44 復讐劇その15
「待って…もう、やめて!!」
大きな声で、私は叫んだ。
「な、なんで…どうして止めるんだよ、明日香…。」
「私は…私は…!!」
みんなに今まで言わなかったこと…言えなかったこと全てを吐き出した。
「私は…本当は、有園が羨ましかったの!!私よりも頭がよくって、可愛くて…。そんな有園が羨ましくて、ひどいことをしちゃったんだよ…!!」
クラス中がざわつく。
「そ、そんな理由であそこまでひどいことしてたの…。」
「私、明日香ちゃんには逆らわない方がいいって聞いたことがあったんだ。だから有園さんのことを無視してたの。でもこれを聞いて、自分勝手でひどい人だってことがわかったよ。」
「あ、それ、私も聞いたことがあるよ。私も同意。」
わかってた…こうなることは、わかってたよ…。こうなると思って、何も言えなかったんだ。怖かった。嫌われたくなかった。だから、今まで本当の自分を隠してきたんだ。
自分が悪いとわかっていてもグッとくるものがあり、泣きそうになってしまう。
「明日香ちゃん…」
ポソッと明久君は、私の名前を呟いた。有園をいじめてきた理由を聞いて、唖然としているようだ。くだらないよね…こんな理由。
「あす…か…?なんで…なんで?」
後ろから小さな声が聞こえ、振り返った。すると目を見開いて、動揺している凜香の姿があった。
「凜香…そういえば、凜香との付き合いって長かったね。凜香を助けて仲良くなって、その次は私が助けられて…。ありがとう、凜香。それと…」
私は深呼吸をして、心を落ち着かせた。大丈夫、大丈夫だよ。私たちは、今までもこれからもずっと…
「自首、しよう?」
「……!」
ざわついていた教室が、一気に静まる。重い空気が流れているのを感じた。
「凜香、あなたはやってはいけないことをしてしまったわ。照明を落とし、有園を殺そうとした…。これは犯罪よ?私のためにやってくれたんだよね。私が有園のことを、嫌っていたから。でも…これはやってはいけないことだわ。それに…関係のない、春香ちゃんが下敷きになってしまった。あなたの妹が…よ?」
凜香は下を向いて、私の話を静かに聞いていた。
…ちょっと強く言いすぎたかな?凜香、返答に困ってるのかな…?
しばらくたっても、凜香は何も話さなかった。ずっと下を向いたままだ。
「あ、えっと、凜香…?ちょっと強く言いすぎちゃったかな??自首っていっても、凜香だけじゃないよ?もちろん私も…」
「あはっ」
『あはっ』?
急な笑い声に、胸がざわついた。
「あははははは!!さっきからなんなの?自首?犯罪?なんの話?私たちは悪いことなんてしてないよ!!あー面白い!」
…!?罪の意識が…ない!?
まさかそんなはずは…
「明日香、私はね?明日香の嫌いなものを『排除』しようとした。それだけのことだよ?」




