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1◯万ボルト!

久々の投稿です。

「そこの馬車、止まれ!」


 早速お出ましだ。出て来たのはいかにも領兵といった感じの格好をした男が三人。統一された装備が兵士であることを物語っている。


「何の用だ?」


 一応、敵対の意思は無いということを示すためにフレンドリーを意識して答える。何事もなければそれが一番だ。


「俺達はここバルツァー伯爵領の領兵だ。伯爵様より検問の任を仰せつかっている。積荷を見させてもらおう。その馬車……? にしては馬がいないようだが。おい、馬はどうした」


「これは馬の要らない馬車なんだ。魔道具ってヤツだな」


 馬の居ない馬車なんて不審極まりないが、居ないものはしょうがない。嘘を言ったところで面倒なことになるだけだ。まあ魔道具だと言っても面倒事には発展するんだろうけどな……。


「ほほう……。魔道具か」


 それを聞いた隊長らしき男の顔がいやらしく歪む。あ、なんか嫌な予感。


「ああ、それと俺達はバルツァー伯爵様から領内に入る人間から税も徴収するよう仰せつかっているんだ」


 来た。面倒な事案確定。


「そうだな。魔道具なんて珍しい物は、さぞかし伯爵様もお喜びになるだろう。俺は伯爵様に珍しい魔道具を献上出来て顔を覚えてもらえる。お前も伯爵様のお役に立てて幸せ。ウィンウィンじゃないか」


 何を言っとるんだこいつは。


「というわけでな。その馬車、寄越しな」


「嫌だ」


 即答だ。当たり前だろう。穏便に済むならそれが一番良いけど、こっちに被害が生じるくらいなら俺は進んで敵対の道を選ぶぞ。


「あん? てめえ俺の言ったことが聞こえなかったのか? 馬車を差し出せと言ったんだよ!」


「嫌だって言ったろ。それと検問も拒否する。お前達は即刻この場から消えるか、素直に俺達を通しやがれ」


 何も用事が無いなら「ハイそうですか」でUターンでもいいんだが、今回はバルツァー伯爵様とやらに大事な用事があるのだ。このまま引き返すわけにはいかない。そちらが自分達の都合を押し付けてくるなら、こっちだって実力で押し通させてもらうぞ。


「どうやら痛い目に遭いたいようだな……。仕方ねえ。魔道具だけ奪ってお前は見逃してやるつもりだったが、お前も奴隷行きだな。その前にちょっくら楽しませてもらうが安心しな。ちゃんと商品になる程度には手加減してやるからよ」


 男がそう言うと、周りにいた部下と思しき奴らもぎゃはははと下品な笑い声を上げる。


「最高ですぜ隊長!」


「俺達にも一発楽しませて下さいよー!」


「わかってるって。俺が存分に楽しんだら後はお前らの好きにしろ。くれぐれも壊すんじゃねーぞ」


「「「ぎゃはははははは」」」


 うーむ。絵に描いたような悪者でむしろ驚いてるよ。こんな人間もいたんだなと感心してしまった。似た者同士、寄り集まるんだろうな。クズの部下は、所詮クズってことだ。

 なので容赦は要らない。


「1◯万ボルト」


「「「ギャーーー!」」」


 某電気妖怪の雷撃をイメージして雷撃魔法を放つ。本気でやったらおそらく地形が変わってしまうので、人が死ぬか死なないかギリギリくらいの威力に抑えてやったつもりだ。

 もちろん人間相手どころか無機物相手にも雷撃を放ったことなどないので、手加減が上手くいったかどうかはわからない。ぶっつけ本番なんであんまり期待しないでおくれ。

 まあ死んでも困らない相手だし、仮に失敗したとしても問題は無いだろう。


「一瞬だったな」


 目の前には黒焦げになった男が三人。指先がピクピク動いているから、辛うじて生きてはいるんだろう。まあ放置したらそのうち死にそうな気もするけど、助けてやる義理も義務も無い。ザ・放置だ。


「景様……」


 馬車の中からアデルが出て来る。恐る恐るといった様子で、顔には少し怯えの色が浮かんでいた。


「取り敢えず目の前のほうは終わったよ。後ろの奴らがどう出てくるかは分からんけどね」


「すみません。何のお役にも立てなくて」


 アデルが申し訳なさそうに謝ってくるが、全く問題無い。人間、何事も適材適所だ。争い事は俺が担当したほうが良い。


「いいよ。アデルは別のことで役に立ってくれたらいいさ」


「ありがとうございます」


 さてと。何十メートルか後ろでコソコソとこちらを伺っている残党はどうするかな。マップ上の反応も赤なので十中八九奴らの仲間なんだろうし、別に問答無用で攻撃してもいいんだが、まだ何もしてない相手にいきなり攻撃を食らわすというのも何だか変だ。推定無罪の原則というヤツだ。まあそんなの形振り構ってられなくなったらどこかへ投げ捨てるけどね。

 直接手出しはしたくないが、かと言って何もしないでおくのも癪だ。というわけで今後の平穏な生活のためにも、ここらでちょこっと脅しておくことにした。抑止力、大事。


 俺は魔法で野球ボールサイズの氷塊を生み出す。大きさも俺の手にフィットするし、形もまん丸にしてあるので投げやすいことこの上ない。

 そして俺は後ろに振り返り、この透き通った物理兵器を全力で・・・ぶん投げた。

 バビュン! という音を立てて氷塊がすっ飛んでいく。そして氷塊は残党の隠れている木に直撃し、砕けながらもめり込んでその木をへし折った。


 メキメキメキメキ……ドシーン、と大きな音を立ててそこそこ大きめの木が倒れたいく。マップ上の赤い反応が動かないので、どうやら腰を抜かしたみたいだ。情けない奴らだぜ。


「景様……しゅごい……」


 アデルのキャラが若干崩壊しかけてたのが俺的に一番ツボだった。

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