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第72話 No.1 VS No.2

 俺とアリアは自転車で学園に向かっていた。

 この時間はバスや電車がないためだ。

 なお、自転車をこいでるのは身体能力が高いアリアのほうだ。

 俺は後ろに座ってアリアに抱きついている。

 鏡美は置いてきた。

 記憶もそのままだ。



「どうして鏡美をそのままにしたんだ? 家戸あと葉にどんなことをされるか分かったもんじゃないぞ!?」


 アリアが問いかけてくる。


「鏡美は俺が竜司と戦うのにすごく反対していた。

 今日、俺と竜司が会う可能性があったら、記憶の戻った鏡美はそれだけでも反対すると思うんだ」



 俺たちは学園に到着した。

 ‎まだなにも始まっていないか、検討外れの場所に来たのか、学園は静まり帰っていた。

 ‎だが、俺にはなにか起こるならここだという確信があった。

 


「塀をよじ登って侵入しよう」


 そうして中に入ると、公式戦が行われる闘技場に向かった。

 ‎廊下の奥の闘技場の大きな扉は少し開いて、そこから光が漏れ出ていた。

 やはりあそこだ。

 俺たちはその扉の開いたところから中をのぞきこんだ。

 何人かの人影がある。

 ‎そして、声がきこえてくる。


「まさか、真っ向から僕に挑むとは思いませんでしたよ、鬼灯先輩。

 しかも一人じゃなくてぞろぞろと引き連れてくるなんて」


 竜司の声だ。

 ‎あいつは向かって右にいた。


「お前を倒すためなら、俺はなんでもやるぜ!」 

 

 そして、竜司の向かい合う位置に副会長の鬼灯朽長(くちなが)、あと2人の小さな人影があった。  


「あれは?!」


 その2人の人影とはアル、エルだった。

 なんでアルとエルが?

 ‎鬼灯朽長と面識があったとは思えないが。

 研究所から無理矢理連れてきたのか?


 鬼灯朽長はアルとエルが張った結界のなかにいる。

 ‎まさか鬼灯朽長はアルとエルの結界が竜司の力を防ぐことを知っているのか。

 ‎ひょっとしたらアルとエルが竜司の弱点を突けることまで知っているのかもしれない。


「じゃあいくぜ!」


 鬼灯朽長がそう言うと戦いが始まった。

 結界を自分のまわりに展開させる鬼灯朽長。

 そして、竜司は力を解き放つ。

 その瞬間、‎強烈な頭痛が俺を襲う。


 鬼灯朽長も少し頭を押さえているが軽い痛みがある程度といった感じだ。


「このちび二人いたら、お前なんてたいしたことねえんだよ!」


 鬼灯朽長の言う、ちび二人というのは当然アルとエルのことだ。


「食らいやがれ!」


 鬼灯朽長が竜司のほうに手をふりおろす。

 だが、途中で鬼灯朽長が顔をしかめる。

 竜司の立っていた場所のわずかに横の床がえぐれる。

 どうやら、攻撃をしかけた鬼灯朽長を頭痛が襲い、竜司への攻撃が外れたらしい。

 鬼灯朽長は何度も攻撃をしかけるが、同じことを繰り返すように、その度に頭を抱え、攻撃が若干逸れる。


「残念でしたね、鬼灯先輩」


 余裕の笑みを浮かべる竜司。


「では、こちらも少し力を出すことにしましょう」


 そういった途端、俺は頭が割れるように痛くなった。

 鬼灯朽長もかなり辛そうにこらえている。


「なめるなよ! くそがきが!」


 鬼灯朽長の体の周囲にあった結界による光がまばゆさを増す。

 そして、次の瞬間には鬼灯朽長を赤くゴツゴツとした鎧が覆っていた。 

 結界を物質化させたのだろう。


「それが切り札ですか、先輩。面白い」


 竜司の瞳が赤く煌めいた。

 




 

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