薄氷の日
海に囲まれた島の人々はみな短命で、突如訪れる終焉だけを恐れながら暮らしている─。
島の防人として働くウスライは、他人の心情に疎く物事に無関心な青年だ。そんな彼が唯一惹かれるのは、リュウグウノツカイが浜に打ち上がる〈入水〉と呼ばれる現象だった。入水に心を奪われた青年は、それだけを喜びに淡々と日々を過ごしていくが、ある日の体調不良をきっかけに同期のテサの様子が違うことに気づく。一人の青年の死を経て自らを見つめ直すウスライは、長く秘められていたテサの心の内と、防人たちの苦悩を知るのだった。
相手に求めることを諦めようとしたテサ、仲間の側でただ強くあろうとするセトロ、自らの終わりを知って最後の望みを叶えたいリルスイク、それぞれの静かな心の営みを映す物語。
島の防人として働くウスライは、他人の心情に疎く物事に無関心な青年だ。そんな彼が唯一惹かれるのは、リュウグウノツカイが浜に打ち上がる〈入水〉と呼ばれる現象だった。入水に心を奪われた青年は、それだけを喜びに淡々と日々を過ごしていくが、ある日の体調不良をきっかけに同期のテサの様子が違うことに気づく。一人の青年の死を経て自らを見つめ直すウスライは、長く秘められていたテサの心の内と、防人たちの苦悩を知るのだった。
相手に求めることを諦めようとしたテサ、仲間の側でただ強くあろうとするセトロ、自らの終わりを知って最後の望みを叶えたいリルスイク、それぞれの静かな心の営みを映す物語。