厄介事
更新がとても遅くなってすみません!!!
色々忙しくて、なかなか書けていませんでした。多分、今週から更新ペースはある程度は戻ると思います。毎日とは言わずとも、2、3日に1回は投稿出来るようになるかと……。
本当はゴールデンウィークに投稿したかったんですけどね。親戚の集まりがあって出来ませんでした……。
朝食を摂り終えた俺達は、部屋に戻ってゆっくりしていた。俺はベッドに寝転がったまま、ベッドの端に腰掛けているアデルにどうしたいかを尋ねる。
「今日はどうしたい? この街を散策してもいいし、この部屋でずっとごろごろするのもありだよ」
俺としてはどっちでもいい。差し当たってやらなければいけないような問題は特に無い。お金もまだある程度は残っているし、冒険者として仕事を始めるのはまだ先でもいいだろう。
問いかけられたアデルは、その場で俺に向き直って正座して答える。
「私としましては、景様に自分を守れる力を与えていただいたわけですし、経緯はどうであれせっかくヴァルツィーレの街に来たのですから観光というものをしてみたく思います。もちろん景様に何かなさりたいことがあるならそちらを最優先していただいて構いません」
「俺は特にやりたいことも無いからな。アデルの言う通り、観光しようか」
俺にとっては観光2日目。でもヴァルツィーレの街は大きいから、1日2日程度じゃ到底回りきれない。2日連続で観光しても全く問題は無い。
「ありがとうございます。楽しみです!」
アデルは「わくわく」という表現がぴったりの顔で喜んでいる。
決まりだな。早速俺達は街へ繰り出すことにした。
「こうして見ると、とてもお店が沢山ありますね」
辺りを見回しながらアデルがそう言う。昨日までは逃げるのに必死だったから、街を呑気に観察する余裕なんて無かったんだろう。アデルはお上りさんのようにキョロキョロと街を見回していた。
「見所が多くて楽しいです」
ひょっとしたらアデルにとって人生初の観光かもしれないんだよな。そう考えるともっと楽しませてあげたいという思いが湧いてくる。今日はとことん観光を楽しもう。
朝の市を回って、フリーマーケットのような露店を冷やかし、お昼に美味しいランチを「花の丘亭」で摂って、住宅のある区画をぐるぐる歩く。
賑わった商店街や、落ち着いた雰囲気の街並みを歩き回ったりして、その日は夕方までずっとアデルと2人で楽しく過ごしていた。
宿に戻って夕食を食べた俺達は、部屋に戻って寛いでいた。
「楽しかったな」
「ちょっと疲れましたけど、とても楽しかったです。こういう観光って、生まれて初めてだったので嬉しかったです」
やっぱりアデル、観光は初めてだったんだな。楽しんでもらえてよかった。
「流石にそろそろ働くことも考えたほうがいいとは思うけど、もう1日くらいはゆっくりしてみてもいいかもしれないね。これからはアデルも一緒に過ごすわけだし、装備とか生活用品とか色々アデルの分も揃えなきゃいけないから明日は諸々の必需品を買いに行こうか」
「はい。私のためにありがとうございます」
明日の予定を決めた俺達は、宿に借りたタオルとお湯で体を拭いてさっぱりした後、一日歩いた疲れを癒すために横になる。
「それじゃおやすみ」
「はい。おやすみなさい」
最近、毎日が楽しい。異世界に来て、色々波瀾万丈な出来事に巻き込まれたりしたけど、日本にいた時よりもよっぽど濃い生活を送っている気がする。
明日も楽しくなるといいな、なんて思いながら俺は眠りに落ちるのだった。
✳︎
翌朝。目覚めてから窓を開けてみると、空はどんよりと曇っていた。夏なら涼しいだろうけど、今はまだ夏ではないので少し肌寒い。曇りだと何となく気分も落ち込んでしまうような気もする。
不思議だよな。天気ってどうして人の感情に影響を与えるんだろう。物語でも天気が人の感情表現に使われたりするしな。別に両者に関連性があるわけでもないのに、何とも不思議なもんだ。
「景様、おはようございます」
「ああ、おはよう」
アデルも目を覚ましたみたいだ。着替えて朝食にするとしよう。
「おはようございます」
階段を降りて食堂に来ると、給仕の子が挨拶してくる。
「おはよう」
俺は挨拶を返す。アデルも会釈していた。
「本日の朝食はコンソメスープとパン、オーク肉のソテーとサラダになります」
給仕の子が美味しそうなメニューを運んでくる。それにしても朝から結構量があって嬉しい。体が女になっているとはいっても、日本にいた頃から体格の割にはそこそこ食べるほうだったので、出される食事の量が多いのは素直に嬉しい。アデルにはもしかしたら少し多いかもしれないけど、余ったら俺が貰うから問題ない。万が一俺が食べきれなくても「無限収納」に入れれば何日でも保つからな。気楽でいい。
その後、アデルの食べきれなかったパンを貰って、食後の紅茶(らしき何か。結構美味しい)を楽しんでいると、給仕の子がやってきた。
「宿泊の延長はなさいますか?」
「そうだな。とりあえずもう一泊よろしく」
そう言って銀貨を1枚渡すと、給仕の子はそれを受け取り、「ありがとうございます」と言って下がっていった。
さて、朝食も摂り終えたしそろそろ行こうかな。
「そろそろ店も開いてるだろうし早速行こうか」
「はい。よろしくお願いします」
「ご馳走さま」
「ご馳走さまです」
「ありがとうございましたー」
給仕の子の声を背中で聞きながら、俺達は宿を出た。
街は昨日に引き続いて賑やかだった。裏通りにしては人通りが多いこともあるけど、更に輪をかけて賑やかな理由が他にある。
というのも、宿を出たすぐ目の前のところに人だかりが出来ていたのだ。
武装したチンピラが十数人。こちらを見て威嚇してきている。そしてその中心には例のチンピラ冒険者達の姿があった。
通行人や近所の人達は何だ何だと野次馬になっていて、それで裏通りにも関わらずここまで賑やかになっていたんだろう。
さて、この状況で何があったのか察せないほど俺は能天気に生きてるわけでもない。連中の目的は明らかに俺達だ。わざわざ武装して宿を取り囲んでいる時点で間違いない。この宿には他に重要そうな人間は泊まっていなさそうだったしな。
まったく、こうなるなら「マップ」のアラーム機能をオンのままにしておくんだった。襲撃者を捕まえたからもう大丈夫だと思ってうっかりしていたな。反省だ。
それにしても何であいつらこんなところにいるんだ? 昨日確かに憲兵の前に放置した筈なのに。チンピラにも抜け出せるレベルの警備って、そんなに憲兵は職務怠慢なのかよ。
外の異常に気づいたのか、宿の中からいつもの給仕の子が様子を見に外に出てくる。
「え……? ひっ」
目の前の光景に驚いたのか、彼女は驚いて固まってしまった。
うーん、困ったな。この場所を切り抜けたとしても、もうこの宿の場所は割れてるからどうせまた別のチンピラか何かに襲われるんだろうな。これ以上宿に迷惑をかけるわけにもいかないし、ここに泊まるのはもうお終いかな。食事が美味しかったから残念だ。ほとぼりが冷めた頃にまた食べに来よう。
「君、やっぱり今日泊まる分は取り消しで。払ったお金はキャンセル料ってことで取っておいていいから」
俺は固まったままの給仕の子に告げる。
「えっ、は、はい!」
給仕の子はいきなり話しかけられてびっくりしていたようだけど、何とか返事をしてきた。それを聞き届けた俺は、敵さんのほうに向き直る。
少し短めです。




