1、運命ですよね!?
ネームとかプロットではない、小説形式はほとんど書いたことないと言っても過言じゃないので、読みづらかったり言葉の意味合い間違えてないことを祈ります。
初投稿です。よろしくおねがいします。
みなさん、ごきげんよう!
父は冒険者ギルドのギルドマスターの娘、マーチといいます。
え?誰に向かって言っているのかって?
誰にでもない只の独り言です。ええ、そうです!でもでも!でもですよ!
今この時運命が動いたとしか言えません!目の前に居るのです!あのエルフ様!!
▼▼▼▼▼
時を遡ること少し前………
「お父さん人使い荒すぎる!」
ここドクサ国は⦅冒険者の国⦆と言われ、冒険者と冒険者ギルドは数知れず…と言っていいほど、とても多い国である。そしてその王都からは少し離れた街、このローブル街にはダンジョンのレベルなどもあり、ちょうど弱くはないが強すぎもしない、いわゆる中級冒険者が集まる街として栄えていた。
中級といっても初級に毛が生えた程度とも言える、どちらかというと下位のタイプの中級は、冒険者で一番多い。そして一番働き盛りが集まっている。そんな場所の冒険者ギルドである。なんともまあ、忙しいことこの上ないのだ。
「ジークさんが言わなかったらギルド閉める時間まで働かされてた、ギルド職員じゃないしお給料貰ってないのに!!」
ぶつぶつ呟いている少女、名はマーチ16歳。髪はちょっと長めのセミロングで淡いピンク、いわゆるコーラルピンクとか言う色合いに近い髪色だ。目はエメラルドグリーンより少しだけ色の明るい色味をしている。見た目だけは可愛らしいと言えよう。
そんな彼女は呟く通り、冒険者ギルドで働いている。正確には手伝いだ。しかし手伝いと言うにはほぼギルド職員と同じ仕事をこなしているので正確には手伝いだが、正解は働いている、と言う意味のわからないことが起きている。普通ギルド職員以外は働かされない。何故働かされているのか。それはマーチだから…としか言いようがない。
「そりゃあ第2の我が家だけども!」
そう、マーチにとってはギルド内は家も同然。マーチの父親はマーチが3歳の頃にギルドマスターを先代から引き継いだ。マーチがまだ可愛い盛りであった事とマスターである父親がマスター用の自室ならと、最初はその部屋でモンスター図鑑やら冒険者用の規約についてとか、ちょっとずつちょっとずつ読まし読み聞かせ、それに飽きた頃にはギルド職員にも認知され可愛がられ、『これは何してるの?』と聞いたことは各ギルド職員から教えてもらい、全て学習してしまっていた。今やギルド内で出来ない事を探す方が難しい。
と、ブツクサ文句を言ってはいるが、実はまだそのギルドの裏手の庭である。
「今日はお弁当届けに来ただけで、仕事しに来たんじゃなかったのに!お父さんヒドイでしよ!プンスカぷんってヤツだよ!やっぱり次からはバイト代を貰おうと思うの。どう思うお母さん」
ギルドの裏手には“街で行う祭り・イベントの時”や、それこそ冒険者の“ちょっとした訓練”にも対応出来るように広めのスペースを確保した土地がそこにはある。そしてその一番奥、そのスペースの終わりを告げる林の手前に、2mぐらいの大きな岩の横に小さな石でできた墓標、墓石がひとつあった。墓石には、マリエナと彫ってある。
どう思う?と聞いても石は返事を返さない。
「別におこづかいとか色々お父さんがくれるから今さらいらないんだけどね」
サァッと風が流れる。
「あっお父さんが帰ってくる前にご飯の支度しなきゃ!明日またくるね!」
ここにくるのは彼女の日課である。そしていつもと同じ帰路を進むべく、踵を返したとき…
「キュイッ」
「わっとぉ!?」
マーチが叫んだときには声の主は、ズザザザザっと林の中の荒れ野の中に消えていた。茶色くて小さい小動物ぽいものを踏みそうになり、避け、ふらついて墓石の隣の岩に手を付いた。
「あ、危なかった…」
心臓がバクバクと早打つ。一歩間違えれば岩に頭を打ち付けて母親の墓石の前でお陀仏の可能性も頭をよぎり、マーチは顔を白くする。
「今日はツイてないなぁ、ううっ…こういう時は…アレよね、楽しい事を考えて暗い気分を晴らすべきよね!」
良く言えばポジティブ。誰かにならうのなら、斜め上を進んでいる。マーチはそんな少女である。
~ああ、愛しのエルフ様。子供の時に伝説をつらねてたエルフ様。この辺りじゃ初心者勇者とか中級冒険者とかが相手にできる程度のレベルの弱いモンスターしか出ないから、こんな街ところ旅立って、エルフ様に会いに行きたい~
