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公爵令嬢は元おジョー様  作者: 松田絢愛
転生~0歳~
6/11

ルージュ=ラピスラズリ ・フィルティア2

前回の続きです

**********


………あれからアタシは気を失っていた。

いや、赤ん坊だから寝てたって言った方が正しいのか?

なんか一気にキャパがオーバーしちまったみたいで全然記憶がねぇ。

目を開けたらまたさっきと同じように白いレースが視界に広がっていた。


気を失って……じゃねぇな、寝てたおかげか大分頭ん中も整理できたみてぇで落ち着いてはいる。


まぁな?確かに転生つってたよ。

だけどまさか赤ん坊からやり直すとは思わなかったぜ……。


つかよぉ、赤ん坊てことは人生謳歌できんのまだまだ先じゃね?

うっわ、それまでどうしろっつんだよ。


大体、喋れねぇのはどうにかなんねぇのかな……?


「……あぅ?(……待てよ?)」


思わず心の中の声が漏れたが(喋れてねぇけど)とんでもない事実に気づいちまったような……。


そんなこと考えていれば再びガチャりと音が耳に入った、と同時に視界のレースがひらりと舞う。


「やっぱりボクの天使、ルージュ。目が覚めてたね」

「うぁうう……(また出た……)」


さっきアタシを挟んでお母さん(仮)を抱きしめてきたお父さん(仮)。

思わず嫌悪感丸出しで言葉が漏れたが(相も変わらず喋れてないけど)何を思ったのかアタシをその見た目とは反してしっかりした腕で抱き上げられた。


「……うぁい! (高い!)」


抱き上げられた景色はさっきのお母さん(仮)にされた時よりも何十センチか高いような気がする。

思わず興奮してしまい、赤ん坊姿のアタシの口からも「きゃっきゃっ」と声が漏れる。

なんとなくだが顔の筋肉もニコニコ笑顔を生み出してる感じがする。


うむ……赤ん坊だから感情がうまく制御出来ねぇのか?

ちなみにだが先程お母さん(仮)に抱き上げられた時に見た景色は正直後藤紅璃(ごとうあかり)の時よりも幾分か低いような気がした。


元々紅璃の時の身長は167cm。

日本人女子的にはなかなかの高身長だった。

いいように言えばモデルみたいと例えられ、悪く言われればノッポと貶される。

まあ今は生まれ変わってるからそんなことはどうでもいい。


「ハハハハッ! そうかそうか! 高いのが嬉しいか?

ならもっとやってやろう! ほら、たかいたかい!!」

「きやっきゃっ!(ヤベェ、クソおもしろい!)」


お父さん(仮)はアタシが喜んでいるのに気づいて気を良くしたのかさらに腕を伸ばしたりしたりしてアタシをあやしてくる。


これ、される方めっちゃおもしろいな。

高所恐怖症のヤツだったらそら怖いんだろうけど、残念ながらアタシにそんなもん該当しねぇ。

寧ろ高い所はアタシの得意分野でもある。


「そうかそうか! お父さんと遊んで楽しいか!

お父さんもルージュと遊べて嬉しいぞー!」


ニコニコとアタシを上げたり下げたりとしてくれるこの人はやっぱりアタシの今世での父親で間違いないらしい。

このところ構わずぶんぶんとアタシを振り回している腕は見た目よりも力が有り余っているようだ。

顔はお母さんと同じく美形。

イケメン、なんて例えるより美人と例えた方がいい気がする。

そしてこの人の髪は少し黒がかった赤……ワインレッド見てぇな色だ。ちなみに瞳は黒いんだが、ちょっぴり赤みがかってる。


そしてこのお父さんがアタシに対して呼ぶ名前はルージュ。

うーん、アタシ外国人として生まれ変わったのか?

じゃあ、ここは名前からして日本じゃねぇのかな……その割にはこの人日本語ペラペラだけどな。


にしてもそろそろ下ろしてくれねぇかな……ちょっとこのお父さんに振り回されるように上下左右にやられてたからちょっとばかし気持ち悪い。

というか見た目に反して元気だな、この人!


「……旦那様。そろそろルージュ様を下ろした方が良いと思われます。少しお疲れなようです」


アタシはどう言えば伝わんのか思案している間にまた別の声が聞こえてきた。


「お? ……そうか。少しやりすぎたか? ごめんな、ルージュ。

ついつい懐いてくれるのが楽しくてな」


お父さんにはそれでやっとアタシが苦しいってのが伝わったらしい。

ゆっくりとまたアタシを寝かしてくれた。

うー……助かった。


……つか、今の声掛けたやつは誰なんだ?

確認したくても今寝転んだ状態だし、首も回らねぇから声が聞こえた方が見れねぇ……と思ったらいきなり黒い髪の男がアタシの顔をニョキっと覗いて来た。


「うぁう!(なんだ!?)」


「シルカ、ルージュが驚いてるだろ」

「申し訳ございません。ですが旦那様が無茶されていたのでルージュ様のお顔の様子を見ようと思いまして。…少し落ち着いたようですね」


お父さんに【シルカ】と呼ばれた黒髪の男はそう言うとそっとアタシに手を伸ばしてきて、思わずびくっと体が反応する。

なんつーか、自分で言うのもなんだけど警戒してる猫みたいになってるよな……。

でも、急に見ず知らずの人間に手を伸ばされたら恐怖心が湧いてきてなんか泣きそうだ。

実際、泣きかけてるようで「ふぇっ…」とアタシの口から声が漏れだしてきてる。


それなのにこのシルカと呼ばれた人はアタシに手を伸ばすとそっとアタシの髪に触れる。


「……大丈夫ですよ、ルージュ様。

私はアナタを怖がらせませんよ……」


ゆっくりと頭を撫でられてアタシも少し落ち着いてきた。

なんとなくこの人の撫でられ方は安心感がある。

安心すると段々眠くなってきて瞼が今にも閉じそうになる。


アタシが眠る寸前に「おやすみなさい、ルージュ様」とまた声がかけられた気がした。

シルカさんはマトモな人……にしたい

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