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討伐依頼へGO

実はノクターンのほうで小説を投稿したところ、なんと日間ランキング8位をいただいてしまいました。作者名は同じですので、もしよろしかったらそちらのほうもよろしくお願いします。大変頭の悪いタイトルですので、すぐにわかるかと思います。

 武器を手に入れた俺は意気揚々と歩いていた。自分の武器を持っているだけでとても強くなったような気持ちになれる。小さい頃、新しい傘を買ってもらったら雨の日が嬉しかったような、そんな気持ちだ。こんな気持ちは久しく味わっていなかったな。


「なかなか様になっていますよ」


 横を歩くアデルが褒めてくれる。


「そう? かっこいい? うふふ」


 新しいおもちゃを手に入れた子供はハイテンションになる。俺も浮かれて怪我だけはしないように気をつけよう。

 ……まあ俺に怪我させられるような敵が果たしてどれだけいるんだという話ではあるんだが。異世界に来てから5倍以上ステータスが伸びた今、初めて戦った時は苦戦したA級モンスターのタイラントリザードであっても軽く倒せてしまうだろう。それもあの時みたいな遠距離攻撃じゃなくて近接戦闘でだ。遠距離攻撃だったら既に塵芥すら残らないレベルで無双することが出来る。今の俺の破壊力は軽く小さな核ミサイル並みにあるからな。


 そうこうしているうちに城門に着く。衛兵のおっちゃんが数名立っていた。


「冒険者としての活動をしたいんで外に出たいんだが」


「おおお、領主様と戦女神様じゃないか! おい皆! 今すぐ出て来い! 領主様と戦女神様がいらしたぞ!」


「何!? 領主様だって?」


「戦女神様もいるらしい!」


 あっと言う間に控え室にいた兵士達も含めて、十人近い兵士が集まってきた。


「我々一同、領主様と戦女神様にいらしていただき誠に光栄であります!」


 リーダーっぽいおっちゃんが敬礼して言う。


「皆さん、きちんと職務に励んでいらっしゃるようで何よりです。皆さんの忠義をとても嬉しく感じます。これからも私とこの領のために頑張って下さいね」


 アデルが微笑んで挨拶をすると、兵士達は皆敬礼して返事をした。


「「「はっ!」」」


 アデルは左胸に右手を当ててそれに応える。敬礼と、非軍人の答礼の形式は日本と変わらないようだ。


 やがて兵士達ももとの業務に戻り、ようやく俺達は街の外に出られた。




「なんかアイドルにでもなったような気分だな」


「あいどる、ですか?」


 ああ、アデルはまだ俺が異世界人ってことは言ってなかったんだっけ。隠すのもアレだし、近いうちに伝えたほうがいいよな。まあ流石に異世界人差別だとかは無いだろうし。


「いや、なんでもないよ。人気者ってこと」


「そうですね。景様はこの領を救った英雄ですからね」


 アデルが誇らしげに俺を見上げてくる。と言ってもほとんど背丈は変わらないわけだが。


「ま、なんにせよ好かれてるのは良いことだ。これからも嫌われないように努力するしかないな」


「はい」




 そうこうしている間に街からだいぶ離れてきた。もう街の城壁はかなり遠くに見えるだけで、人の流れもほとんど無い。この辺りは街道からは少し離れているので、人通りは皆無に等しいのだ。精々がこれから討伐や採集依頼に向かう冒険者くらいである。


「しっかし長閑だなぁ〜」


「そうですね。気温も穏やかで風が気持ちいいです」


 初夏に入りたての微風が、足首ほどにまで生えた背の低い草原を揺らす。緑の海原に波が立ったような景色は、日本ではまず見られない綺麗な光景だった。


「あー綺麗だ……。こういうところに住みたいな……」


「ですが城壁の外は魔物がいますから、なかなかそれは難しいのが現実です……」


「そうなんだよなぁ……。……さてと、噂をすればってとこかな。早速お出ましみたいだよ」


 遠くのほうからこちらに砂煙を巻き上げながら猛烈な勢いで突っ込んでくる謎の四足歩行生命体。身体は黒く毛が生えていて、頭に生えた日本の角がなかなかに凶悪な形をしている。


「あれがホーンブル?」


「はい。ちょうどはぐれ個体のようですね」


 見た目はまんま牛だった。強いて言うなら牛よりも一回りサイズが大きい。俺の背丈くらいは軽く超えていそうだ。


「なら一丁やるか。よし来い!」


 俺は「身体能力100倍」の技能を発動させて、手に入れたばかりの剣を抜く。陽光を受けた刀身がキラリと輝いた。


「ブモオォォォォ!」


 牛……ではなくホーンブルが突進してくる。キロよりもトンで数えたほうが適切と言っても過言ではないような質量を持った巨大が、数十キロの速度で以て突進してくるのだ。その衝撃力は半端じゃないだろう。俺はなんとなく前世スペインの闘牛を思い出していた。あれよく人死なないよなぁ……。普通あんなに跳ね飛ばされたり踏まれたりしたら死ぬと思うんだけど……。


