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51 優雅じゃない朝。

 「…焦げ臭い。」

 

 朝目が覚めて、最初に発する言葉が「焦げ臭い」は全然優雅じゃないなと感じた。


 「きゃぁぁあ!!なんでっ!?なんで卵をレンチンしたら爆発するのよぉお!ゆで卵になるんじゃないの!?普通っ!!というか食パン焦げたしなんなのよぉ!!」


 台所の方から、甲高い声で叫ぶ姉の声が聞こえた。


 「…。なるほどね、そりゃ焦げ臭くなるわな…」


 はぁ…()()()()()って自覚してるのになんで作ろうとするのかなぁ。

 俺は呆れながら、姉が作った料理の待っている台所へと向かった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 台所へ近づくにつれ、焦げた臭いが強烈に鼻を刺激した。少し目も痛い。

 本当になんでこんな異臭を放てるのか謎だな…。というかこの臭い、近所迷惑じゃないか?これだけ強烈な臭いなら外に漏れてる可能性があるぞ…。

 今度ご近所の人に謝らないといけないかもしれないなぁと考えていると、あっという間に台所の扉の前にたどり着いた。

 

 「はぁ…よし。覚悟したっ!!」


 俺は覚悟を決めて、異臭の原因である台所の扉を開けた。


 ガチャッ


 「!!?う、うぇっ、ごほっ…なっなんだよっ、これ…!?」


 扉を開けた瞬間に、煙が廊下へ流れ込んだ。咄嗟に口、鼻を覆い隠そうとしたが、それでも煙を吸ってしまった。

 絶対に体に悪いだろうな…。やばいなこれ…。意識やばいかも…。そんなことを考えていると、煙の中に人らしきシルエットが浮かび上がった。そのシルエットは、ゆらゆらとこちらへ向かっているようだ。


 「うぇぇ…気持ち悪ぅ…目が痛いぃ…。りゅうじぃ…そこにいるのー?いたら返事してぇ…」


 人らしきシルエットの方から、声が聞こえた。間違いない。あれは俺の姉、桜だ。


 「あぁ、いるよ。早く廊下の方に…げほっ。てかなんでこんなことになってるんだよ…。」

 「ぐすっ…りゅ、りゅうじーっ!!もうわけわかんない何これっ!!ひっく…あ、あのね?私、が、頑張ったんだよ…?だから努力は認めて欲しいのぉ!!うぅ…」


 姉は、泣きながら必死に弁解しようとしていた。いや、それよりも…


 「早く廊下に出てこいよっ!?」


 俺がそう叫ぶと、姉は「竜二の馬鹿っ!いくらなんでもひどい~!」と言ってきた。いや、そんなことないだろ…。

 自分で招いたことなのに、俺に対してひどいと言う姉。この現状に、俺は呆れた。

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