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信者爆誕

「すみません、1人追加でお願いします」


 アデルを連れて宿屋に戻った俺は、受付の子に1人追加の旨を伝える。


「かしこまりました。お部屋はいかがなされますか? ツインとダブルがございますが」


「ダブルで」


 当然ダブル一択だ。せっかく好きな女の子と一緒のベッドで寝られるかもしれないっていうのに、その機会をみすみす逃すことなんて俺には出来ない! もしかしたら寝起きに抱き着かれてたりするかもしれないだろ!? あわよくばそのまま……っ!

 アデルは有無を言わせない俺の決定に、口を挟むことなく背後に立っている。匿ってもらっているのにベッドを一つ要求するなんて申し訳ない、とか思ってるのかな? 俺はその考えにつけ込ませてもらうよ、ぐへへ……。


 煩悩はさておき、アデルを連れて部屋に入った俺はアデルにどんな力を授けるかを悩んでいた。そもそも力を授けるってどうすればいいんだろう。本人の成長を促進させれば良いのか、それともただ単純に強力な技能を授ければ良いのか。

 思うに、ただ単に強力な技能だけを授けても意味がないんじゃないだろうか。本人の戦闘センス次第では扱いきれないなんてことも十分に考えられる。宝の持ち腐れになっても意味が無い。

 方向性を決めよう。アデルは何が得意なのか。何を使えるようになりたいのか。アデルの特性に合った方向性でいきたい。

 力を授けること自体は多分出来る。始原の力で出来ないことはあまり無い。だから、問題はどんな力を授けるかだ。


「アデル、さっきは戦える力が欲しいって言っていたけど、実際にはどんな力が欲しいの? 魔法とか肉弾戦とか色々あるけど」


「私、ずっと牢の中に囚われていたので、自分に何が出来るのかとかはわかりません。でも、運動神経はそこまで良くはないと思います。何しろずっと外に出ていなかったので……」


「ってことは肉弾戦は無理そうだな」


「はい。遠距離や中距離から敵を攻撃出来るような力が望ましいです」


「となると魔法か射撃系の武器だな」


 今の俺にはまだ武器製造能力は無い。いずれ開発するつもりだけどね。ということは。


「魔法だな」


「はい。魔法でお願いします」


 方向性は決まった。次はどうやって力を授けるかだけど……肉弾戦はともかく、魔法に関してなら俺にいい考えがある。

 まず、俺の魔力量は無限だ。何故かは知らないけど、とにかく無限か限りなく無限に近いだけの量がある。前々から気になっているそこのところの理由は後々萩本さんにでも訊くとして……。

 せっかく無限に近い容量の魔力タンクがここにいるんだ。ならそこからどうにかして魔力を引っ張ってこれたら、間接的にアデルも無限の魔力を保有することにならないかな?

 魔力パスを繋いで、導線みたいに俺からアデルに魔力を供給するのだ。イメージとしてはそれでいいだろう。問題はアデルの体がそれに耐えられるかどうかだ。常に魔力が流れっぱなしだと、おそらくアデルの体は魔力で一杯になって魔力中毒(そんなのがあるのかは知らないけど、なんとなく体に良くなさそうな気がする)になってしまうだろう。だから魔力パスは、アデルのほうで任意に供給をオンオフ切り替えられるようにする必要がある。俺のほうはいつどこで吸い出されても、無限の魔力があるんだから全く影響は無い。

 うん、色々考えてみたけどこれでいいんじゃないかな?


