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10 見たくなかった。

姉と喧嘩をしてから2週間が経った。姉と俺は喧嘩をした日から廊下やリビングですれ違ってもお互いに無視をしている。とても気まずい状況で何とかしなければと思うのだが謝っても許してくれないかもと考えるとどうしても謝れないでいた。


「おはよう竜二。なんか日に日に元気がなくなってるけど何かあったの?」

「おはよう。まぁな、気にしないでくれ。」


春香が首をかしげるとツインテールが左右に小さく揺れた。いつの間にか心配をかけていたようだ。


「そう?それならいいんだけど…何かあったらいつでも相談してね?帰りとかにさ。」

「ありがとな。」


ここ最近、俺と春香はたまに一緒に帰っている。前に春香が一緒に帰っていた子はクラスが離れてから別の子と一緒に帰るようになってしまったそうだ。それからはお互いに用事がなければ一緒に帰っている。


それにしても姉との件は早く解決しないとな。


「よっ竜二!春香ちゃんと話してたの~?全くお前のツインテール好きといったらよぉ!かぁぁあ!クラスの美人部門トップ3に入る春香ちゃんと話すとかまじで羨ましいぜ!!」


急に俺の顔を覗き込んで話しかけてきたのは山下だった。


「うるさいな、朝から声が大きいんだよ。あとちゃん付けやめといた方がいいぜ。この間春香が気持ち悪いって言ってた。」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


3日前のこと春香と俺は一緒に帰っていた。


「私さ竜二の気分を害したら悪いんだけど山下のこと苦手なんだよね。」


少し驚いたが春香が山下へとる態度を見るとなんとなくそうなのではと思っていた。


「へぇ、なんかされたの?」

「なにもされてないけどちゃん付けが気持ち悪いでしょ?それと急にジッと見てくるところも気持ち悪い。それと…」


どうやら理由を挙げるとキリがないようで次から次へと言葉が溢れている。そしてその理由を挙げられたもの全て俺も気持ち悪いと思うところだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「まじかよ!?俺いつの間にかそんなに好感度下がってたの!!?」

「いや、まず山下に対しての好感度を持っていないと思うぞ。」


山下はこれほどかというほど暗い顔になり「終わった…」と呟いている。いや、まず何も始まってないだろうが。


「まぁまぁ気にすんなって。今から直せばいいんだからさ。」


するとついさっきまでの暗い顔とは打って変わって効果音を付けるのであればパァァアという音が似合うであろう表情になった。


「だよな!!今から直せばいいんだよな!!そうだそうだきっと大丈夫だ!羽ばたけ俺!」


そう言うと山下は自分の席へスキップで戻った。それを見た女子たちはまるで変質者を見かけたときのような目をしてひそひそと話している。山下、やっぱりお前って単純でわかりやすいな。そういうところは好きだぞ。楽だからな。


キーンコーンカーンコーン


1時間目を知らせるチャイムが鳴る。さてと、今日こそは起きて授業を受けるぞ…!そう決意したのにも関わらず俺は10分後には眠りについていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


下校中にて。


「今日、まともに聞いてた授業ないでしょ?」


春香は頬を少し膨らませながら聞いてきた。


「えっと、あの…ですね?努力は…してたんですよ?起きようとはさ。でもさ、ほら眠くなるじゃんね?春香だってあるだろ?」

「みんな眠いのを我慢して授業を受けているのよ?もっと努力しなさいよ?プリント書けてないだろうから貸すわ。」


そう言いながらプリントを俺に差し出した。あぁ、ただでさえツインテールだから普通の人よりも俺の目にはフィルターが掛かっているというのにさらにプリントを貸してくれるなんて後光が…!


「春香ありがとうなっ!マジでかん…」


「え、ちょっ、こんなところで?やだぁやめてよぉ。」

「いいだろう?今はそんなに人はいねぇし。な?」


春香へお礼を言っているとすぐ近くの公園から若い男女の声がした。思わず歩く足が止まった。この声は…


「んっっ…!あっ、んんっ!!!」


若い男女は公園で急にキスをしだした。


「な、なんてことを公園でしているの!?ここは小さい子とかが遊ぶ場所なのに!!」


春香は顔を赤く染めて怒っている。ここまで感情を表へと出した春香の姿を見たことがなかった。


「…早く行くぞ。見ると体に毒だ。」


そう言うと俺は歩き出した。


「でもさ!…え?どうして泣いているの…?竜二?大丈夫?ねぇ!」


くそ、くそぉ!なんなんだよ…あの男女の女の方、あれは紛れもない俺の姉の桜だった。

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