってきたら他の近場のダンジョンについても聞いてみてもいいかもしれない。ボスは気になるがどうせ他もあるなら、わざわざ苦手なものに行かなくてもいいだろう。


アイツは父親にダンジョン入ったことを内緒にとか言っていたな。アイツの強化スキルはとても素晴らしかった。力が奥から湧き出てきてとても暖かかった。1度目に手から受けた時シエラを探す為にやったが俺自身緊張していたせいもあって鼓動が早かった。


だがまさか、アイツの鼓動まで拾って聞いていたとは思わなかった。道理でドクンドクンとうるさいはずだ。とても小さな声で女の声がしているような気がしていたから、シエラの声かと思っていたら、あれもアイツの心の声が(つう)じて(とお)ってしまっていたと言うことだろう。ということはだ、俺の声などもアイツに丸聞こえだったと言うことになる。



シエラを探すことが最優先だったので大したことは考えてなかったと思うが、何をどう聞かれたのか心配だ。2回目は背中に送って貰ったからか、何も聞こえなかった。なにか条件とかがあるのだろうか?早めに知って無駄な心配は早く解消させたいものだ。


そういえばこのダルさはその2回目からな気がする。やはり魔力の使いすぎか?枝にも気づかないで髪に引っかけてしまうし……


あぁ、アイツが帰ってきたら髪を弄られるんだったな。スッカリ忘れていた。また疲れるかもしれない。今はダルすぎて瞼が重い。







デルはマーチが帰ってくるまで軽く睡眠をとることにしたのだった。デルが目を閉じて寝始めると、それと同時にデルの体に異変が起こり始める。デル自身は気付かない。シエラも寝ていて気付かない。


異変に気付くマーチが戻ってくるまでは誰もその部屋で起こっていることに気付かないのだった


文字数1・7倍量(当社比)

また切るに切れなかったので全載せでこの量になりました。


文字数は少し多くなりはしたものの、あまり長く感じないので、いつもこのくらいお届けしたい。


最初はガガガっと書いてましたが、最近はちゃんと余裕もちもちで書いてますので、改稿の予定は当分ありません。


次回は(絵付き)予定。

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