「ブモッ!」


 ホーンブルと俺が交錯する。

 ボトッ、という音が聞こえてくる。一瞬の交錯の後、立っていたのは俺だった。

 いやまあ当たり前だけどな。なにしろこの魔物D級だし。負ける要素が無い。

 少し遅れてズシャアアア、と何かが地を滑る音が聞こえてきた。数メートル後ろで首から上を失ったホーンブルが地面に倒れ、そのまま慣性で草原を滑っていくのが見えた。


「お見事です」


 アデルが褒めてくる。


「ありがとう。試し斬りにはちょうどいい相手だった」


 一度言ってみたかったんだよなァ! この台詞!





 ホーンブルの首と胴体をそれぞれ回収して「無限収納」に入れた俺達は、またしばらく獲物を求めてウロウロしていた。アデル曰く、ホーンブルは角も皮革も骨も肉も内蔵も蹄も、そのほとんどが何らかの素材としてそこそこ使えるらしい。魔物だから強度もしっかりしているし、ホーンブルの革を使った商品はそれなりに人気なんだとか。金になるなら、やはり余すところなく持って帰りたいと思うのが普通だろう。幸いにして俺達には「無限収納」があったから、普通の冒険者達よりもよっぽど効率良く稼げるそうだ。

 ところで冒険者と言えば、依頼をこなすことで得られる褒賞金が主な収入源だと思われているが、実際はそうではない。確かに褒賞金も重要な収入源の一つではあるが、それと同じくらい素材の買取費用も大きいのだ。だからどれだけ多くの素材を持って帰れるかがとても大切らしく、貴重な素材だったりするとその日の稼ぎがかなり変わることもあるそうだ。だからこそ冒険者にはポーターなんていう荷物持ち専門職がいたりする。特にマジックボックス……、俺で言う「無限収納」の下位互換のような技能やアイテムを持っている人はポーターとしてかなり重宝されるそうだ。まあ、俺には必要のない存在だけどな。


「あれ、また砂煙が」


 しばらくするとアデルが遠くのほうからやってくる砂煙に気づいた。


「本当だな。さっきのヤツと会ってからまだ二十分も経ってないよな。ラッキーだな」


「そうですね」


「さてと、ならこっちも丁寧に出迎えないとな」





「……また来ましたね」


「……そうだな。まあ来てくれる分には稼ぎが増えるからいいんだけど」





「砂煙……」

「討つべし! 討つべし!」




 数十分後。俺達はさきほどからほとんど変わらない場所で立ち尽くしていた。


「それにしてもはぐれ個体、本当に多いな……」


「もはや群れをなす生き物なのかそうでないのかの定義が揺らぐレベルですね……」


「これで……何頭目?」


「10頭目ですね。いかがなさいますか?」


「……決めた! あれ倒したら帰る! んで今夜はステーキだ!」


「ステーキ、楽しみですね」


「うおおおおおおおお!!」





 冒険者ギルドに着いた俺達はカウンターに並んでいた。まずは討伐報告だ。とはいえいちいち報告と買取を分けるのも面倒くさいので、買取カウンターでついでに依頼完了の処理もしてもらう。

 結局あれからまたもう1頭遭遇して、合計11頭倒す羽目になった。しかし当然、買取カウンターに牛(より若干でかい生き物)11頭も置けるようなスペースは無い。だから買取作業及び依頼完了報告はギルドの解体用倉庫で行うことになった。


「アキラさん。それでホーンブルはどちらに?」


 受付嬢が怪訝そうな顔をして尋ねてくる。


「ああ、今出すよ。ほい」


 そう言って「無限収納」から頭と胴体の別たれた憐れなホーンブルを11頭取り出し、倉庫の床に置く。流石に11頭にもなってくるとものすごい迫力だった。


「ふええ」


 いきなり目の前に現れたスプラッタ現場のあまりの衝撃に、受付嬢さんは酒保の販売係を命じられたのらく◯軍曹のようになっていた。

こっちでも日間ランキング載りたいなぁ、とは思うのですが、なにしろTSジャンルがニッチですからね。それでもここまで読んでくださった皆様のことが作者は本当に大好きです。ありがとうございます。これからも作品わがこ達をよろしくお願いします。

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