「アデル、今から魔力を供給するためのパスを繋ぐから、違和感があったら教えてね」


「はい。わかりました」


 久しぶりに始原の力を発動する。相手と自分の間に魔力を供給するパイプを繋げるイメージ……。


 出来た。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

名前:神坂 景 (Kohsaka Akira)

年齢:19歳

性別:女(心は男)


体力:210/210

魔力:∞

知力:145

身体:15

能力:始原の力

技能:火球、身体能力100倍、水生成、拠点製作、鑑定、無限収納、言語理解、マップ、魔力パス(NEW)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 どうやら無事新しく「魔力パス」の技能を習得出来たようだ。ちなみに前回ステータスを確認した時よりもだいぶ体力と身体の数値が上がっている。ヴァルツィーレの森で魔物を倒しまくったお陰だろう。


 さて、早速魔力パスを繋いでみるか。

 俺は「魔力パス」の技能を発動しつつ、アデルとの間に見えない導線を繋ぐイメージをする。すると、俺の体から透明な紐のようなものが出てきて、アデルのほうに向かっていく。紐の先端がアデルにくっ付くと、俺とアデルが繋がった感じがした。なんか言い方エロいな。


「あっ」


 アデルが声を上げる。繋がったのを感じたみたいだ。


「来た?」


「はい。何か来ました」


 エッチだな……。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

技能

⚫︎魔力パス

 ・アデル(接続済み)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ステータスの技能の欄を見ても、無事アデルが接続されていることがわかる。取り敢えず接続は出来たみたいだから、次は魔力の供給が上手くいくかを試してみよう。


「アデル、今から魔法の練習をするから外に出よう」


 慣れない魔法の制御にミスって宿を壊したりしたら大変だからね。無限の魔力を扱う時には、慎重にならなきゃいけない。


「はい。わかりました」


 俺はアデルを連れて街の外へ出る。もちろんアデルを狙う奴らはマーキング済みだから、見つからないように出る道を選んだ。門で待ち伏せてないあたり、ザルだよな。本当に下っ端って感じだ。やる気はあるのかね。まあやる気になられても困るんだけど。


 街から出た俺達は、道なりに進んで人のいない辺にまで移動する。周囲を見渡しても誰もいないので、これで安心して無茶が出来る。


「アデル、今まで得意だった魔法は?」


「火魔法から水魔法、土魔法に至るまで大抵はカバーしていますが、基本的にどれも得意と言えるほど使えたわけではありません。一般人と同等か、それより少し出来るというくらいのものでした」


「そうか。じゃあ何でもいいや。今まで通りの感覚で魔法を使ってみてよ」


「はい」


 そう伝えると、アデルは両手を前に突き出して集中し始める。


「ウォーターボール!」


 バシャッ!と、バケツ数杯分の水が勢いよく飛び出して、10メートルほど先に着弾する。そこそこの威力だ。これなら戦闘でも牽制には使えるだろう。


「あれ? 疲れてない……」


「どうした?」


「私の全力でこの威力なんですけど、今までだったらそれで息切れするくらい疲れていたんです。でも今は全然疲れていません」


 どうやら無意識下でも魔力の供給は行われるみたいだ。多分、本人の魔力が枯渇しそうになって危険水準に達したら自動的に供給される仕組みなんだろう。


「なるほどな。じゃあ次は、繋がった魔力パスを意識してやってみてくれ。魔力は自分が制御出来ると思うギリギリまで注ぎ込むんだ」


「は、はい。やってみます」


 アデルは両手を前に突き出して、再度集中を始める。今度はさっきよりもずっと集中の時間が長い。


「いきます。ウォーターボール!」


 直後、アデルの両手から大量の水が物凄い勢いで噴き出した。あまりに大量の水だから一見するとただの鉄砲水に見えるけど、よく見たらちゃんと丸い形をしている。まだ辛うじてウォーターボールだ。ほぼ別物だけどな。


 ーーーードパアアァァァンンッ!!!ーーーー


 アデルの手から放たれた水は、数百メートル先にまで達する。台風で増水した川の鉄砲水を見てる気分だ。水飛沫が激しく飛んできて、俺もアデルもびしょ濡れになってしまった。


