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45 復讐劇その16

久しぶりの更新です。

大変お待たせいたしました!

 …凜香。やっぱりあなたは狂っているわ。どう考えてもおかしい。凜香は凜香自身の妹も犠牲にしたわ。でも罪の意識は全くない…。なんで…?なんでここまで壊れちゃったんだろう。


 「あれ?明日香、なんで泣いてるの?」


 凜香は、不思議そうな顔をしていた。

 自分でも気づかなかったけど、私はどうやら泣いているようだ。体の感覚を意識すると、頬に何か温かいものを感じた。


 「明日香は泣く必要ないよ!自首とかそんなことよりも、有園の弟をどうにかしないとね…。あいつも『排除』しないと。」


 凜香は私に微笑みかけているのだが、その目は明らかに冷たい。背筋がぞくぞくする。


 「…!や、やめてよ!!今までの有園のことは、私の勝手な…勝手な気持ちのせいなんだよ!?なんで有園の弟まで…」

 「そんなの決まっているじゃない。あの憎い有園の弟だから。理由はそれだけで十分でしょ?」

 「なっ…!」


 何を言っているの…?それを言ったら矛盾している…。だって私は有園のことを羨ましかったって…そう言ったのよ?憎いなんて感情、もうないよ…。


 「わ、私はもう憎くなんてないよ!有園のこと!だからっ…」

 「無理、しなくていいよ。わかってる。明日香は強がってるだけ。」


 私の頬に、凜香の手が触れる。


 「そ、そんなことない!心から思ってるわ!」


 全力で声を荒げて凜香に告げた。

 しかし凜香は、うっすらと笑みを浮かべている。私の思ったことを、本気だと捉えられていないようだ。

 「それにね、明日香。」


 スッと一歩前進し、私のことを抱きしめた。そして凜香は、私の左肩に顔を乗せてこう囁いた。


 「もう、止められない(・・・・・・)んだよ。」


 ドンッ


 次の瞬間私は凜香に突き飛ばされて、尻餅をついた。

 痛いという感情よりも…気のせいだろうか。今、一瞬だけ凜香の顔つきが変わったような…。なんだかとても複雑な、悲しそうな表情だったような…。


 「ふふっさぁて、有園の弟君。お見苦しいところを見せちゃったかしら?ごめんなさいね。明日香ったら急にどうしたのかしら?悪いことなんてしていないのに、自首しようって冗談言って…まぁちょっとした気の迷いね。」


 凜香は前髪をかきあげて、有園の弟へと体を向けていた。先程まで悲しそうな表情をしていた人とは思えないような暗黒微笑に、驚きを隠せず目を見開いた。

 やっぱりさっきのは、私の見間違えだったのかな…?


 「…。正直僕は本心だと思いますけどね。まぁ姉のことを今までひどい目に合わせていたのは事実みたいなので、どんな理由であろうと許せませんが。」


 そう言うと、有園の弟は私のことを睨み付けた。あまりの迫力に、体がビクッと跳ねる。

 …でも、そうよね。許されるわけがないわ…。

 私は、自分の行ってきたことを思い出した。たくさんの人に迷惑を掛けてしまったことを受け止め、これから生きていかないとなと感じる。


 「あははっ!これは許す許さないの問題じゃないでしょ!許さないもなにも、私たち全く悪くないもの!面白いこと言うわね。さすが有園の弟君って感じ?」


 …だけど凜香は、そうは感じていないみたいね。でもよくよく考えると、こうなったのは全て…全て私のせい…。凜香が有園に執着していたのも…


 「へぇ。りんかさんは僕の姉のことも傷つけたし、春香のことも傷つけたのに自分は悪くないって言い張れるんですね。凄いです。」


 有園の弟は冷静な表情だが、言葉には怒気が含まれていた。


 「あー、あれに関しては何かあるってわかってて舞台に上がったせいだしさ、正直悪いのは春香でしょ。まぁどこでそんな情報を知ったのかは、予想できるんだけどね。迂闊だったなぁ。お姉ちゃん優しいからさ、妹が何かやらかすってわかっていたらちゃーんと部屋を閉めてたのになぁー。」


 相変わらずの暗黒微笑を浮かべる凜香に、私は寒気が止まらなかった。

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