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第60話 竜司の弱点

「あいつの弱点が分かった!」


 俺はベッドの上で小躍りしそうになる。


「え、弱点!? そんなのあるわけないよ!」


 と言いつつも、鏡美が興味があるらしく、身を乗り出して聞いてくる。


「あいつは自分に敵意を持ってるやつには無敵だ。

 だが、敵意なく近づいてくるものには無力なんだ。

 ‎竜司に敵意なく攻撃できるやつか、もしくは偶発的な事故。

 ‎これならあいつもどうしようもないはずだ!」


「うーん、敵意なく攻撃なんてできる人いるのかな?」


 鏡美は首を傾げていた。



 


 竜司対策について、研究所の叔父に相談しにいくことになった。

 俺とアリアと鏡美の3人で学園から研究所に向かう。

 あたりは暗くなり、星空がまたたいていた。


 アリアは俺と鏡美に遠慮して少し後ろを歩いていた。


 鏡美が俺の手をとって話しかけてくる。 


「お兄ちゃんは意外だと思うかもしれないけど、私は竜司さんのことけっこう好きなんだ」


「なんだって?!」


「私はけっこう分かるんだよ、竜司さんの気持ち。

 大きな力に目覚めてしまったために竜司さんはきっと孤独なの。

 ‎力があるからいいとは限らないよ」

 

 それは鏡美自身のことでもあるのだろう。

 似たようなことをアリアと話したことがあった気がする。


「だからといって、力がないことで虐げられるほうがマシだなんて思えない」


「もちろんそうだと思う。

 私は力がなくていじめられた経験がないから、それに関して偉そうなことは言えない。

 だけど、力があるから、竜司さんがなにも苦しんでないなんてそんなふうには思ってほしくないんだ」


 鏡美の言葉はなにか俺に重要なことを教えてくれているかのような気がして、反論しようとは思えなかった。




 弱点の話をしに叔父のもとを訪れた。

 ‎叔父は興味深そうに聞いたあとに微笑むと口を開いた。


「なるほど。

 そういう方法にたどり着いたか。

 だが、偶発的な事故は狙って起こすのはかなり難しいだろう。

 だから、敵意のないものでの攻撃を考えることになるだろうが、君たちだけでそう簡単にいかないだろう。 

 そこで助っ人を用意しようと思う。

 入りたまえ」


 それは見覚えのある意外な人物だった。


 白い服を着た小さな女の子と黒い服を着た小さな女の子。


「白い服をきたほうがアル、黒いのがエルだ。アルはサイコキネシスを使える結界能力者。彼女のことは覚えているだろう。

 一方、エルは長距離テレポートが可能な結界能力者だ」


 叔父の説明を受けたが、彼女たちのどこが助っ人となりえるのかよく分からない。


「実は竜司のことで分かったことがある。

 あいつの能力は竜一の結界によって効果が減弱されるらしいのだ。

 でなければ、竜一ほど竜司を憎んでいる人間は一瞬で殺されるはず」


「確かに」


 そこは盲点だったように思う。

 なぜ今まで気がつかなかったのだろう。


「そして、この2人、アルとエルでもおそらくそれに近い結果となることが予想される」


「そこでなんでこの2人でも近い結果になると予想されるんだよ?」


 俺が当然の疑問を口にすると、叔父から思いがけない答えが返ってきた。


「この子たちは君の子供だからだよ」


「子供!!」


 俺と鏡美とアリアの声がハモった。



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