~今は上級冒険者もなかなか通らない魔力のバカ高い森の奥地に住んでるとか、妄想滾たぎりすぎる。絶対眼福。会えたら死んでも構いません。ていうか、ギルマスのお父さんが旅立たせてくれません。エルフの里、遠すぎます。ああ、愛しのエルフ様エルフ様エルフ様エルフ様エロフ様エルフ様エルフ様エルフ様……~
「うん。落ち着いた」
あえて言うなら恍惚。そんな表情だ。もう一度言おう、マーチは斜め上を進んでいるそんな少女だ。
「本当は私も冒険者登録してエルフ様に会いにいけたらいいのになぁ。お父さんが『少なくとも友達2人作ってからにしてくれ!』って言うからなぁ」
ギルド職員の人々とはとても仲良くしている。だからそれもカウントに入れてっ!って頼んだこともあったけど、『ここにいる奴らは家族同然って言ってたのはお前だろ。家族は友達にはなれんぞ!』だもんね。くっ……理屈はわかるが、屁理屈こねられてる気がしないでもない。
(ただお父さんが私に友達作ってほしいって言う願いは、わからなくもない。)
冒険者はソロでも出来るけど、女性にはかなり危険な部類の仕事だ。ギルド内で出来ない事を探す方が難しいとは言えど、結局私は子供であるし、単なる女の子だ。ギルド職員の手伝いはまわりに大人がわんさかいるから、いつでも助けてもらえる余裕があるからこそ、私にも出来ているに過ぎない。冒険者はそれとは全く違う。
冒険に出てみたい。でも出れない。友達を作るのも……何でだかうまくいったことがない。なぜだ。解せぬ。いや、こういう性格だからだろうな…薄々気づいてる。うん。
「あー今日のスキルの訓練できなかったから少し遠のいた気がするよ。明日こそ仕事無しにしてもらったから、せめて色んなスキル習得して鍛えて…お父さんに認めてもらって…ブツブツ………ん?」
(今なにか見えた)
「林の奥に誰かいる。冒険者が迷い込んだとか??」
(あっちにあまり行くと崖があるから危ないんだけどなぁ。仕方ない、注意しに行こう)
ザカザカザカザカと林の荒れ地をかき分けて進む。しかし…
(ん?んん??んんんん???)
マーチの足取りは徐々に音を立てないようなものに変化していった。
(はっ!?ま、まさかアレは!!??)
マーチが徐々に人影の方に近づくにつれて、マーチのテンションは上がっていった。今にも雄叫びと言う名の黄色い声を上げそうな勢いをギリギリ自重している所だ。そしてテンションとは逆に足音を立てないように…動きがとうとう止まったのだ。
マーチの瞳に映る人影はとても髪の長い成人男性だ。しかし冒険者の風体ではない。後ろから見てもハッキリわかる、ラフな格好をしている細身の青年が居た。とても長い髪は腰をゆうに超え、髪が風でなびいているとは言えども、太もも辺りの長さまである事が見てわかる。
(あぁアレは理想の出で立ち、エルフ様じゃないの!?)
そして、冒頭の独り言が始まったのである。
死ぬほど小さい小声でぶつくさ呟くさまは少し怖い。みなさんて誰だよ、と言うツッコミ要員がいれば違ったのかもしれないが、居ないものは居ない。
「ドキドキする!なんだろう運命!?感じちゃってる!?」
(エルフ様エルフ様エルフ様エルフ様!?)
子供の頃のギルドの広報誌に、ダンジョンを何ヵ所も踏破した人などを特集したりするページがあった。その中に有名なエルフの冒険者がいたのだが、狂ってしまった魔鳥王を討伐するための勇者パーティーを立ち上げた時のメンバーにそのエルフが仲間に選ばれたとあったのだ。国を上げての応援をしていると書いてあっても、それを『作り話だろ!』と言いきってしまう人もいた。今、目の前にいたら殴ってやりたい。
私も一瞬疑って『作り話ってほんと?』と聞いたことがあったが、『ギルド職員が読む広報誌だぞ?物語のっける所じゃねぇよ、ソイツばっかだなぁ』なんて言っていた。ホントにバカだと思う。そしてその後、勇者一行は伝説になった。
そしてさらにその後パーティーが解散した後もエルフ様がエルフの里に戻ってしまうまでは、快進撃を続け広報誌に幾度ものっていた。あぁ、あのエルフ様じゃないにしろ、エルフ族のエルフ様と同じエルフであれば、全てエルフ様だよね!
目の前に……目の前にどうみてもエルフ様の後ろ姿にしか見えないエルフ様が…………
あらすじ欄にも記載しましたが不定期更新です。