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11、感知スキルの共用捜索


マーチは辺りを見回して


「シエラちゃーんいないのーー?下の階層かなぁ、どうしよう、うーん。下の階層の方が確率高そうな気がするけど、もしこの階層にいた場合入り口に戻ってしまう可能性が増えてしまう」


「スキル訓練してたっていうのはどうなんだ?」


「鑑定や感知は全く伸びなかったから、今日まで諦めてたのでやめて随分やってなかったので無理ですね。一番多く取れたスキルは耐性系です。あと強化。身体的強化と精神的強化ですね。うぅやっぱり役に立たないかもしれません」


(なるほど色々驚かなかったのは、精神的強化スキルを無意識に発動していたようなものか)


「俺は感知能力あるにはあるが壁の先とかは出来ない。草原とかの下に隠れているものとかは感知できるが。あと範囲も小さい。そうだ、その身体的強化は俺にかけられないか?」


そうデルが提案しているところにボヨヨーンボヨヨーンと音が近づいてきた。ボヨヨーンボヨヨーンボヨヨーンボヨヨーンボヨヨーン…………うるさい。五匹まとめてきたようだ。


「ジャンピングスネークですね。」


ジャンピングスネークは単独行動のしないモンスターで最低でも三匹、最大10匹でまとめて襲ってくる。弱いモンスターなりの知恵だろう。


言ってる間にデルがまた短剣を一番端の蛇に投げ刺し殺す。そしてデルがその投げ出た腕をクッと引くと、まるで糸がついていたかのように短剣が抜け空中に浮き、デルが腕を横一文字に振ると、浮いていた短剣もデルの動きに合わせて横にスライドし、そしてブシャッという音と共に、並んでいた残り4匹も殲滅した。


「すごい」


残念ながら五匹ともドロップ品は無しのようだ。というか、マーチが戦闘に参加する隙が今のところ無いので、ガイドさんな役割になってしまっている。


「で、他人に身体的強化は、かけれそうか?」


「やってみないと分からないですけど、多分出来るはずです。かけてどうするんですか?」


「上がれば感知能力を底上げしてみることも可能だろ」


「なるほど!」


これが可能なら単なるガイド役とはオサラバ出来るかもしれない。せっかく来たのだから役に立ちたいのである。






マーチとデルは対面になり、マーチがデルの手を取る。デルの両手とも小指と薬指のあたりの手の甲と平を、マーチの親指と人差し指が挟みながら持ち上げる形だ。


触らなくても出来ると言いたかったが、人へかけたことがなかったし、確実性を求めていたので、力を流し込むのに触らせてもらうことになったのだ


(ど、どきどきする……)


「いきます!」


マーチの手からデルの手へ温かい力が流れ込む。デルがその場に立ったままシエラを感知しやすいように目を(つむ)る。すると、マーチの脳内にも何かが見え始めた。ハッキリ見えないのでマーチもデルと同じく目を(つむ)ることにした。


目を空けているときのような光景ではなく、画面全体が黒に近いグレーだ。下を見ようよすればするほど、真っ白いモヤがかかるようになっている。目線がマーチの意思とは別にもとに戻る。マーチが下を意識しようとしたわけではない。デルが見ているのを共有しているようだ。


デルは回りを見渡しているようで左右に画面が動く。たまに白い塊のモヤが近くを動いているのが見える。あれがモンスターか。此処は蛇のダンジョンなのでヒモみたいなのばかり動いて見て取れる。今は大丈夫そうだが、この感知をしている時に襲われないようにしなければいけない。無防備になりすぎてしまう。


⦅シエラ⦆


頭にデルの声が響く


⦅シエラどこだ、出てこい⦆


それを聞いてマーチの手に先程よりも力が入る。さっきよりも手に熱がこもる。すると、下を見れば白いモヤがかかっていた部分が同じグレーに変わっていった。下のモンスターの移動も見えるようになったのだ。


「あ、居た」

デルが声を上げる


明らかに蛇とは違う形の白いモヤが2階層の階段付近で丸くなっているのが見て取れた。その周りには今のところ蛇はいないらしい。


マーチは目を開けた


「あまり離れてなさそうでホッとしました。」


デルも目を開けた


「声は届かないんだな」


「そういう共有スキルをお互いに繋げてないと出来ないとか聞いたことありますよ」


「そうか」


「今繋がったのもそれに近いのかもしれませんね」


「え、共有出来てたのか?」


「あ、はい。多分デルさんが見てた景色を私も見れていた、と思いますよ」


「それでか……」



何か会話がビミョーにずれている気がしたがそれよりもマーチはデルの顔が気になっていた。エルフっぽいから……と言うことではなく、少し疲れている顔をしていたからだ。デルの頬も少し赤い気がする。


魔力の制限がかかっているとも言っていた。他人のスキルの魔力を身に受けるのも、体に負担がかかってしまったのだろうか?とマーチは不安になる。もしそうなら、休ませることが最優先事項だ。


そう考えていると手に力が入った。そして、気付いた。まだデルの手をどちらも持ったままだった。


「あっすみません、ずっと握ったままでした」


とパッと手を放した。


「あ、いや……」


デルは逃げた手を1つ取り返し


「お前の力は凄いな。ありがとう」


というと、デルは取り返した手を放した。

マーチも顔が少し赤くなっていたがデルに気付かれる間もなくシエラのいる方向に足を向けてズンズンと歩き出した


「デルさんお疲れみたいなので疲れが取れるまでは先頭は私に任せてください!」


「ああ、よろしく頼む」


こういうときに限ってなぜかモンスターが出てこないのはダンジョン七不思議のひとつである。



お読みいただきありがとうございます。


サブタイトルとか明るめにしたいと思っていても結局考えすぎていつも通りになってしまう(((^^;)


こちらの小説今の所は、毎日更新していますが、不定期予定。某所で載せているワンダーウィッチ(とても下手な一発書き漫画)は毎週水曜日更新中(*´・ω・`)b本日最新話公開。最近の絵が、最初とかなり絵が変わってしまったので、そっちも最初の部分かき直そうかなぁ……………


ちなみにそちらの世界と「ギルマスの娘」の世界は同じです。他国で文化とか貨幣とかモンスターとか、ちょっとずつ違うだけ。たぶん世界地図全域を載せるのはこっちの小説のほうが早いかもしれない。

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