2 新学期その1
なんだか長い夢を見ていた気がする。しかもとても理不尽な夢だったような…
俺の名前は、有園竜二。今日から中学2年生で、普通の学生だ。少し変わったところと言えば、ツインテールが好きというところだろうか。
家族は、父、母、姉、俺の4人家族。父と母は仕事でほとんど家にいない。本当は兄もいたのだが、俺が生まれる前に交通事故で死んでしまったらしい。
それにしても今日から新しい学年、新しい学期なのだから、遅刻をしないようにしなければ。珍しく自分で早く起きれたのだから、ご飯を食べて準備をして…そんなことを考えながらスマートフォンを手に取り、時間を確認した。
「…はぁ!!?7時55分!?いくら家から学校まで近いっていってもそんなに時間ないじゃん!!」
アラームを7時に設定していたはずなのに…まさか自分で止めたのか?そんな寝ながらアラームを止めるとか器用なことを出来たのかと、少し自分で感心してしまう。
「って、感心している場合じゃないだろ俺!?しっかりしろ!」
気合いをいれるために俺は大声で叫んだ。
俺は準備を済ませ、キッチンへと向かった。すると目の前にツインテールの女性がいる。
あぁ、ツインテールはいいものだなぁ。ツインテールをずっと見ていたいなぁ。そのツインテール(の女性?)にしばらく見とれていた。ツインテールであんなことやこんなことを妄想すると、もうたまらない。
だが次の瞬間
「何見てるの?気持ち悪いんですけど。」
はい、俺の妄想タイム終了。
「というかなんなの?朝からドタバタうるさいし新学期初日から残念なやつね。」
はい、ダブルパンチ。ここまで言われると、俺も黙ってはいられない。
「あぁ!?喧嘩売ってんの?どう見ても俺忙しいだろ??説教ならまた後でにしてくれない?あと姉貴ずらすんなうざいからよぉ!」
「あら、私はあなたの姉なんですけど??姉に姉ずらすんなって意味わからないわ。」
この女は俺の姉の桜。ツインテールで澄んだ青い瞳なので容姿はとても美しいのだが、性格はとても悪い。学校では、いい子ずらしているようだが俺の前では本性を出す。俺が思うに、こいつのいいところはツインテールしかないと思う。
「だから今も彼氏いない歴=年齢じゃないんですか~?」
この一言は、姉が言われたくない言葉ランキングでぶっちぎりの第1位である。
すると、姉は顔を真っ赤にして言い訳をしてきた。
「う、うるさい!私はあえて作ってないの!私の理想は、死んだ竜一お兄ちゃんみたいな人なの!
竜一お兄ちゃんはかっこよくって優しくって、私のことを助けてくれたんだから!だから…だから竜一お兄ちゃんみたいな人が現れるまで、私は彼氏を作らないの!」
今の言葉の通り、俺の姉は死んだ兄のことが大好きなのである。正直死んだ兄の話はつまらない。なぜなら俺は兄が死んだあとに生まれたからだ。なので、俺は兄のことを話でしか知らない。
「そんなこと言ってるからっていうのも彼氏のできない原因の1つだよな~」
姉はさらに顔を赤くして半泣きになっていた。少しやり過ぎたかもしれない。
口論をしているうちにいつの間にか家を出なければ、確実に遅刻する時間帯になってしまった。
「お前も今日から新学期なんだからさっさと家出ろよ?最後の高校生活なんだから、赤くして半泣きで登校とか恥ずかしいからな。」
姉は何か言っていたようだが、俺はもう玄関へと向かっていた。