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第86話 3対7

 全員で6人の家戸さき葉が目の前にいる。

 ‎彼女たちのうち2人が俺とアリアの動きを止め、残り4人のうち、3人が鏡美の動きを止めてしまった。

 ‎あと葉ともう一人のさき葉が手を合わせると空間に裂け目ができる。

 ‎そして、その裂け目が動けない鏡美のほうに伸びてくる。

 ‎裂け目が彼女に届くと、いくつもの銀の鱗が血とともに闇夜に飛び散った。


「いっ!!」


 鏡美の声にならない悲鳴が聞こえてくる。

 だが、彼女は体を激しく動かす。 

 ‎なんとか体の拘束の一部が外れると、銀の龍の口の中が目を突くほどまばゆく光り輝く。

 ‎瞬く間に光弾があと葉めがけて放たれる。

 だが、さき葉が光の球の前に立ち塞がる。

 ‎すると、鏡の放ったそれは、さき葉とあと葉を避けていく。


「なんで?!」


 鏡美から驚愕の声があがる。

 ‎さき葉の力はなんだろうか。

 ‎未来予知ができるようだから、未来に関する能力なのは間違いないはず。

 ‎しかし、こちらの動きを止めたり、光の球の方向を変えるというのはどういうことか。

 ‎

 ‎突如、鏡美の動きを止めていた3人のさき葉が目の前から消える。

 ‎そして、3人とも一瞬にして鏡美の背の上に移動した。

 瞬間移動もできるのか。

 ‎鏡美が振り払う前に、3人が手をかざす。

 ‎そして、あと葉が手をかざす。 計4人の手と手が光の線で結ばれると、その線で囲まれた空間が裂けはじめる。

 ‎その空間に含まれていた鏡美の体は雷に打たれたようになる。

 

「鏡美!!」


 俺とアリアは動けない。

 ‎鏡美がやられるのを手をこまねいて見ているしかないのか。

 ‎俺はとうとう決心した。

 ‎

「家戸! 俺たちの負けだ。降参だ」


 だが、家戸あと葉は首を横にふった。


「降参はやはり認めません……。鏡美さんを赦すわけにはいきません……」

 

「なんでだよ?!」


「どうしてもです……!」


 そこまで意固地になる理由はよく分からない。

 だが、このままでは鏡美がやられる。

 ‎何か話をして鏡美への攻撃をやめさせられないだろうか。

 ‎あと葉を揺さぶるようなそんな話をして。

 ‎そうだ!


「家戸! お前は竜司のことが好きなのか?!」


 あと葉は一瞬固まった。

 ‎鏡美への攻撃の手が弱まる。

 ‎やはりこの話題だ。


「だったら……どうだというのです?!」


「それで弟は恋人になれないから、俺の記憶を操って弟と恋愛してるつもりになったんだろう?  弟は鏡美のことを気に入ってるから妬きもちか?」 


 鏡美の攻撃から気をそらすためにあえて挑発する。

 その甲斐あってか。

 鏡美への攻撃が完全停止した。

 ‎あと葉が肩を震わせている。

 そして、すすり泣いている。


「私は竜一さんと……仲良くしてみたかっただけです……!」


 

  ‎

 ‎

 ‎

 ‎

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