6 ツインテール女子と仲良くなりました。
「えっと、佐野さん、どうぞこちらこそ1年間よろしくお願いします。」
びっくりした、まじでびっくりした…
俺は急に声を掛けられたので少しぎこちない言い方になった。
ふうに
「春香でいいよ。それにしても朝の教室での登場の仕方、すごかったね。」
苦笑いで朝の出来事について話してきた。佐野春香は腰まである長くて綺麗な青い髪を派手な赤いリボンで高い位置に2つ結んでいる。顔も美しく、スタイルもよい。美人タイプのツインテール女子の1人だ。
「じゃあ春香って呼ぶよ。俺のことも竜二でいいよ。朝の出来事に関しては好きであんなふうになったわけじゃないんだ。あれは鬼頭のせいなんだからさ。」
俺は素直に自分の気持ちを話した。すると春香はクスッと笑った。あぁ笑顔ツインテール女子…萌えだ…
「わかってるよ、鬼頭って力強いし撫でられたらぐしゃぐしゃになりそうだもん。災難だったね。」
俺の気持ちを理解してくれるツインテール女子、最高だ…!というかツインテール女子とこうして話せられたのは鬼頭のおかげなのでは…?鬼頭、さっきまで恨んでてごめん。むしろ感謝するぞ。
「うん、災難だったけどこれはこれで…」
「これはこれで?どうしたの??」
しまった、心の声が漏れていたようだ。春香はキラキラとした目で俺のことを見ている。
「えっと、あの…ほら!こうして春香と話すきっかけが作れたからさ!春香と話せれてよかったなって思ったんだよ!」
『ツインテール女子』という言い方をすると絶対気持ち悪がられると思ったからその部分を抜いて事実を話した。
春香はキョトンとした表情をしていたが急にクスクスと笑いだした。普段は凛としていて美しいから大人っぽいという印象なのだがこうして見ると同い年なんだなと感じる。
「ふふ、やっぱり面白い人なのね竜二は。朝入ってきたときの私の見立ては間違いじゃないみたいね。」
俺自身では自分のことを面白いだなんて考えたことがなかったから思いもよらぬ言葉に少し驚いた。
「面白い人だなんて初めて言われたよ。褒めてくれてるんだったらありがとう。」
「えぇ、もちろん褒めているのよ?」
「春香ー?どこー?早く帰ろうよー!」
誰かが春香を呼んでいる。話しているうちに結構時間が経っていたようだ。
「はーい、教室だよー。ちょっと待っててね~。じゃあ竜二、私帰るね。また明日ね。」
「また明日な。」
春香はパタパタと急いで教室を出ていった。俺はその光景を見てやはりツインテールは素晴らしいと改めて思った。左右に揺れるその姿はまるで蝶が優雅に羽ばたいているようだった。
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家に帰ると姉が満面の笑みで玄関の前で仁王立ちしていた。
「何?邪魔なんだけど?朝の仕返しの嫌がらせ?」
「違うわよ。生意気なあなたにご報告があるのよ。」
また下らないことだろうと思って靴を脱ぎ始めた。しかし俺は次の姉の一言に驚かされることとなる。
「朝いろいろと言ってくれたけれどあなたの姉に『彼氏』ができたのよ?」