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公爵令嬢は元おジョー様  作者: 松田絢愛
転生~0歳~
7/11

お帰りなさいませ、ご主人様

少しお待たせしました

続きです

アタシはゆっくりとまた目を開けた。

またアタシはひと眠りしてたらしい。


……すげぇな、赤ん坊って。

いくらでも寝れるわ。

まあ寝る子は育つって聞くし、気にしねぇ、気にしねぇ!


目がしょぼしょぼしてる気がするからとりあえず目をパチパチと瞬きをしていたらふわりとまたレースが揺れるのを感じた。

どうでもいいけどこのレースって誰の趣味だ?


「ルージュ、目が覚めた?」


しょうもねぇこと考えていたら優しいエンジェルボイスのお母さんに声をかけられながらそっと抱き上げられた。


「……うぁう(……お母さんか)」


相変わらず言葉にならない声が漏れる。

なんかさ、この人に抱かれると安心するんだよね。

これが母親の温もりってやつなのか……ふっ、なんか、いいな……。


紅璃(あかり)の時には母親なんて記憶が無いからこれはちょっと嬉しいっていうか。

らしくねぇけど無性に甘えたい。


心持ちぎゅっとすればうふふと笑うお母さん……確かルビー?とか呼ばれてたっけ?

そっと見上げれば確かに瞳の色がルビー色みたいに赤い。

でも嫌じゃない、澄んだような赤色だからこの人の雰囲気にあったかく寄り添ってるみたいに見える。


「ルビー様、ルージュ様を連れて散歩されてはいかがですか?」


思わずじっとお母さんの瞳を見てればまた男の人から声が掛けられた。

……この声は、確かさっき(って言ったらいいのか?)聞いた。

そう思ってれば今度はゆっくりとアタシをのぞき込む黒い髪。


やっぱりさっきお父さんと話してた……えっと、シルカって呼ばれてた人だよな?

アタシと目が合うとニッコリと微笑むシルカさん。


……さっきと全然印象ちげぇのは気のせいか?

お父さんと一緒にいた時と違って穏やかな感じに見えるんだが……。


「お散歩……いいわね。でもルージュを外に連れ出しても大丈夫かしら?」

「大分外の温度も暖かくなって参りましたし、1時間ほどでしたら大丈夫かと」


ふわふわとした空気を出しながら会話を続けるお母さんとシルカさん。

どうやら散歩に連れ出してくれるらしい。

外か……そういや寝てばっかでまだ1度も見てねぇな。

まあ歩けねぇから行けるはずもねぇけど。


「そうね……じゃあルージュ、お散歩に行きましょうか」

「うぁう! (うん、行こう!)」


アタシが返事もどきを言ったのとほぼ同時に今度はお仕えの様な服を着た女の人達が現れた。


……え、この家ひょっとして金持ち系?

この人たち明らかにメイドだよな?

あれだよ、あれ!

メイドカフェみたいな感じ、「お帰りなさいませ、ご主人様♡」って言いそう!


あと、この人達みんな美人だ。

この世界の人間って美形しかいねぇの……?


そんなことをのんきに考えていたらいつの間にかアタシはお母さんの手からそのメイドさんたちのうちの1人にそっと移された。


「ではよろしくね? ……ルージュ、また後でね」

「……うぁう?(……あとで?)」


お母さんはそう言うと一人のメイドを連れて部屋を出ていく。

後でってどういう意味だ?

そのまま連れだしゃいいじゃねぇか。

アタシが頭にハテナを浮かべていれば「ではルージュ様もこちらへ行きましょう」と今あたしを抱いているメイド……もうややこしいな、仮でメイドAさんでいっか。メイドAさんにそのまま連れていかれてそっとレースの掛かったベットから離れた。


……おぉ。

初めてレースで仕切られたベットから出た部屋はまあデケェ。

深紅の色の絨毯が部屋に敷かれ、大きなクローゼットが3つほど並んでいる。

その中の真ん中においてあるクローセットがほかのメイド……BとCによって開かれるとまぁ沢山ある……ベビー服。


……おい、まさかこれ……全部アタシのじゃねぇのか。

嘘だろ、そんなに服あってどうすんだよ。

ずらりと並ぶベビー服に思わず心の中で項垂れる。


子供にこんな贅沢すんじゃねぇよ……大体、服なんてあって10着くらいでいいだろう。

これから成長もすんだし、今からこんなに買ったって全部着れるわけねぇだろ。

呆れたようにアタシが心の中でグチグチ言ってるとは露知らず、目の前のメイドBとCはウキウキとアレがいいコレがいいと服を選んでる。


……楽しそうだな、おい。


「ミレイ、今日は比較的明るいイメージでしてください。

せっかく初めてお外に出られるのですから明るいピンク系統で統一しましょう」

「かしこまりました」

「サラ、パラソルと机の準備を。それと奥様にもピンクのショールが合う服をご準備なさい」

「かしこまりました」


アタシを抱き抱えたままのメイドAさんがBとC……ミレイさんとサラさんに指示を出してる。

この人メイドん中でも上の立場なのか?


そう思って見上げれば運悪く目尻の小じわを見つけた。

……見てなかったことにしよう。


乙女を無闇矢鱈に傷つけないのがアタシのポリシーだしな。

あ、その前に喋れねぇか。


アタシの気遣う心に一切気づかずにアタシを着替えさせたメイドガールズ。

その際着替えさせられるのが恥ずかしいから暴れ回ったのは割愛だ。

もちろん赤ん坊な手前、すぐに捕まってひん剥かれたけど。

着替え終わったアタシはヘトヘトで(自業自得)メイドAに抱かれたまま初めて外に連れていかれた。


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