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殴り込み

久々の投稿です。あまりに久々すぎて自分でも驚いています。

 さてさて。今俺達は領兵に喧嘩を売られて真っ向からぶつかってしまったわけで、おそらくこの事件(?)は領軍本部にも報告されるんだろう。そうなれば俺達は兵士達にバレないようこっそり進むなんてことは出来なくなる。正面突破以外の道が無くなるわけだ。

 とはいえまあ、それ自体は一向に問題は無い。むしろ煩わしい潜伏活動を長時間続けることのほうが難しいってもんだ。圧倒的火力でねじ伏せることを理想とし、裏工作のような面倒なことが嫌いな俺としてはちょうどいい。


「よし。先を急ごう。ちゃっちゃとアデルの実家に乗り込むぞ」


「は、はい」


「道はこっちであってる?」


「はい。この道をずっとまっすぐ行くと分かれ道があるのですが、そこを右に行くと領都に繋がっています」


「はいよ。じゃあ行くか……と、その前に」


 今目の前で黒焦げになってるこいつらは、俺達から金を無理矢理奪おうとしたんだ。なら俺がこいつらから慰謝料を貰ったところでお互い様だし何も問題ない筈だよな?


「アデル。ちょっと待っててな」


 そう言って俺は乗ったばかりの馬車から降り、盗賊・・達の持ち物を漁る。

 するとまあ出てくる出てくる。大きな布袋にいっぱい硬貨が入っている。どれも金銀だし、こいつら相当沢山の通行人から金をせしめてやがったな? この分だとあっちで腰抜かしてる奴らも相当持ってそうだな。少しばかりお金を分けてもらおうかな……。


「景様が嫌らしい笑みを……」


 はいそこ、うるさいよ。

 俺は腰を抜かして未だに動けていない残念な奴らのほうに向かう。目の前にまで来ると、そいつらは何とも情けない格好でこちらを睨んできていた。


「よう。君達、あいつらの仲間?」


 仲間じゃないわけがないのだが、まあここは様式美ということで訊いてみることにした。


「な、何のことだ? あそこにいる奴らなら俺達は知らないぞ」


 見るからに頭の回らなそうな残念オツムっぽい雰囲気の兵士君が白々しく答えてくる。


「へー。あいつら盗賊のくせに徴税とか偉そうなこと言ってきたからなー。そっか、盗賊じゃなかったのか。じゃあこんなところで何してんだ?」


 まともにやり取りする気もあまり起きないので適当に流していると、兵士君達が急に怒り出した。


「貴様! よりにもよって俺達を盗賊呼ばわりだと!? 今すぐとっ捕まえて監獄にぶち込んでやる!」


「ほーん」


 しかしこいつらの沸点の低いことよ。よくこんなんでこれまで生きてこれたな。……いや、真っ当に生きてこれなかったから今こんなことしてるのか。人生、道を踏み外すと大変だなあ。

 取り敢えずこいつらからもお金要らないですと言われたので、早速ぶちのめしてお金をいただくことにした。


「「「ギャッ」」」


 細かい描写は省きます。所詮雑魚だしな。特筆するほどのものでもない。


 行き摺りではあるが、一気に小金持ちになった俺はほくほく顔で馬車に戻るのだった。


「よっしゃ行くぜー! 領都へ直行だ」



     ✳︎



「帰んな」


「何?」


 俺達は今、領都に入る門で足止めを食らっていた。


「今この街は閉鎖されてんのさ。例え国王であっても領主様の許可を得なければ入ってはいけないとのお達しだ」


「な……、それじゃあ食糧の供給はどうやってんだよ? 街だけじゃ直ぐに干からびるだろ」


「ったくめんどくせえな。そんなことはお前らには関係無いだろ! とにかく駄目なものは駄目なんだよ」


 駄目だ、取りつく島もない。


「なあ、これでも駄目かい?」


 俺は懐から金貨を一枚取り出して、男に手渡す。金貨といえば日本円換算で約十万円だ。これなら流石にこの男も動くだろう。簒奪者の部下に職業意識なんてご立派なもんを持ち歩いてる奴なんているわけないだろうしな。


「ほう、金貨か。……おい、まだあるんだろ? 有り金全部寄越せ。そしたら中に入れてやるよ」


 何だと……。こいつ、こっちが下手に出て賄賂を渡したら、足元を見てきやがったな。そうだよ。簒奪者の部下なんだ。賄賂を渡したところで動くわけがない。どこまででも腐った連中なんだ。


「わかった。じゃあいいよ。その金貨は返してもらう」


「いや、この金貨は迷惑料だな。忙しい俺様がせっかく対応してやってんだ。今晩の酒代にしてやるぜ。ありがたく思えよ」


「…………」


「……あ、景様」


 よし決めた。ぶっ飛ばそう。


「お? どうした、急に黙っちまってよ。何? 俺と夜を共にしたいって? そういうことなら早く言えや。せいぜい楽しませてぶげらぁっ!!!」


 門番が門までふっ飛んでいき、バーン!と大きな音を立てる。これぞ門バーン、なんつって。


 気絶してピクリとも動かない門番から金貨+αを回収させてもらう。


「おっ、こいつも結構溜め込んでやがったな。ラッキー」


「景様、お見事です」


 アデルもこいつにはイライラしていたんだろう。相変わらず俺を褒めつつも、どこかスッキリした表情だ。


 今の音を聞きつけたんだろう。やがて門の内側が騒がしくなってきた。


「おい、ジョセフ! なんだ今の音は! 何があった!?」


 こいつジョセフって言うのか。まあどうでもいい。こうなったら突っ込むしかない。


「アデル、領主の館まで突っ込むぞ。道案内は任せた」


 俺は自走馬車を無限収納に仕舞いながらアデルに告げる。


「わかりました。お任せ下さい」


 返事が無いことを不審に思ったんだろう。ガチャガチャと門が開く音がする。さて、ド派手に暴れてやるとしよう。

 俺はアデルを抱えて走り出す準備をした。右手には圧縮した風魔法。準備は出来た。いつでもかかって来い。


 やがて城門が開いて中から武装した兵士達が飛び出してくる。さあ、蹂躙劇の始まりだ。

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