「な、な、なっ……」


 アデルはぶるぶる震えながら自分の仕出かしたことに驚いている。さっきの俺の大火球に続いて、今日はアデルの魔法に関する常識が尽く崩れた日だろうことは想像に難くない。


「なんですかこれはーーっ!?」


 アデルの絶叫だ。初めて聞いたよ。アデル、普段大人しいからね。


「うん、ちゃんと使えたみたいだな」


「な、私こんな魔法見たことないです! こんな、こんなに威力が、私、私」


「まあまあ落ち着いて」


 アデルが再び意味のある言葉を発するまで数十秒を要した。先程に比べて若干落ち着いたアデルが、自分の手を握っては開いてを繰り返している。


「私、こんな凄い魔法を使えるようになったんですね……。これなら大軍にも勝てちゃいそうです」


「まあ、この規模の魔法を無制限に撃ちまくれるわけだからな。チート間違いなしだと思うよ」


「ちーと、ですか?」


「規格外のズルって感じの意味だよ」


「そうなんですか。それならこの魔力パスは本当、ちーとですね。こんな凄い力をいとも簡単に人に授けることの出来る景様は本当に凄いです」


 アデルがヨイショしてくる。ありがたく受け取っておこう。


 さて、次は遠くにいても使えるのか調べてみよう。試しに離れてみることにする。


「離れてても使えるか確かめたいから、アデルはそこで待っててくれ。1分くらい経ったらさっきと同じウォーターボールを全力で使ってみてよ」


「はい。わかりました」


 アデルが頷くのを確認した俺は、「身体能力100倍」をMAXにして駆け抜ける。

 抱える物も遮るものも何も無いので、あっという間に最高速度に達する。過去最高速だ。体感だけど300キロくらいは出ている気がする。新幹線の窓から見える景色と同じくらいの速さで後ろに去っていく風景を横目に見ながら、俺は走り続ける。1分ほど走って相当遠くに来た俺は、走るのをやめてアデルの方向に向き直る。

 しばらくすると、ずっと向こうのほうで巨大な水柱が上がっているのが見えた。水柱は巨大な波となって流れている。アデルが魔法を使ったようだ。魔力パスは距離が離れてても無事使えるみたいだ。よかった。


 来た時と同じく1分くらいでアデルのもとに戻ると、アデルは色々悟った目をしていた。


「景様が……消えました……」


 時速300キロなんて、この世界に生きてたら一生触れることのない速度だもんな。




「景様」


「ん?」


 アデルがこっちを向いて言う。何やら真剣な表情をしている。


「私、景様のお陰で助けてもらっただけでなく、自分に自信まで持てました。閉じ込められて籠の鳥だった私を外の世界に連れ出してくれただけではなくて、自分に自信まで持たせてくれるなんて、本当感謝しかありません。本当にありがとうございます」


 アデルが畏まって感謝を伝えてくる。真正面から言われると少し照れるな。


「ま、まあ可愛いアデルと仲良くなりたいって下心あってのことだ。気にすんな」


 照れ隠しに本心を交えて伝えると、アデルはまたもや頭を下げてきた。


「景様が下心と仰っても、私にとっては神の福音なのです。景様が求めるならば私は何でもいたします。どうか忠誠を誓わせて下さい」


「ち、忠誠って」


 アデルはそこで一旦言葉を区切り、膝をついて俺に跪く。何が始まるんだ……。


「私、アーデルハイト・オフィーリア・フォン・バルツァーは景様によって救われ、景様によって生まれ変わりました。この海よりも深く、山よりも高い御恩に報いるべく、私は生涯をかけて景様に忠誠を尽くすことを誓います。どうか私めのこの願いを受け入れて下さいませ」


 お、重い!!!!!


「う、うん。わかった。アデル、俺は君と一緒にいられて嬉しいよ」


 アデルがあまりに畏まって言ってくるので、タジタジになって返してしまった。どうやら俺は、思ったのとは違う形でアデルを手に入れたらしい。

 …………いや、嬉しいけどね!

ついにアデルを手に入れました。これでイチャイチャし放題ですね。

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