14 俺ってそんなにツインテールを見ているんですかね?見ていたんですね。
思わず声を掛けてしまった。それにしてもこの男、なぜかどこかで見たことある気がする…。クラス替えの日ではなく、もっと前に…。んー、有園……有園?思い出せんな。
黙ったままずっと見つめていると有園の方もジッと見てきた。だが目線が合わない。私の頭付近を見ている気がする。
「私に何か変な物でも付いているか?」
「いや、何もないよ?」
不思議そうな顔をして有園は応えた。
「ならどこを見ているのだ。」
「…もしかして俺宇野さんの頭付近見てた?」
何やら心当たりがあるような表情をしている。
「うむ、私の頭の両サイドをチラチラとな。」
すると有園は小さくはぁと溜め息をついた。
「あぁ、ごめん…」
一言そう呟くように言って有園はうつむいた。ごめんと言われても有園に謝られる筋合いはないのだから不思議で仕方がない。
「変なやつだな。なぜ急に謝るのだ。」
「いや、うん。謝りたいんだ…」
有園はどうやら顔が少し赤くなっているようだ。熱でもあるのか?
「皆さん新しい席で見えないとかないですか?ないならこれで確定しますよ?」
お、先生が話始めたか。まぁこれからも席が隣だから有園と話す機会はまたあるだろう。よし眠るか。
私は自分の腕を枕にし、目を閉じてわずか数秒で眠りについた。
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「はぁ…。」
思わず溜め息をついてしまう。ツインテールを好きだということは俺にとって誇りなのだがいつの間にかツインテールをジッと見てしまうのは悪いクセだと思う。そのお陰で宇野さんにすごく不思議そうに見られてしまった。
「竜二、どうしたの?溜め息なんかついてさ。雪奈ちゃんと何かあったの?」
「いや、特にないんだけど…あ、そういえばさ。俺ってたまに春香の頭付近見てることとかある?ちょうどツインテールのあたりとか…」
宇野さんのツインテールを見てるんだから春香のツインテールもいつの間にか見ているのかもしれない。俺はそう思って春香に聞いてみた。
「よくあるわよ?」
あ、はい、ですよね。宇野さんのを見てるんだから春香のを見ていないわけがないですよね。
「そ、そっか…ごめんな。」
春香は不思議そうな顔をしたもののこれ以上何も話しかけてこなかった。俺は自分自身の行動に少しショックを受けた。気づかないところでそんなにツインテールを見ていたなんて…迂闊だ。
俺は基本的にツインテールを見るときはバレないように注意をしている。しかし無意識のときは油断しているから勝手にツインテールを求めて見てしまうのだ。このクセ、本当になんとかしないと危ないぞ…!いつか俺がツインテール狂いだということが山下以外の学校の人にバレてしまう…!
よし、ちょっとだけ想像してみよう。
~もしも春香にツインテール好きがバレたら~
「え、竜二そんな趣味があったの?…気持ち悪い。」
グサッ
~もしも宇野さんにツインテール好きがバレたら~
「有園…まぁ世の中いろんな趣味を持つものはいる。しかし…な?うん、あの…すまんな。」
グサグサッ
だ、ダメだ…。俺のライフが0になってしまう…。俺は考えることを放棄した。




